電動キックボードMEISYA列伝

電動キックボードなどの特定小型原付全般のブログです。
毎回、少しマニアックな視点で書いています。

電動キックボードMEISYA列伝 #14 J-STEP NS-K500W

2024-05-05 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者、mojyaoです。

 

個人所有の電動キックボードというのは思ったほど人気が無いようで、走っているという話をあまり聞かないです。と言うことは電動キックボードは早くもマニアだけの乗り物という事になってきているのかな?とも思えます。

 

さて、今回は真のハイエンドモデルの一つで、知る人ぞ知る存在とも言えるJ-STEP NS-K500Wを取り上げていきたいと思いますが、このモデルは去年の秋に性能等確認試験の合格リストの中に突如として現れ、詳細を調べてもPADPADSPORTSという所が発表しているということ位しか分からず、私個人的には一般に販売をする車種ではなく、レンタルかなんかの専用の車種なのかな?と思っていたんですが、その後にスペックや価格や一般販売を行っているということなどが明らかになりました。

 

スペックについてですが、ざっくりと書くと、定格出力が500Wで前後サス付き、前後ディスクブレーキとこれ以上の物は無いという内容にも関わらず、それでいて価格はなんと!税込みで\126,500なんですね。大変にリーズナブルなんですが、その割には全然と言っていいほど話題にもならないし、買ったという人の走行動画も非常に少ないんですよ。とても不思議なモデルなんですね。

 

で、注目が集まらない理由というのを私なりに考えてみると、単にプロモーション不足なだけなのかな?と思うのですが、その辺に関してはどういう販売戦略を取っているのかということで変わってくる事なので、他人がどうのこうのと言うことでは無いとは思います。ですが、車体を眺めても特に欠点があるわけでもないし、なんだか勿体ないなぁ・・という気はします。

 

一見、KS6PROにも似た今回の車体はそれと同様に基本的に圧延板を溶接で組み立てた構造と考えられるのでかなり頑丈なはずです。それを裏付けるのがこのモデルの耐荷重で、なんと150kgです。

 

一般的な電動キックボードの場合、耐荷重は100kg~120kg程度なので150kgはかなりのものです。

 

また、この車種に限らず圧延板を使って溶接で組み立てた車体は仮に曲がったりヒビが入ったとしても修理が効くという利点もあります。

 

電動キックボードの場合、鋳物でできた車体という物もあるのですが、鋳物は曲がったりヒビが入ると修理は大変、困難な物となります。修理を依頼しても多分、断られると思います。

 

少し話しは逸れるのですが、鋳物の車体について触れたついでにどの車種とは言いませんが、リアにはサスが無く、リヤフォークは車体真上から見ると肉厚で、車体側面から見ると肉薄というとんでもない設計をしている車種があります。

 

その車種は今回取り上げたモデルとは価格に大きな差は無いのですが、割と人気はあるようです。

 

この車種と言い、その車種と言い、制度そのものと言い、電動キックボードの世界って謎や不思議な部分が多くてホントに面白いなぁ・・と私は思っていますし、そこが魅力のひとつだとも思っています。

耐荷重に優れている他にこのモデルはデッキのサイズが大きいというのも魅力のひとつです。カタログ値でのデッキのサイズは長さが600mmで幅が180mmです。ただ、カタログ値でのデッキの長さはフレームやリヤサスの取付部を含めての寸法なのでデッキの真っ平らな部分の長さは当番組の推定値ではあるのですが、490mm程度のようです。

 

余程、足の大きい人でも無い限り足の置き場に困るということは無いと思います。

 

あと、このモデルはタイヤにも特徴があって空気を入れる普通のタイヤとゴムだけの塊のタイヤの丁度中間の性格を持ったタイヤを採用しているんですね。

 

タイヤはゴムの塊ではなく中は空洞なんだけど空気を圧縮充填していないという具合なんですね。

 

タイヤの側面に穴を開けた所謂、ハニカムタイヤの一種と考えて良いと思います。

 

この手のタイヤはパンクをすることも無いし、タイヤもそうは重くはないという利点はあるのですが、やはり空気を入れる普通のタイヤに比べるとパワーのロスは多いというゴムの塊のタイヤが持つ欠点は残ったままです。

 

そもそもタイヤに空気を入れるという発想は自転車で如何に楽に走れるかという考えから生まれたものです。

 

とはいっても電動キックボードみたいな小径タイヤの場合はソリッドタイヤやその亜種を採用するというのは私個人的には十分に有りだと思っています。

 

タイヤが小さい場合は特に空気が抜けるのが早いのです。余程の乗り物マニアでも無い限り四六時中空気圧の管理なんてしませんから所謂、エアレスタイヤの恩恵を受ける人は多いはずと私は思っています。

 

最後にこのモデルもスマホのアプリには依存をしていないという点もあくまで私個人的にですが、良いなと思っています。以前にもこのブログで書きましたけど、スマホのアプリに依存していると車体はまだまだ使えたとしてもアプリのサポートが終了すれば重量が異常に重いだけのただのキックボードになってしまうからです。

 

長く使えるモデルをお探しなら今回のモデルのようなシンプルかつ頑丈な物を選んだほうが良いと私は思っています。

 

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #13 MIRAI T LITE

2024-04-21 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者mojyaoです。

 

前々回、このブログとしては初めてキックボード型以外の車種のSUNEMPERROR SS1を取り上げたのですが、予想に反して閲覧回数は過去の記事全体の平均以下という結果でした。

まあ、SS1自体は人気があったとしても、そもそもこのブログ自体が全くと言っていいほど人気が無いので、それが根本の原因だとは思います。

最も、このブログはごく一部の限られた層に向けた内容なので人気があったらそれはそれで困るわけです。ブログを作っている側としては知る人ぞ知るという存在になってくれれば良いなって思っています。

ちなみにこのブログで一番人気があったのはAINOHOT S07で次はVERACITY V liteです。機会があったらこの番組での人気ランキングを発表しても良いかな?思っています。

さて、今回はks6proと並んでハイエンドモデルの草分け的存在とも言えるacalieのmirai T liteを取り上げていこうかと思います。

このモデルも特定小型の制度が始まる前はswallowのzero9liteと並んで特定小型原付はコレで決まりだ!みたいな記事をよく見かけたのですが、いざフタを開けてみるとそうでもなかったとは思います。

その一番の要因は価格が高めということなのかな?と私は思っています。まあ、価格が高いということは常識的に考えればそれだけ良い品物であるということに繋がるのですが、十万円台の後半という価格は決して安い物ではなく、買うのを躊躇する人も多かったんじゃないのかな?と私は思っています。

また、各社から特定小型モデルの発表が相次ぐ直前くらいだったかな?今回取り上げるモデルを取り扱っているacalieが価格6万円台のrichbit es1proを発表。注目は一気にそちらのほうに移っていったんですね。

以前もこのブログで書きましたけど、特定原付、取り分け電動キックボードというジャンルはまだまだ得体の知れない物で、世間一般では海の物なのか山の物なのかが分からない物のように思われていると思います。

そんな得体の知れない物に乗るという冒険をするんだったら価格が安いほうに流れていくというのは理解できるんですね。仮に特定小型原付が無用の長物だった場合でもダメージが少なく済みますからね。

今後もしばらくは価格の安いモデルに人気が集中しそうなのですが、安物買いの銭失いということわざがある通りで徐々にですがハイエンドモデルのほうの人気が出てきてもおかしくは無いと思っています。

Mirai T liteの特徴のひとつとして挙げられるのが航続距離が長いということです。

標準装備での航続距離は30kmと驚くほど長いというわけではないのですが、オプションの大容量のバッテリーに交換することで60kmと倍の航続距離を得ることができるのです。

バッテリーという物は充電できる回数に限りがあり、航続距離が長いということは同じ距離を走る場合、その分だけ充電回数を減らせるということです。つまりは寿命が長いということです。

逆を言うと安いモデルで航続距離が短い物は同じ距離を走る場合、寿命が短くなるというわけです。

価格が高いモデルと安いモデルの差は他にもいろいろとあるのですが、多くの人に一番わかりやすいのが航続距離の長さや、坂をどれだけ登れるパワーがあるかとかだと思います。

走行性能の高さを一番に考えた場合、今回取り上げた車種のようなハイエンドモデルを買うのが無難だと思います。

そうそう、ハイエンドモデルという言葉が出たことで思うことがひとつあるのですが、特定小型原付の世界ではどうやら価格が10万円を超える物がハイエンドモデルと呼ばれているようなのですが、私個人的には価格だけでハイエンドって呼ぶのには違和感があるんですよ。

特に前後にサスペンションが無い車体を単にハイエンドって呼ぶのはどうなのかなぁ?って思うんです。

高価な車に例えて言うと、トヨタクラウンにサスペンションが付いていないような物なんですよ。ガタガタの乗り味ではどう考えたって高級車だとは思えないんですね。

とはいっても高価な車で足回りが硬い車もあります。ハイエンドはハイエンドでも分類を分けたほうが良いんじゃ無いのかな?って思っています。

まあ、その辺のことに関してはあくまでも私の個人的な意見でしかないのですが、今回のモデルは前後サス付きで動力性能や航続距離などトータル的な性能で優れていると言えるので特定小型電動キックボードの真のハイエンドモデルのひとつと言っても良いんじゃないのかな?って思っています。

最後にですが、このモデルはひとつだけ日頃からまめにチェックだけはしたほうが良いんじゃないかな?と思う部分があります。

それはハンドルポストとデッキを繋ぐフレーム部分で、デッキ側がボルト止めで結合されているということです。

通常、この部分はキックボードにせよ自転車にせよバイクにせよ溶接か一体成形で作られる箇所です。

まあ、ボルト止めでも最低限ネジロック剤を塗ることで緩み止めの対策はしているものと思われるのですが、念のためにボルトが緩んでいないかどうかは定期的に確認をしたほうがよろしいんじゃないのかな?って思います。

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #12 kickboard EV basic

2024-04-07 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

いよいよ4月です。電動キックボードが乗りやすい時期になってきました。その割には最近、特定小型原付界隈の話題が少ないのですが、今回はサドルが標準で装備されているキックボード、BLAZEのkickboardEV basicを取り上げてみたいと思います。

 

立ち乗りで乗るキックボードは人間が乗った場合に重心が高くなって危ないんじゃないのか?とは以前から言われているのですが、座って乗るタイプいわゆるサドル付きのキックボードというのはまだまだ少なくて、今回紹介する車種の他にはNewseedのkickzone WZ-KICK01-BKやhillstone od606位なんですね。

 

座って乗るキックボードというのは重心が低くなって安定しやすくなるのは勿論なのですが、周りの人達の目から見ても不安定さを感じさせないという視覚的な安心感もあると思うので、今後は特定小型の自転車型やオートバイ型と共に普及してくるんじゃなのいかな?と思っています。

 

少し本題から逸れるのですが、立ち乗り姿勢の乗車が不安定で危ないという事について、私個人的には長年、車体の軽い125cc以下クラスのオートバイに乗ってきたということもあってなのか、危ないと思ったことが一度も無いのです。

 

それどころか路面が凸凹だったりする場合、座って乗るよりも立って乗るほうがむしろ乗りやすかったりするのです。日頃からオートバイ、特にオフロードを走っている人なら分かると思います。

 

立ち乗り姿勢が問題になっているのは運転の技量、すなわち体重移動が適切にできるかどうかという所のようです。

 

自転車でも立ち乗りをすることはありますが、自転車の場合はペダルを漕ぐ時に少なからず体が左右に連続で動くので、直立不動でバランスを取ることに比べればバランスが取りやすく、そこを気にする人ってあまりいないと思います。

 

つまり、自動で動く二輪車に慣れていない人がいきなり立ち乗りをするにはハードルが高いということなのです。

 

ですので、誰もが簡単に乗れるキックボードとなるとサドル付きというのは打って付けなんですね。

 

そのほかにも乗る距離が長くなればなるほどサドルはあったほうが良いんですね。さすがにずっと立ちっぱなしでは疲れてしまうんですよ。

 

まあ、今回紹介するモデルは前後に油圧ダンパー付きのサスペンションが付いているので若干、例外にはなるのですが、電動キックボードってサスペンションがフロントにしか無い若しくはサスペンションそのものが無いというモデルも珍しくは無いんですね。

 

そうなってくると乗り手が路面からの衝撃に耐えるにはやっぱりサドルがあったほうが良いということになるんですね。サドルという物は余程スパルタンな物でも無い限り、普通、バネが付いているのでそれがショックを軽減してくれるんですね。

 

オートバイでも戦前から戦後間もない頃の物はフロントにこそサスはあるものの、リヤはサス無しのいわゆるリジッドタイプで代りにシートの下にバネが付いているというのが珍しくはありませんでした。当時の道路事情は今と違い未舗装路すなわち砂利道が多かったのですが、それでもそのような足回りで問題が無かったのです。

 

現代は道路のほとんどが舗装されていますので、そもそも未舗装路とは違って快適に走れますし、今回取り上げた車種の場合は後輪にもサスが付いていますので乗り心地的には十分以上だと思います。

その他にもこの車種の良い部分としては、展開時の全長と折りたたみ時の全長に大きな差があるということです。

 

この車種の全長はカタログ値で1210mmなんですが、折りたたみ時の全長はカタログ値で1130mmです。なんと80mmも短くなるんですね。

 

折りたたみ構造がある電動キックボードのほとんどは展開時の全長と折りたたみ時の全長は変わらないのが普通です。

 

以前、このブログでも書きましたが、電動キックボードの全長は1200mmを超えると軽自動車の後部座席の足元に車幅方向で真っ直ぐ積むことが難しくなってくるのですが、折りたたみ時にそこまで短くできた理由はハンドルポストとデッキを繋ぐフレームの部分を折りたたむという構造だからです。

 

他に今回のモデルと同じタイプの折りたたみ構造を採用しているのはzero9liteやE-KON cityやAIRSHIPやHill Stone od606位なのですが、それらの車種の場合でも展開時と折りたたみ時の全長はほぼ同じです。したがってkickboardEV basicの折りたたみ構造は実に秀作であると言っても良いと私は思っています。

 

このタイプの折りたたみ構造を採用している車種というのはハンドルポストの高さを調整できる物が多いというのも特徴です。

 

ハンドルポストの高さを調整できる利点というのは、乗る人の身長に合わせられるということは当たり前なのですが、それは脇を締められる高さにハンドルを調整できるということなんですね。

 

信じられないかもしれませんが、脇を締めると締めないとでは走りは随分と変わるものです。脇を締めたほうが走りは安定するのです。電動キックボードのみならず二輪車で曲がりが苦手だという人は是非、試してみて下さい。違いがわかるはずです。

 

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #11 SunEmperor SS1

2024-03-24 00:00:00 | 日記

電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

今日はサンエンペラーSS1をテーマにこのブログを進めて行こうかと思うのですが、このブログの過去を振り返ってみるとキックボード型以外の車種を取り上げるのって今回が初めてなんですよ。

 

実を言うと・・なのですが、今までキックボード型しかテーマにしなかった理由はそもそもこの番組はオートバイ乗り目線で作られているからなんですね。特に自転車型のモデルを取り上げるのには迷いがあったんですよ。

 

オートバイ趣味の人の視点と自転車趣味の人の視点ってかなり違っているようで、今現在、自転車以上原付以下という位置づけの特定小型は行ってしまえば海の物なのか山の物なのかが分からない状況だと思うのです。そんな状況の中で特に自転車型の車種をこのブログで取り上げるのはどうなのかな?って思っていたんです。・・というか今でも思っています。

 

自分でも分かっているのですが、オートバイ乗り目線でこのブログを書いているとは言っても多分、多くのオートバイ趣味の人達からはだいぶズレた内容のブログだと言われると思うんですよ。そこにきて自転車趣味の人達がこのブログを読むと余計にズレた内容だと感じると思うんですよ。

 

そんなわけで特に自転車型に関しては自転車趣味の人に任せてしまってこのブログは自転車型以外の車種に徹してしまったほうが良いんじゃないかな?って思っているんです。

 

そんなわけで今回取り上げるSS1はタイプとしてはスクーターとして分類できると思うのですが、広い意味ではオートバイタイプでもあるんですね。ですが、そのスクーターっていう名称もこれがややこしくて、スクーターという分類がオートバイのカテゴリーの中に入るのって実は日本だけなんです。海外ではスクーターと言えば普通のキックボードのことを指すんですね。

 

そして、オートバイという物も元々は自転車と大して変わらない車体にエンジンを付けたのがその始まりですから、足蹴りスクーターに動力源を付けた物はそれと同じでオートバイになると私は思っています。

 

だいぶ前置きが長くなりましたが、特定小型原付を普段の生活で使おうと思ったらSS1はやっぱり魅力的なんじゃないかな?と私は思っています。

 

なんといってもリヤにバスケットが付いていますから通勤、通学、お買い物には適していると思うんですね。

SS1は車体だけで考えた場合、重い荷物も問題なく運べるようです。車体の耐荷重はカタログ値で120kgとクラストップレベルです。これは体重60kgの人が運転した場合、60kgまでの荷物が積めるという勘定なのですが、特定原付の積載量は一般原付や原付二種や自転車と同じで車体の性能に関係無く一律30kgまでです。これは注意が必要な部分で、誤解が無いように別の言い方に言い換えると、SS1の場合、最大積載量の30kgの荷物を運ぶ場合、体重90kgの人までなら乗車ができるということです。

 

純正のカゴが重さ30kgまで耐えられるかどうかは正直わからないのですが、華奢な物でも無いようなので、生活用途の枠を超えてちょっとした集配などの業務にも使えるんじゃないのかな?って個人的には思っています。さすがに新聞配達などは荷物の重さもさることながら荷物の面積が大きいので厳しいかもしれませんが、ポスティング業務とかなら純正のカゴだけでなんとかなりそうですし、不安だったら何かしらの方法でステーを追加するくらいでいけると思います。

 

今の所、特定原付で積載性能が高いモデルはSS1の他にカーメイトのe-FREE01やacalieのMIRAI T Lite位とまだ少ないのですが、今後は自転車型を中心に積載性能に優れたモデルがもっと増えてくることが予測されますので、将来的には新聞配達は一般原付の電動バイク、ポスティングなどは特定原付っていう棲み分けが生まれれば面白いんじゃないかな?って私は思っています。

 

また、積載性能に加えてSS1は旋回性能も良さそうです。車体全長は1260mmなのですが、それに対してホイールベースが短いのです。毎度おなじみの当ブログ独自の推定値で880mm程度のようです。

 

他の車種、とりわけ電動キックボードの場合、車体全長が1100mm台の後半あたりからホイールベース寸法が推定で900mmを超えるというモデルが目立ちはじめます。

 

ホイールベースが短いと小回り性能に優れるというのはもうご存じのことと思われますが、旋回性能の善し悪しは単に小回り性能に優れるというだけで語れるものでも無く、ハンドリング特性がどうなのか?というのも重要になってきます。

 

よく旋回性能が高い=クイックなハンドリング特性とは言われますが、逆にハンドリングがクイックすぎると今度は旋回時の安定性を阻害してしまいます。

 

そこで、旋回時の安定性に一役買うのがステアオフセットなのですが、SS1はこの値が推定で45mm位と多いのです。

 

他の車種、とりわけ電動キックボードの場合、ステアオフセットは多くても25mm前後位で、そもそもステアオフセットが無いという車種も珍しくありません。

この車種で旋回時に不安を感じるということは無いんじゃないのでしょうか?

 

それではごきげんよう~


電動キックボードMEISYA列伝 #10 KS6PRO

2024-03-10 00:00:00 | 日記

ども、電動キックボードMEISYA列伝の執筆者のmojyaoです。

 

さて、今回はこのブログでも名前だけは度々登場しているKS6PROを取り上げていきたいと思うのですが、実を言うと過去の記事のRichbit ES1PROの時にKS6PROとES1PROはあまり語ることが無いと書いたことがあるんですね。多分、読者の方の中でも覚えているっていう方もいると思います。

 

その時、その理由についても少しは触れたのですが、これらの車種の車体構成は非常に標準的で、見た目的に新しい部分があるわけでも無ければその逆も無いというわけです。

 

そんな中でKS6PROを取り上げるわけなのですが、この車種の優れた点のひとつとしてあげられるのが前輪の足回りのジオメトリーなんじゃないのかな?と私は思っています。良好なバランスだと思うんですね。

 

ちなみにジオメトリーとは日本語に訳すと幾何学という意味です。幾何学と聴いただけでは何の事なのかサッパリ分からないと思います。今回の内容では足回りに関する位置関係と捉えて頂けるとよろしいんじゃないかな?と思っています。

 

KS6PROの足回りに関して公表されているデータはタイヤサイズが10インチということだけで、その他は公表されてはいません。まあ、この事はKS6PROに限った話ではなく、電動キックボード界全体に言えることです。

 

公表していない部分について発売元や販売元に問い合わせるというのも正直言って面倒ですし、聞かれる方も多分、回答に困るでしょうから、当ブログでは全長や全高などの公表されているデータを元に推定値を算出するという方法で解説しています。実際の寸法とは違う可能性がありますので、予めお断りしておきます。

 

で、KS6PROのフロント周りの推定値なのですが、キャスター角が15°程度のようで、ステアリングは25mm程オフセットされているようです。トレール量は10mm程度のようです。

 

専門用語だらけでサッパリ分からないという人もいると思いますので超簡単に説明します。

まずはキャスター角についてですが、キャスター角についてはこのブログでも何度か取り上げていますが、ステアリング軸の傾き角度のことです。

 

次にステアのオフセットとは?ということなのですが、タイヤをステアリング軸の延長線上ではなく、前方にずらして取り付ける距離のことです。何故にタイヤをステアリング軸からずらす必要があるのか?ということをざっくりと説明しますと、語弊はあるかもしれませんが、ハンドリング特性をマイルドなものにするためです。

 

ちなみにステアオフセットの量を小さくするほどハンドリングはクイックになります。オフセットが大きくなるほどそれが逆になるということです。

 

そうなると、ステアのオフセット量が大きい方が扱いやすくて良いような気もするのですが、オフセット量は大きくなるほど直進安定性が犠牲になります。どういうことかと言うと、分かり難いかもしれませんが、オフセットを大きくするとタイヤの回転軸はステアリング軸から遠くなり、その結果トレール量が減少するからです。

 

最後にそのトレール量とは?についてですが、これについてもこのブログでも過去に何度か触れたのですが、ステアリング軸の中心線とタイヤの垂直方向の中心線を接地面で測った距離のことで、その距離が大きいほど直進安定性に優れ、小さいほど逆となります。

たいぶ大雑把な説明でしたが、結論としては直進を得意とさせると曲りが苦手になり、曲りを得意とさせると直進が苦手になるというわけです。相反するふたつの条件をどこで妥協するのかというのがとっても難しい所なわけで、タイヤが小さくなるほど特に難しくなるんですね。

 

例えばキャスター角とステアオフセット量がKS6PROと同じ推定値となるES1PROのタイヤサイズはKS6PROよりも1.5インチ小さい8.5インチです。タイヤが小さくなっただけでこの場合、トレール量は5mm減少します。KS6PROのトレール量は推定10mmですので、ES1PROのトレール量は推定値でわずか5mm程と極端に小さくなるのです。もはやギリギリという位になるんですね。タイヤが大きいほうが安定性は高いと言われる由縁のひとつがトレール量を確保しやすいという点なんですね。

 

それでもES1PROはトレール量が確保されているだけまだ良いんです。どの車種とは言いませんが、トレール量がギリギリを通り越してマイナスになっていると推測できる車種もあるんですよ。トレール量がマイナスになるということはどういうことか?と言うと後進、つまりバックする時に直進安定性が増すということです。

 

他にKS6PROで挙げられる良い点としてはやはり重量が22kgある大柄な車体でデッキ長は推定505mm程度でサイズに余裕があり、ホイールベースも推定で915mm程度と長いということでしょう。

 

ホイールベースとは?ということについてもこのブログで何度か説明はしていますが、それが長いほど直進安定性に優れ、短いほど小回り性能に優れます。さらにKS6PROはバッテリーをデッキの中に納めつつもデッキの高さを低く押さえているので、どの方向からの重量バランスも良好と言って良いと思います。

 

それではごきげんよう~