専門別研修「化学系学生実験を安全に行うために」を開催しました。
「金属ナトリウムと水の反応」の実験を担当しました。
取り扱い注意!危険!?
水素が発生し、燃え上がります。
1.紹介
学部2年生の学生実験で「ナイロンの合成」のテーマがありました。
良く知られている「界面重縮合による6,6-ナイロンの合成」の他に、「開環重合による6-ナイロンの合成」を行っていました。
この加熱溶融重縮合反応は、金属ナトリウムを使用します。
学生数も10数名の少人数のため、金属ナトリウムを使ったおまけの実験としてこの「金属ナトリウムと水の反応」を行っていましたので、今回「危ない実験」の代表格として紹介します。
なお、現在ではこのテーマは無くなりましたので行っていません。
ナトリウムという金属は様々な物質と結合することで、様々な性質を持つようになります。
例えば、
水酸化ナトリウム・・・・強アルカリ性の劇薬
炭酸水素ナトリウム・・・重曹
塩化ナトリウム・・・・・塩
※危険なものから食用まで幅広く変化します。
2.金属ナトリウムを保存液(灯油)から取り出します。
酸化しやすいため、白くサビて見えます。
3.とてもやわらかい金属なのでナイフで簡単に切れます。
小さな小片を取り出します。
切り口はまだ酸化していないので金属光沢を持っています。
しかし、すぐに酸化して光沢が失われます。
金属ナトリウムは空気中の酸素、水と反応してしまうので油の中に保管されています。
4.シャーレにろ紙をおき、水で湿らせます。
この上にナトリウムを置きます。
金属ナトリウムが水と反応して水素が発生し、燃え上がりました。
5.ナトリウムは燃えてなくなってしまったように見えますが、水と反応して「水酸化ナトリウム」になりました。水酸化ナトリウムは強アルカリ性ですので、フェノールフタレイン溶液をおとしてみます。
アルカリ性だとピンク色になります。
ピンク色になったことで、ナトリウムが水と反応して水酸化ナトリウムになったことがわかります。
6.化学反応により新たな物質を作り出すことが出来ます。
水酸化ナトリウム+塩酸 → 塩(塩化ナトリウム)
水酸化ナトリウム+二酸化炭素 → 炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)+水
炭酸ナトリウム+二酸化炭素+水 → 重曹(炭酸水素ナトリウム)
参考)ナトリウムと水(科学技術館)
https://www.youtube.com/watch?v=TtPUIVsIGu4