電動キックボードMEISYA列伝

電動キックボードなどの特定小型原付全般のブログです。
毎回、少しマニアックな視点で書いています。

電動キックボードMEISYA列伝 #11 SunEmperor SS1

2024-03-24 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

今日はサンエンペラーSS1をテーマにこのブログを進めて行こうかと思うのですが、このブログの過去を振り返ってみるとキックボード型以外の車種を取り上げるのって今回が初めてなんですよ。

 

実を言うと・・なのですが、今までキックボード型しかテーマにしなかった理由はそもそもこの番組はオートバイ乗り目線で作られているからなんですね。特に自転車型のモデルを取り上げるのには迷いがあったんですよ。

 

オートバイ趣味の人の視点と自転車趣味の人の視点ってかなり違っているようで、今現在、自転車以上原付以下という位置づけの特定小型は行ってしまえば海の物なのか山の物なのかが分からない状況だと思うのです。そんな状況の中で特に自転車型の車種をこのブログで取り上げるのはどうなのかな?って思っていたんです。・・というか今でも思っています。

 

自分でも分かっているのですが、オートバイ乗り目線でこのブログを書いているとは言っても多分、多くのオートバイ趣味の人達からはだいぶズレた内容のブログだと言われると思うんですよ。そこにきて自転車趣味の人達がこのブログを読むと余計にズレた内容だと感じると思うんですよ。

 

そんなわけで特に自転車型に関しては自転車趣味の人に任せてしまってこのブログは自転車型以外の車種に徹してしまったほうが良いんじゃないかな?って思っているんです。

 

そんなわけで今回取り上げるSS1はタイプとしてはスクーターとして分類できると思うのですが、広い意味ではオートバイタイプでもあるんですね。ですが、そのスクーターっていう名称もこれがややこしくて、スクーターという分類がオートバイのカテゴリーの中に入るのって実は日本だけなんです。海外ではスクーターと言えば普通のキックボードのことを指すんですね。

 

そして、オートバイという物も元々は自転車と大して変わらない車体にエンジンを付けたのがその始まりですから、足蹴りスクーターに動力源を付けた物はそれと同じでオートバイになると私は思っています。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、特定小型原付を普段の生活で使おうと思ったらSS1はやっぱり魅力的なんじゃないかな?と私は思っています。

 

なんといってもリヤにバスケットが付いていますから通勤、通学、お買い物には適していると思うんですね。

SS1は車体だけで考えた場合、重い荷物も問題なく運べるようです。車体の耐荷重はカタログ値で120kgとクラストップレベルです。これは体重60kgの人が運転した場合、60kgまでの荷物が積めるという勘定なのですが、特定原付の積載量は一般原付や原付二種や自転車と同じで車体の性能に関係無く一律30kgまでです。これは注意が必要な部分で、誤解が無いように別の言い方に言い換えると、SS1の場合、最大積載量の30kgの荷物を運ぶ場合、体重90kgの人までなら乗車ができるということです。

 

純正のカゴが重さ30kgまで耐えられるかどうかは正直わからないのですが、華奢な物でも無いようなので、生活用途の枠を超えてちょっとした集配などの業務にも使えるんじゃないのかな?って個人的には思っています。さすがに新聞配達などは荷物の重さもさることながら荷物の面積が大きいので厳しいかもしれませんが、ポスティング業務とかなら純正のカゴだけでなんとかなりそうですし、不安だったら何かしらの方法でステーを追加するくらいでいけると思います。

 

今の所、特定原付で積載性能が高いモデルはSS1の他にカーメイトのe-FREE01やacalieのMIRAI T Lite位とまだ少ないのですが、今後は自転車型を中心に積載性能に優れたモデルがもっと増えてくることが予測されますので、将来的には新聞配達は一般原付の電動バイク、ポスティングなどは特定原付っていう棲み分けが生まれれば面白いんじゃないかな?って私は思っています。

 

また、積載性能に加えてSS1は旋回性能も良さそうです。車体全長は1260mmなのですが、それに対してホイールベースが短いのです。毎度おなじみの当ブログ独自の推定値で880mm程度のようです。

 

他の車種、とりわけ電動キックボードの場合、車体全長が1100mm台の後半あたりからホイールベース寸法が推定で900mmを超えるというモデルが目立ちはじめます。

 

ホイールベースが短いと小回り性能に優れるというのはもうご存じのことと思われますが、旋回性能の善し悪しは単に小回り性能に優れるというだけで語れるものでも無く、ハンドリング特性がどうなのか?というのも重要になってきます。

 

よく旋回性能が高い=クイックなハンドリング特性とは言われますが、逆にハンドリングがクイックすぎると今度は旋回時の安定性を阻害してしまいます。

 

そこで、旋回時の安定性に一役買うのがステアオフセットなのですが、SS1はこの値が推定で45mm位と多いのです。

 

他の車種、とりわけ電動キックボードの場合、ステアオフセットは多くても25mm前後位で、そもそもステアオフセットが無いという車種も珍しくありません。

この車種で旋回時に不安を感じるということは無いんじゃないのでしょうか?

 

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #10 KS6PRO

2024-03-10 00:00:00 | 日記

ども、電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

さて、今回はこのブログでも名前だけは度々登場しているKS6PROを取り上げていきたいと思うのですが、実を言うと過去の記事のRichbit ES1PROの時にKS6PROとES1PROはあまり語ることが無いと書いたことがあるんですね。多分、読者の方の中でも覚えているっていう方もいると思います。

 

その時、その理由についても少しは触れたのですが、これらの車種の車体構成は非常に標準的で、見た目的に新しい部分があるわけでも無ければその逆も無いというわけです。

 

そんな中でKS6PROを取り上げるわけなのですが、この車種の優れた点のひとつとしてあげられるのが前輪の足回りのジオメトリーなんじゃないのかな?と私は思っています。良好なバランスだと思うんですね。

 

ちなみにジオメトリーとは日本語に訳すと幾何学という意味です。幾何学と聴いただけでは何の事なのかサッパリ分からないと思います。今回の内容では足回りに関する位置関係と捉えて頂けるとよろしいんじゃないかな?と思っています。

 

KS6PROの足回りに関して公表されているデータはタイヤサイズが10インチということだけで、その他は公表されてはいません。まあ、この事はKS6PROに限った話ではなく、電動キックボード界全体に言えることです。

 

公表していない部分について発売元や販売元に問い合わせるというのも正直言って面倒ですし、聞かれる方も多分、回答に困るでしょうから、当ブログでは全長や全高などの公表されているデータを元に推定値を算出するという方法で解説しています。実際の寸法とは違う可能性がありますので、予めお断りしておきます。

 

で、KS6PROのフロント周りの推定値なのですが、キャスター角が15°程度のようで、ステアリングは25mm程オフセットされているようです。トレール量は10mm程度のようです。

 

専門用語だらけでサッパリ分からないという人もいると思いますので超簡単に説明します。

まずはキャスター角についてですが、キャスター角についてはこのブログでも何度か取り上げていますが、ステアリング軸の傾き角度のことです。

 

次にステアのオフセットとは?ということなのですが、タイヤをステアリング軸の延長線上ではなく、前方にずらして取り付ける距離のことです。何故にタイヤをステアリング軸からずらす必要があるのか?ということをざっくりと説明しますと、語弊はあるかもしれませんが、ハンドリング特性をマイルドなものにするためです。

 

ちなみにステアオフセットの量を小さくするほどハンドリングはクイックになります。オフセットが大きくなるほどそれが逆になるということです。

 

そうなると、ステアのオフセット量が大きい方が扱いやすくて良いような気もするのですが、オフセット量は大きくなるほど直進安定性が犠牲になります。どういうことかと言うと、分かり難いかもしれませんが、オフセットを大きくするとタイヤの回転軸はステアリング軸から遠くなり、その結果トレール量が減少するからです。

 

最後にそのトレール量とは?についてですが、これについてもこのブログでも過去に何度か触れたのですが、ステアリング軸の中心線とタイヤの垂直方向の中心線を接地面で測った距離のことで、その距離が大きいほど直進安定性に優れ、小さいほど逆となります。

たいぶ大雑把な説明でしたが、結論としては直進を得意とさせると曲りが苦手になり、曲りを得意とさせると直進が苦手になるというわけです。相反するふたつの条件をどこで妥協するのかというのがとっても難しい所なわけで、タイヤが小さくなるほど特に難しくなるんですね。

 

例えばキャスター角とステアオフセット量がKS6PROと同じ推定値となるES1PROのタイヤサイズはKS6PROよりも1.5インチ小さい8.5インチです。タイヤが小さくなっただけでこの場合、トレール量は5mm減少します。KS6PROのトレール量は推定10mmですので、ES1PROのトレール量は推定値でわずか5mm程と極端に小さくなるのです。もはやギリギリという位になるんですね。タイヤが大きいほうが安定性は高いと言われる由縁のひとつがトレール量を確保しやすいという点なんですね。

 

それでもES1PROはトレール量が確保されているだけまだ良いんです。どの車種とは言いませんが、トレール量がギリギリを通り越してマイナスになっていると推測できる車種もあるんですよ。トレール量がマイナスになるということはどういうことか?と言うと後進、つまりバックする時に直進安定性が増すということです。

 

他にKS6PROで挙げられる良い点としてはやはり重量が22kgある大柄な車体でデッキ長は推定505mm程度でサイズに余裕があり、ホイールベースも推定で915mm程度と長いということでしょう。

 

ホイールベースとは?ということについてもこのブログで何度か説明はしていますが、それが長いほど直進安定性に優れ、短いほど小回り性能に優れます。さらにKS6PROはバッテリーをデッキの中に納めつつもデッキの高さを低く押さえているので、どの方向からの重量バランスも良好と言って良いと思います。

 

それではごきげんよう~