リヒャルト・ワーグナー - Richard Wagner (1813-1883)
女声のための5つの詩 「ヴェーゼンドンク歌曲集」 Op. 91
5 Gedichte für eine Frauenstimme, "Wesendonck Lieder"
作詞 : マティルデ・ヴェーゼンドンク - Mathilde Wesendonck
ジェシー・ノーマン - Jessye Norman (ソプラノ)
ロンドン交響楽団 - London Symphony Orchestra
コリン・デイヴィス - Colin Davis (指揮)
〘 …《ヴェーゼンドンク夫人-ヴェーゼンドンク歌曲集、トリスタンとイゾルデ》
逃亡中においても精力的に作曲活動は行っており、彼の周りに数々のパトロンも現れてくれました。パトロンは音楽家にとっては神さまのような有難い存在…にもかかわらず、そのパトロンの奥さんと不倫を重ねていくワーグナー。そのうちの一人にヴェーゼンドンク夫人がおり、彼女との関係が続いている間に音楽史上に残る名曲を2つも創作したワーグナー。その不倫相手の名前を冠した『ヴェーゼンドンク歌曲集』と悲恋のオペラ『トリスタンとイゾルデ』です。不倫とはいえ、これらの傑作を生み出すパワーはほんとにハンパない…
この『ヴェーゼンドンク歌曲集』は5つの詩をベースに書かれた歌曲集ですが、この詩は他でもない、ヴェーゼンドンク夫人が書いたもの。そして、オペラの大作『トリスタンとイゾルデ』はヴェーゼンドンク夫人との秘め事を音楽で表現されたといわれています。… 〙
〘 …トリスタンとイゾルデは王女の結婚にまつわる物語なのですが、
ワーグナーは当時トリスタンとイゾルデの作曲と並行してヴェーゼンドンク歌曲集というのも作っているんですよね。
こちらは恋のお相手のマティルデが作った詩にワーグナーが音楽をつけたもの。
女性の声で歌われるもので、どちらかというとヴェーゼンドンク歌曲集の方が当時の熱い恋愛状況がわかるような気がします。
歌曲集は5つからなり
天使
とどまれ
温室にて
悩み
夢
これを聞くとああワーグナーだなあと感じると同時に、恍惚っていう言葉がぴったりかもしれないってちょっと思いました。
ワーグナーはマティルデの詩に音楽をつけて楽隊に演奏させて、誕生日に音楽をプレゼントしたのだとか。
なんともロマンティックなことです。(家庭は大丈夫だったの?と思いますが、壊れはしなかったようで‥)
中でも「温室にて」と「夢」はトリスタンとイゾルデの副題が付いているくらいですから、一緒に聞いてみるとよりわかるような気がします。
もうひとりトリスタンとイゾルデ、そしてヴェーゼンドンク歌曲集というと
フェリックス・モットルという人が出てきます。
ワーグナーに関わる人は数多くいますけど、
このフェリックス・モットルという人はヴェーゼンドンク歌曲集のオーケストレーションをしたことで有名で(誕生日の時のは違う人らしいですが)
そしてものすごくワーグナーの音楽に魅入られていたワーグナーの専門家と言える人なのです。
バイロイトにおける初めての指輪全曲上演の際、ハンス・リヒターの助手だった人だし
1886年には初のバイロイトでトリスタンとイゾルデを指揮
ワーグナーの専門家とも言える人で、世界各地からよばれ
最後はなんとトリスタンとイゾルデの指揮をしながら倒れて、その後亡くなってしまったという人なのです。
まさにワーグナー作品に注いだ一生だったんだなと思います。
妻を取られても初演の指揮を引き受ける指揮者がいたり、
指揮をしながら亡くなる人がいたりなど、
ワーグナーの魅力にとりつかれる人は昔から多かったということみたいなんですよね。〙
💔 Mathilde Wesendonck inspirierte Richard Wagner nicht nur zu »Tristan und Isolde«, er vertonte auch fünf ihrer Gedichte in den »Wesendonck-Liedern«, die Daniel Barenboim diese Woche dirigiert. Wir blicken auf diese Liebesgeschichte ohne Happy End.https://t.co/NuOqmr1DGu
— Berliner Philharmoniker (@BerlinPhil) May 30, 2023
〘 務川慧悟が浜離宮朝日ホールで4日間のリサイタルを行った。プログラムは2種類で、2022年12月15日(木)・16日(金)と、20日(火)・21日(水)がそれぞれ同一プロ。中心軸となったのは、リリースされたばかりのCDとリンクする形で、ラヴェル作品である。前半には、ラヴェルの世界観とどこか通底するものや、希望の声が寄せられた曲、そして何より務川が4日間の舞台を浜離宮朝日ホールに選んだ理由に則した作品が置かれ、後半はラヴェルで固めた。筆者は15日(木)と20日(火)のコンサートに足を運んだ。本稿はその公演に基づいたレポートである。…
…アンコールに入る前のMCで、務川は一つの種明かしをした。この日使用したピアノは、15日(木)・16日(金)に弾いたスタインウェイとは違い、ホールが所有するもう一台の楽器とのことだった。両日聴いた方々の中には、この日の音色の方が、どちらかといえば太い響きのように感じた人もいたのではないだろうか。筆者は個人的には15日(木)・16日(金)の、より線の細く透明感のある響きのピアノの方が、ラヴェルには合っているように思った。西村作品をそちらのピアノで聴けたのもよかった。20日(火)のピアノは、シューマン作品を念頭に置いたのだろうか。いずれにせよ、それぞれの特性を感じ取りながら演奏していた務川は、「こちらのピアノでも、15日(木)・16日(金)のプログラムの曲を弾いてみたくなった」ということで、アンコールに《水の戯れ》を弾いた。よく伸びる、まろやかさのある音色が印象的だった。日本のリサイタルで《クライスレリアーナ》を初披露したことは「一大イベント」だったと話す。アンコール2曲目には、シューマンの《ユーゲントアルバム》から第30曲を披露してくれた。シンプルで繰り返しの多いこの作品を、務川はじんわりと心に深く染み入る音色変化で聴かせた。やはり帰り道にずっとずっと、その響きが耳と心に残った。
取材・文=飯田有抄 〙
〘 プロの上演でも四日かかるワーグナーの大作「ニーベルングの指環」など大がかりなオペラに挑戦してきたアマチュアオーケストラの愛知祝祭管弦楽団が二十八日、名古屋・栄の県芸術劇場コンサートホールで ワーグナー のオペラ「トリスタンとイゾルデ」全三幕を演奏会形式で上演する。全曲の上演は三年ぶり。… 〙
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