電動キックボードMEISYA列伝

電動キックボードなどの特定小型原付全般のブログです。
毎回、少しマニアックな視点で書いています。

電動キックボードMEISYA列伝 #20 Hillstone od 608

2024-07-28 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

今回はこのブログとしては久々の前輪駆動モデルのHillstone od608を取り上げて生きたいと思います。最後までお付き合いいただければと思います。

 

そういえば以前、このブログで乗り物は基本的に後輪駆動が理想的なんだけど、前輪駆動は前輪駆動でそれまたメリットがあるというようなことを言ったことがあるのですが、書くと結構、長くなるので詳しいことはまたの機会にと言ってそのままだったんですよ。

 

いつか取り上げないといけないな・・とは頭の片隅にはずっとあったのですが、後輪駆動のキックボードに比べれば前輪駆動のキックボードというのは少数派なのでなかなか機会に恵まれなかったんですよ。

 

そんなわけで今回はいつもと少し違って、取り上げるモデルがどうのって言う前に乗り物全般での前輪駆動のメリットとデメリットはなんなのか?ということについて先ずは触れていきたいと思うのですが、まずメリットで真っ先に思い付くのが後輪駆動に比べれば前から車体を引っ張るという点で前輪駆動のほうが直進安定性には有利ということですね。

 

このことは台車を後ろから押すのと前から引っ張るのとではどちらのほうが安定して真っ直ぐ走れるかということと理屈は同じで多分、多くの人は前から引っ張るほうが行きたい方向に安定して進めると言うとは思うんですよ。

 

あと、燃費の面でも前輪駆動のほうが後輪駆動よりも有利になるという傾向があります。これも台車を押すのが楽なのか引くのが楽なのかということと同じ理屈です。

 

で、このブログでも何度も言ってきたことなのですが、乗り物という物はどこかが良くなればどこかが必ず悪くなるというトレードオフの関係に成り立っている物です。

 

反面のデメリットで真っ先に思い付くのはハンドリングが後輪駆動に比べて悪いと言う事です。

 

一概には言い切れませんが、前輪駆動車でトレール量が多い車体ほどハンドリングの悪さは目立つと思います。

 

トレール量があるということはハンドルの復元力があるということで、人によってはセルフステアがあると言ったほうがピンと来るかと思います。どちらの意味も分からないという人の為に別の言い方をすると、タイヤのほうからハンドルを真っ直ぐに戻してくるということです。それが駆動輪で発生するとなると力がさらに大きくなり、曲がりにくい、若しくは曲がらないという事に繋がるのです。

 

この事が前輪駆動車は特にアンダーステアリングの傾向が強いと言われる所以の一つなのです。ちなみにアンダーステアリングというのは、ハンドルの切れ角を一定に保った状態でスロットルを開けていくと徐々に旋回ラインが外側に膨らんでいくということです。

余談なのですが、昔、走り屋なんかがコーナーを曲がりきれなかった時によく「アンダーが出た!」とかと言ったりもしましたが、それはただ単に曲がれないスピードでコーナーに突っ込んでいるだけです。そもそもアンダーとかオーバーとかと言ったステアリング特性というのは車体そのものに備わっている特性なので自分の都合に合わせて変わったりはしません。

 

また、走り屋なんかの乗り物マニアの間ではドリフトなんかをしたりする関係上、アンダーステアを嫌う傾向があるように見受けられるのですが、普通に走る人にとってはステアリング特性はアンダーのほうが扱いやすくて良いとは思います。

 

アンダーの反対のオーバーステアの場合、旋回ラインの内側に巻き込んでいくようになり、極端を言えば最後はスピンをしてしまうのです。

 

他にはフロントタイヤの減りが早いというのも前輪駆動のデメリットとしては挙げられます。後輪駆動の場合、前輪は操舵を担当、後輪は駆動を担当とそれぞれ役割分担があるのですが、前輪駆動の場合は前輪だけが仕事をしていて後輪はただ付いてきているだけなのです。

 

予め断っておきますが、この事はあくまでも前後の重さが均等に近い場合の話であって、前後のどちらかが極端に重かったりする場合はこの限りではありません。

 

それから前輪駆動は加速の面では後輪駆動に比べて若干、不利となる傾向があります。これは加速をする時は車体の後ろ側に荷重がかかるために前輪の摩擦が少なくなるからです。ちなみに、前輪駆動の車種の中でフロントにバッテリーを搭載して前を重くしている物もありますが、重量配分を考えての事なのか、単にバッテリー搭載スペースの問題なのかは正直不明です。

 

さて、ここにきてようやく今回のモデルについて語るのですが、正直言うとこのモデルはコレと言った特徴には乏しいというのがホンネです。が、ひとつ挙げるとすればやはり、直進時の性能は高いかな?ということです。これはトレール量が多く、ホイールベースも長いということがその理由なのですが、トレール量は推定値で22mmのようで、しかもこのモデルは前輪駆動です。同じ数値の後輪駆動車よりも直進性能の高さを実感できるとは思います。また、それに加えてホイールベースも推定値で915mmと長いので走りは勿論の事、乗っていて窮屈ということもないかと思います。

 

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #19 sparco MAX S2

2024-07-14 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者mojyaoです。

 

特定小型原付の制度が始まって丸一年経ちましたが、個人所有の車輌は全然、盛り上がらないですねぇ・・

 

制度開始前は一部の人達の間では盛り上がっていたとは思うのですが、制度開始の数ヶ月前に性能等確認試験というのが発表されて業界は混乱状態になったんですね。

 

その事が各社の発売延期と納期の大幅な遅れに繋がって制度開始直後にまともに買える車種がほぼ無いという状況になったんですね。

 

電動キックボードが欲しいと思っていた人の多くはそんなこんなでついにはどうでも良くなったのでは?とも思いますし、シェアリングなんかの借り物のキックボードに乗る人の違反なんかも多く、どうにも世間の風当たりが悪いから買うのは止めたという人もいるとは思います。

 

まあ、このブログでは兼ねてから特定小型、とりわけ電動キックボードというカテゴリーは一部の乗り物マニアの中のしかもほんの一握りの超マニアックな人達の間で細々とは生き続けていくのでは?と位置づけて来たので、人気がどうのって言うのは正直どうでも良いことなんですが、個人が発信するオリジナル情報がもう少しあれば良いなとは思います。

さて、今回は関東車輌という所が販売をしているsparco MAX S2を取り上げていきたいと思います。最後までお付き合い頂ければと思います。

 

今回の車種を初めて見た時に「なんかluupの車体に似ているなぁ」とは思ったのですが、ふたつを見比べて見るとスタンドの位置は違うし、キャスター角は見るからに違うしで多分、別の車体だとは思います。

 

今回の車種は関東車輌から発売とはいいましたが、大元はイタリアのスパルコというモータースポーツ関連用品を手がける会社の物です。スパルコと言えばバケットシートとかレーシングスーツとかが有名な所なのですが、今回の車種が自社開発の製品かどうかまでは正直不明です。

 

で、このモデルも見た目的にはこれぞまさしくザ・電動キックボードという具合でこれといった特徴には乏しいという印象が否めないのですが、機械的な部分ではリアブレーキにABSが搭載されているというのは大きな特徴かな?とは思います。

 

ABSってやっぱり繊細なブレーキ操作が苦手な人にとってはやっぱりあった方が良いシステムだとは思うんですね。

 

それとフロントブレーキもドラムを採用しているという点も私個人的には良い点だと思います。

 

緊急時には初期制動が強い傾向にあるディスクの方に分があるというのは分かるのですが、カックンブレーキになりやすいという傾向は高いとは思うんですね。下り坂なんかでちょっとブレーキを効かせたいだけなのにカックンとくるようでは乗りにくいですし、謝って前輪をロックさせてしまうと最悪、前転での転倒なんてのもあり得るとは思うんですよ。

今回のモデルは安全性に特に気を配るという人には良いんじゃ無いかな?と思います。

で、ここからは私の超個人的な評価にはなるのですが、このモデルにはひとつとても関心させられる事があるんですよ。

 

それはパーツリストをPDFファイルで無料で公開していると言うことなんですね。

 

パーツリストとはなんぞや?と思う人も居るかも知れないので簡単に言うとその車体のすべての部品が書いてあるリストの事です。文字通りです。

 

何でそんな事に関心させられるのか?と言うとこれが有ると無いとでは自分で車体をメンテナンスとかするのに大きな違いがあるからなんですね。

 

単純にタイヤとかの消耗品を交換するだけだったらそんなリストは無くても部品の発注は簡単なのですが、頻繁に交換するような部品では無い物を交換する必要が出た場合、少なくとも部品の名前というのが分からないと部品の発注をしてみようが無いんですよ。

 

また、部品の名前というのはメーカー毎に同じ役目の物でも呼び名が違っていたりしている場合があったりもしますし、同じ車種の中でも名前は同じだけど別の部品というのがあったりもします。

 

パーツリストがあれば、仮に部品名がわからなくてもそれぞれ個々に固有の部品番号があるので、部品番号と必要な数量を先方に伝えさえすればそれだけで必要な部品が届くんですね。

 

最近では自動車やオートバイなどは当たり前にウェブ上でパーツの部品番号検索が可能なのですが、ちょっと前までの乗り物マニアは自分でパーツリストを持っている人も珍しくはありませんでした。

 

電動キックボード界となるとウェブ上でのパーツ検索を提供しているところは全くありませんし、そもそもそこまでのサービスを利用したがるほどの客層というのもほぼ皆無だとは思います。が、今後、電動キックボードを買う人達というのは乗り物マニアが中心になってくるという可能性を考えると、電動キックボード各社は少なくとも今回の車種みたいにパーツリストを無料公開したほうが良いんじゃないのかな?というのがあくまでも私の超個人的な感想です。

 

ちなみに今回の車種の部品の総数は124点のようです。オートバイに比べればやはり少ないですね。乗り物いじりの超入門教材として電動キックボードという物は正に最適なんじゃないのかな?と私は思っています。

 

それではごきげんよう~