■M亭のおかみさん

海老フライ＆ハンバーグランチ




お昼近くになると、「今日は、何食べる～？」

というのが、口癖のようになっているワタシと同僚のKちゃん。

会社の周辺には、まだ食べた事ないお店が沢山あるので、

新規開拓しようかっと、

ネットのグルメサイトで、検索をしたのだった。

そしたら、一番最初に「M亭」というお店が出てきた！

なになに？お座敷で洋食を食べられるお店？

「ランチでの人気メニューは、土鍋シチュー・牛タンシチュー！　

2つともボルシチベースで土鍋で提供致します。」

だって。クチコミの採点も5点満点で4.71点。

ふ～～ん。美味しそうだけど、お座敷は足が痺れるしな。

落ち着かないし、ここはいいや。。。





結局、目ぼしいお店を見つけられずに、

いつものラーメン屋さんに向かう事にしたワタシとKちゃん。

茅場町から八丁堀方面に向かって歩いていると・・・

何やら黄色い目立つ看板を発見

そこには、ネットでさっき見つけた「M亭」の文字が。




ワタシ「あっ！ねぇねぇKちゃん、あの黄色い看板のお店、

さっきyahoo！グルメで点数が4.71も有った

洋食屋さんなんだよ。行ってみる？」


お店の前に出ていたメニューを見てみると、

蟹クリームコロッケ＆ハンバーグとか、

海老フライ3本＆ハンバーグとか、
正統派洋食屋さんの美味しそうなメニューが並んでいるではないの。




美味しそうだねぇ～ここにしようか？

でも、お座敷なんだよな。と、話してたら・・・



いきなりバーンとお店のドアが開き、


「いらっしゃい～！今日は空いてるの！何処でも坐って！」



明らかに「カツラ」とわかる髪形を

カラフルなカチューシャを、額辺りまで下げて、

バンダナっぽくした、年の頃なら60代ぐらいの女性が出て来た。

おそらく、このお店のおかみさんなのだろう。



お店に入ると、テーブル席が4つ。

二人連れの女性客が２組お食事中だった。

席に着くと、およそ食べ物屋さんとは思えないような匂いに気づいた。

香水のような、アロマオイルのような、甘ったるい香り。

「何か変わった匂いがするねぇ・・・あの、オバサンの匂いかな」




そして、メニューを見ていると

「決まった」

と、おかみさんが現れ、それぞれのメニューについての説明を

長々と始めた。。。。。




結局、ワタシとKちゃんは、




『海老フライ３本とハンバーグランチ』を注文。

（割り箸の袋に実名が入っているが気にしないでね）


「あぁ～、このランチは味噌汁になっちゃうのよ！いい？」

（・・・別にいいです）





丼に入ったご飯には、白ゴマがかかってました。




すると、おかみさんは、

「うちのハンバーグ初めて？」


ワタシ達がうなずくと、


「そのままでもいいんだけど、良かったらそれ使って！」


何やら、テーブルの上にある赤い液体が入ったビンを指差す。


「それとね、野菜で海老フライをくるんで食べると美味しいから！」






とっても素直な、我が同僚Kちゃんは、言われるがままに

ビンに入ったドロッとした赤い液体を、

ハンバーグに付けて、恐る恐る食べ始めた。

「どう？」と、聞くと。


「・・・　・・・　豆板醤のようです・・・　・・・」


ハンバーグに豆板醤！どういう味覚の持ち主なのか、おかみさん！




ここは、正統派の洋食屋さんなのでは？

すると、すぐ横の壁に写真入のメニューが貼って有るのを見つけた。

なになに？餃子？焼肉？





何はともあれ、海老フライはプリプリして美味しかったし、

ハンバーグもまぁまぁ。。。（豆板醤はいらないと思う）

ワタシ達がお食事をしている、その間も

強烈なおかみさんは、他のテーブル席を回り声を掛ける。


「どう？ハンバーグ美味しい？」

「ごはん足りた？」


そして、常連さんとおぼしき女性達の席に行き、


「見て！ケータイ新しくしたの！万歩計が付いてるのよ

それから・・・あんな機能やこんな機能も付いてるのよ！！！」




ワタシとKちゃんは、あのおかみさんが、こっちに来るのではないかと、

いつもより口数が少なく、戦々恐々と食べていました。

それは、Kちゃんが残り半分の海老フライを口に入れた瞬間でした！！！


「あのね、うちの使ってる海老は新鮮なの。どう？」

「良かったら尻尾まで食べて！足腰にいいんだって！

うちの海老は中エビだから、全部食べられるの！」



じっと見つめられながら、海老フライを食べるKちゃん。

ここで、尻尾を残すわけにはいかないと思ったのか、
結構大きな尻尾を言われるがままに食べちゃいました

（何ていい人なの。Kちゃんったら）




そして、おもむろにワタシを見たおかみさん。

「使った？」　　（豆板醤のこと）

まだ、使ってなかったワタシだったけど、思わず頷いていまった。

こりゃいかん！使わなくっちゃ。

たとえ、豆板醤だとわかっていても、

ハンバーグに絶対合わないとわかっていても、
頷いた以上は、お皿に使った痕跡を残さなければいけない

かくして・・・お皿の端に目立つように豆板醤を残し、
ハンバーグにも付けて食べたのでありました

（ドミグラスソース味のハンバーグが途中から中華味になって

世にも不思議な体験をしたのでした。）





ところで、ワタシはどうしてもゴロッとした大きな海老の尻尾が食べられず、

(川海老の唐揚げなんかは好きですよ)
お皿の上には３本分の尻尾が残ってしまった

何かで隠せないかな。

紙ナプキンは・・・無い。




紙ナプキンといえば、後からお店に入ってきた二人連れの男性客。

白いワイシャツに何かのシミを付けてしまったらしい。

紙ナプキン紙ナプキンと呟いていたが、無かったので

おかみさんにタオルを借りていた。

また、そこでも摩訶不思議なおかみさんの発言が。



「あらっ！何こぼしたの？えっ？ドミグラスソース？

あぁ。大丈夫よそれなら！

うちのカレーは落ちないの。だけどね、ドミグラスソースなら

タオルで軽く拭けばキレイに落ちるから」




　　　　　　　　　　　　




そのシミを付けた男性客は、常連のようだった。

やはりハンバーグを注文したらしく、

おかみさんが、

「それ使ってみて！（豆板醤のこと）味が締ま・・・」



「知ってる！！！！」


ちょっぴり、うざったいと感じたらしいその男性客は

有ろう事か、おかみさんの説明をさえぎってしまった。




　　　　　　　　　　　　　　　




不思議だ！不思議すぎる。

不思議なお店と強烈なおかみさん。

点数4.71！


再び、ワタシ達がこの店を訪れる機会は有るのだろうか・・・


それにしても、Kちゃんの胃袋が心配でしょうがないワタシです