2016.07/20 (Wed)
前回に引き続き、 「月刊Hanada」8月号掲載の、
「巣鴨プリズン、60年安保、そして家族のこと・・・・『岸信介かく語りき』」 (聞き手 加治悦子)
から3回目の転載です。もう一回で終わる予定です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「憲法は時勢に合わせて改正」
もう一つ、大きな政治上の決断を要することがあったんです。誰がやるか知らんけど、憲法改正です。いまの日本憲法はですよ、アメリカが日本に押しつけた憲法であって、その内容は、日本に不適当な条項がたくさんある。
一つの問題として靖國神社の国家護持がありますね。靖國神社は国家護持しなきゃ、ならん。
ところが、国家護持する法律を作れば、政府は特殊の宗教団体を保護できないという、憲法の規定がある。
それからいまの憲法九条で、いったい、自衛隊が憲法違反であるか、どうか。
いまの自衛隊は、憲法違反ですよ。しかし、国防そのものがだな、憲法に違反するような憲法がですよ、そっちのほうが正しくないと思うんですよ。
とにかく都合の悪いところは、憲法違反でも、仕方がないから、政府の解釈として押し通すようなことになりますとね。憲法そのものの権威がなくなる。やっぱり、憲法を改正して、日本を正しい姿にしなきゃいかん。これは誰がやるか知らんけど、非常な決断を要する。どうしてもやらなきゃいけない問題です。
私は総理になる前からね、憲法改正をやるつもりだったんですよ。
憲法改正をやらなきゃ、いかんですよ。明治憲法以来、日本には憲法ちゅうものは「不磨の大典」だ、手をつけちゃいかんというような考えがある。だが、世界中、三十年間、憲法を一字一句直さないっちゅうのは、日本だけなんだ。三十年間、時勢は変わってるでしょう。国の憲法なんちゅうのは、時勢に合うようにどんどん改正していくんですよ。
ところが、日本じゃ、いわゆる護憲勢力という社会党や、共産党の連中がだな、憲法制定のときには、国会内で反対したのは、社会党と共産党なのにね。賛成したのは自民党の連中なんで、革新政党はみんな反対したんですよ。それがこのごろ護憲運動の中心になっとってね(笑)
共産党の天下になったら、こんな憲法なんか、すぐ変えますよ。だから、憲法の護憲運動やってるやつの考え方は、いかがわしい。おかしいんだな。
(転載了)
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二つだけ。
・明治憲法以来、日本には憲法ちゅうものは「不磨の大典」だ、手をつけちゃいかんというような考えがある。
・いわゆる護憲勢力という社会党や、共産党が、憲法制定のときには、国会内で反対したのに、このごろ護憲運動の中心になっとってね。
「不磨の大典」。明治憲法は欽定憲法(君主の作った=天皇にいただいた)ということで、制定された時、提灯行列をして祝ったところが多くあったそうです。
「とにかく天皇陛下が民草に下されたのだ。有り難いことだ」という捉え方。戦後の憲法も同じだ、と国民は思っているということですね。
「そんなことはない。現憲法は我々国民の意思で作ったものだ」と言われる人もあるかもしれない。
けど、現憲法(と言われるもの)は英語で書かれたものであり、御名御璽があるからと言っても、占領下、これの受け入れを拒否する権利はあった、なんて考えるのは能天気過ぎますよね。
「押しつけだって良いものは良い。それでいいじゃないか。九条は世界に誇れる。ノーベル平和賞の価値がある。」
これを「奴隷の平和」って言うんじゃないですか?独立国家なら、現憲法が良いというのなら、占領下でない今、もう一度同じものを制定すればいいじゃないですか。
「共産党はぶれない。敗戦後、ずっと一貫している」
はい、うそでした。現憲法を定めようとする時は反対したのに、今、「変えよう」と提案すると、今度は「憲法を守れ」。
確かに、ある意味一貫してますけどね。
「社会体制を変えよう(=革命)と思ってるのに。今(は)賛成だと言って置かなきゃ社会全体をひっくり返すことができないじゃないか」
「全ては革命のために」、ですか。
前回に引き続き、 「月刊Hanada」8月号掲載の、
「巣鴨プリズン、60年安保、そして家族のこと・・・・『岸信介かく語りき』」 (聞き手 加治悦子)
から3回目の転載です。もう一回で終わる予定です。
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「憲法は時勢に合わせて改正」
もう一つ、大きな政治上の決断を要することがあったんです。誰がやるか知らんけど、憲法改正です。いまの日本憲法はですよ、アメリカが日本に押しつけた憲法であって、その内容は、日本に不適当な条項がたくさんある。
一つの問題として靖國神社の国家護持がありますね。靖國神社は国家護持しなきゃ、ならん。
ところが、国家護持する法律を作れば、政府は特殊の宗教団体を保護できないという、憲法の規定がある。
それからいまの憲法九条で、いったい、自衛隊が憲法違反であるか、どうか。
いまの自衛隊は、憲法違反ですよ。しかし、国防そのものがだな、憲法に違反するような憲法がですよ、そっちのほうが正しくないと思うんですよ。
とにかく都合の悪いところは、憲法違反でも、仕方がないから、政府の解釈として押し通すようなことになりますとね。憲法そのものの権威がなくなる。やっぱり、憲法を改正して、日本を正しい姿にしなきゃいかん。これは誰がやるか知らんけど、非常な決断を要する。どうしてもやらなきゃいけない問題です。
私は総理になる前からね、憲法改正をやるつもりだったんですよ。
憲法改正をやらなきゃ、いかんですよ。明治憲法以来、日本には憲法ちゅうものは「不磨の大典」だ、手をつけちゃいかんというような考えがある。だが、世界中、三十年間、憲法を一字一句直さないっちゅうのは、日本だけなんだ。三十年間、時勢は変わってるでしょう。国の憲法なんちゅうのは、時勢に合うようにどんどん改正していくんですよ。
ところが、日本じゃ、いわゆる護憲勢力という社会党や、共産党の連中がだな、憲法制定のときには、国会内で反対したのは、社会党と共産党なのにね。賛成したのは自民党の連中なんで、革新政党はみんな反対したんですよ。それがこのごろ護憲運動の中心になっとってね(笑)
共産党の天下になったら、こんな憲法なんか、すぐ変えますよ。だから、憲法の護憲運動やってるやつの考え方は、いかがわしい。おかしいんだな。
(転載了)
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二つだけ。
・明治憲法以来、日本には憲法ちゅうものは「不磨の大典」だ、手をつけちゃいかんというような考えがある。
・いわゆる護憲勢力という社会党や、共産党が、憲法制定のときには、国会内で反対したのに、このごろ護憲運動の中心になっとってね。
「不磨の大典」。明治憲法は欽定憲法(君主の作った=天皇にいただいた)ということで、制定された時、提灯行列をして祝ったところが多くあったそうです。
「とにかく天皇陛下が民草に下されたのだ。有り難いことだ」という捉え方。戦後の憲法も同じだ、と国民は思っているということですね。
「そんなことはない。現憲法は我々国民の意思で作ったものだ」と言われる人もあるかもしれない。
けど、現憲法(と言われるもの)は英語で書かれたものであり、御名御璽があるからと言っても、占領下、これの受け入れを拒否する権利はあった、なんて考えるのは能天気過ぎますよね。
「押しつけだって良いものは良い。それでいいじゃないか。九条は世界に誇れる。ノーベル平和賞の価値がある。」
これを「奴隷の平和」って言うんじゃないですか?独立国家なら、現憲法が良いというのなら、占領下でない今、もう一度同じものを制定すればいいじゃないですか。
「共産党はぶれない。敗戦後、ずっと一貫している」
はい、うそでした。現憲法を定めようとする時は反対したのに、今、「変えよう」と提案すると、今度は「憲法を守れ」。
確かに、ある意味一貫してますけどね。
「社会体制を変えよう(=革命)と思ってるのに。今(は)賛成だと言って置かなきゃ社会全体をひっくり返すことができないじゃないか」
「全ては革命のために」、ですか。