コジタン-故事譚-

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唇滅びて歯寒し

2004年12月29日 | 故事
春秋時代、晋の献公はカクの国を討とうとしていましたが、
そのためには虞の国を通らなければなりませんでした。
そして献公は虞に道を借りたいの頼みました。
 
虞の国では、宮之奇という臣が、虞公(虞の王)を諫めていました。
「カクと虞は一体ですから、
カクが滅びたら虞も滅びるでしょう。
車の両側を挟む木と車とが一緒になって物を運ぶのだし、
唇と歯は二つの物だが切り離すことはできないのです。
虞とカクの関係まさにこのようなものなのです。
晋にわが国を通過させるなど、もってのほかです。」
しかし、いくら諌めても、賄賂に目のくらんだ虞公には無駄でした。
結局、宮之奇は国を去ってしまいました。

果して、晋は虞の領土から攻めこんで、カクを滅ぼしました。
晋は帰途虞に宿営し、不意を襲って虞を滅ぼしてしまいました。

この故事から「唇滅びて歯寒し」は
どちらも欠くことのできない密接な関係をいうことになったのです。

そのような関係にあることは、自分では気づきにくいものです。
失った時、初めて気づくものなのです。
僕たちは、様々な人と知らないうちに
「唇滅びて歯寒し」の関係なっているのではないでしょうか。
みんな支えられてるんですよ、知らないうちにね。

おしまい

1 コメント

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お礼 (ikujikintre)
2006-11-19 11:19:47
「唇去って歯寒し」と、どこかで読んだことがありました。そのときは意味がわかるような、わからないような。もしかすると、芭蕉の「物言えば唇寒し秋の風」からの勝手な翻案なのでは?などとも考えておりました。それが、ご教示によりみごと納得。御礼いたします。
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