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マイライフ

旅行や観劇、映画などの趣味に関することに加えて、日々の出来事や事件について思うことなどを徒然につづって行きます。

「魂萌え!」を読みました

2007-05-30 17:28:40 | 
 前にNHKのドラマでやっていたので、原作を読んでみました。

 桐野夏生の作品はそんなに読んでいるわけではないですが、筋書きがおもしろいですね。「小説家」という感じです。(うまく表現できませんが)

 主人公は59歳で、夫を急に亡くします。

 ずっと専業主婦で、社会にもまれたことがなく、また、夫を信じきっていた彼女は、夫の死後、いろいろなことを知っていきます。

 まず、信じきっていた夫に十年来の愛人がいたこと、そして、そばうち教室と偽って彼女と度々会い、お金までかしていたこと、そして、アメリカにいた息子が妻子を連れて帰ってきて、同居を希望したり、さらに、その家に対する権利を要求したりと、かわいがって育てた息子に裏切られた気分になったこと・・・

 しかし、彼女も悲しみから徐々に立ち上がり、つきあいを広げていき、自分なりの人生を歩み始めます。

 人生50年と言われた昔に比べて、現在は80年どころか、90いくつなんていう方もたくさんいます。

 昔のように60過ぎからおばあさんだからと甘えていられない時代、いつまでも自分でしっかり生きていかなければ大変な時代なんだなと、将来の自分の時代を思いつつ、いろいろ考えさせられました。

 話の展開が上手で、ちょっと真剣にさせられたり、感心させられたり、引き込まれる感じです。

 この作家は、この小説では59歳の女性が主人公ですが、昨年の朝日新聞の連載小説では20代のフリーターの若者を主人公にしたものを書いていて、よくいろいろな年代や性別の人に成りきって書けるものだなと思います。

 すばらしい想像力の持ち主なのでしょうね。うらやましいです。

「わるいやつら」

2007-03-16 16:14:16 | 
 先日ドラマが終わってしまいましたが、松本清張の原作も読んでみました。

 だいぶ前、学生の頃に読んだことがあったのですが、ドラマを見て改めて読んでみると、松本清張の作品はやっぱり構成とかがしっかりしていて、すごいなと思います。

 何回もドラマ化されるのも当然ですね。

 米倉涼子主演のドラマに置きかえても、原作をそんなに変えていないのに、現代でも充分通用するし、古くささなんて感じません。

 悪いお医者さんが次々に女性を手玉にとって利用し、医者という立場を使って自分に都合の悪い人間を殺していく。しかし、最後に、さんざん利用していらなくなったから殺したはずの女が息を吹き返し、そのために悪事がばれて逮捕されるという筋書きですが、医者のずる賢さ、巧みさがよく描かれています。でも、最後は「世の中、そうそう思うようにはいかないよ」ということでしょうか。

 ドラマでは、予告や宣伝で米倉涼子の悪女ぶりを強調しているように言っていました。でも最後の方は確かにそうでしたが、前半はやはり医者の狡猾さとそれに振り回される女の話という感じだったと思います。

 米倉涼子も良かった(?)ですが、脇役の余貴美子の演技のうまさが印象に残りました。

 小説やドラマのように、悪いことをした張本人が最後には大変な目に遭うということになればいいのですが・・・。

 

 


「心にナイフをしのばせて」を読みました

2007-01-26 15:28:02 | 
 1969年に起きた、少年による殺人事件の被害者家族がどのような生活を送らねばならなかったか。被害者の妹が語る形で書かれたものです。

 38年も前の話になりますが、少年事件の多発する昨今、その被害者の家族の悲惨な状況は現代とも重ねて、重いものを提起しています。

 高校一年の男子が同級生の男子を殺したという事件で、何回もナイフで刺して最後に首を切ったのだそうです。

 加害者の少年は医療少年院に送られたそうですが、後の酒鬼薔薇事件と違って、いつまでそこにいたのかとか、その後どうしていたのかとかは一切発表されなかったそうで、当時はまだ、今ほど被害者側の要望が生かされていませんでした。

 被害者の家族は両親と妹さんで、3人とも息子や兄を亡くした悲しみや苦しみに耐えるためにどんなにつらい思いをしたか、切々と伝わってきました。大切な期待の息子を殺されたら、自分自身の人生の目標というものも見えなくなってしまうでしょうし、生きる気力もなくなってしまうことでしょう。

 同じように息子の死と言っても、病気と戦って亡くなってしまうのとは大分違うでしょう。

 また殺された場合には加害者への複雑な思いがあります。

 その加害者が、30何年たって、弁護士をしており土地の名士として活躍していることがわかります。

 その加害者からは事件の後、何の謝罪もなく悪いことをしたという言葉も聞いたことがないとのこと、一度も被害者の家族の元も被害者の墓も訪れたことはなく、むしろ、忘れたがっているようすが窺えます。

 被害者の母が会いたいというと「金が欲しいのか」という加害者。立派になった彼には被害者に対する申し訳なさ、人一人の命を奪ったことに対する悔悟の念など、微塵もないようです。弁護士でありながらも・・・

 更生を目的とする少年法から見れば、立派にそれが達成された見本のような加害者であり、確かに被害者への謝罪をすることなど、法律に書かれてはいません。

 しかし、長い間、大切な家族を失った悲しみの中で生き、つらい思いをしてきた遺族の人生に比べて、過去の犯罪を抹消されて、その上に豊かで幸福な人生を送る加害者を見ると、これでいいのだろうかとか、世の中ってこんなものなのだろうかと暗澹とした思いになります。

「人は見た目が9割」を読みました

2006-12-05 15:30:35 | 
 「人は見た目が9割」という題名ですが、何も人間は見た目で決められてしまうとか、美男美女は得だとか、そういう内容ではありません。

 人間は内容が問題だと言っても、その内容が見た目に現れるということは多く、また言葉で伝えられることというのは非常に少ない。

 ものがその色や形でかなり人の受け取り方を左右してしまうように、人の場合も服装やその色、メイク等で相手に対する印象が変わってしまうことが多い。

 言葉以外のもので、意識的であれ無意識にであれ伝えてしまう方法、その人の外見や身だしなみだけでなく、態度やマナー、表情やその人の動きなど、いわゆるノンバーバルコミュニケーションというものが述べられています。

 内容で勝負したいと思っても、考えてみると、その人の見た目からはわからない内面まで知るほどおつきあいする人は、非常に限られた数になります。

 親族や友人は別にすると、そんなに深くつきあう人というのは多くなく、やはり、通り一遍の会話だけで円滑に済ます相手の方が多いです。

 そうするとやはり、見た目の相手に与える影響は、自分を判断してもらう上でかなりの部分を占めることになります。

 見た目にはかなり自分の内面が出てしまうわけですから、美男美女でなくても内面をましにしようとすると、それが自ずと見た目にも現れてくるということでしょうか。

 それに、たとえば男性が周囲に威圧感を与えようとして髭を伸ばすとか、女性が服装によって10年若く見せようとするとか、つまらないことでも見た目の効果は結構大きいです(?)。

 見てくれは関係ないという人もいますが、やはり、見た目と内面は常に相関関係にあるのでしょうね。

「ねじまき鳥クロニクル」を読みました

2006-11-17 15:54:11 | 
 結構長い小説で、また、ときどき私が読むのを中断してしまうので、読み終えるまでに時間がかかってしまいました。

 村上春樹の独特の世界ですね。

 この人の小説は、穏やかなゆったりした流れの中で、淡々と物語が進められていくという感じで、大事件が起こるとかいうことはないのですが、不思議な魅力があって、なんとなく引きつけられてしまいます。

 日本にはあまりないタイプの小説を書く人ですね。

 「ねじまき鳥クロニクル」では、主人公の男性が失業中なのですが、料理をしたり水泳をしたり読書をしたりという優雅な生活を送っていて、その生活の中で、ちょっと普通では出会えないような変わった人たちにであったり、その人たちからいろいろな経験を聞いたり(その中にかなり残酷な話、厳しい現実の話もありますが)します。

 主人公は、よく日本の小説やドラマに出てくるようなまじめで努力家、そして成功して何かを成し遂げるというタイプではなく、あくせくして仕事を探そうともしていない。それを超越しているとでも言ったらいいでしょうか。

 しかし語られる物語の中に出てくる内容は、決して、夢やロマンにあふれた甘いものではなく、かなり人間の非情さを冷たく見つめているという感じです。

 読んだ後に涙が出てくるとか怒りを感じるとか、そういう激しい感情を感じるわけではないのですが、忘れられない小説です。

「裁判傍聴記」を読みました

2006-11-13 14:36:55 | 
 裁判なんてご縁がない生活を送ってきて(幸せなことなのでしょうが)、それは遠い世界の話で自分とは関係がないと思っていましたし、映画や小説の中でしか知りませんでしたが、最近、インターネットのおかげで細かくニュースをチェックするようになり、結構、普通の人が裁判に関わらなければならなくなることも多いのだなと思うようになりました。

 それでちょっと関心を持ち、いくつか「裁判傍聴記」を読んでみました。

 ニュースや裁判、その後日談など読んだり見たりしていると、こういっては悪いですが、おもしろくないテレビドラマを見るよりも興味が引かれることが多いです。

 裁判ってそんなに構えてなくても、だれでも簡単に傍聴できるのだなと、聞いて知ってはいましたが改めて思いました。また、野次馬的な人は別として、普通の人が裁判を傍聴することの意味、裁判が公開されることの大切さを感じました。

 密室で関係者だけで刑が決められてしまったら、こわいです。

 やはり裁判に対しても、いろいろな人の目が向けられることが大事ですね。

 1つ印象に残ったのは、交通違反をした人に行われる講習で事故のビデオばかり見せるより、ひき逃げをして捕まるところとか、裁判で裁かれる場面を見せたら、より効果的なのではないかという部分です。確かに、普通の人が手錠をかけられて連行されるところとか、留置場に入れられるところや裁判所の被告人席に座らされている場面を見せられたら、いやになって、違反が減るかもしれませんね。