わたくしどもの研究室では、カワウによる漁業被害の軽減に向けた
研究活動を行っています。
そのテーマの一つとして、粗朶沈床の構造を利用した漁礁を川に沈め、
魚の生息環境を改善し、カワウの捕食からの逃げ場所を作るという
研究があります。
この研究は全国内水面漁連からの委託調査として新潟県内水面試験場と
共同研究で行われています。
一昨年度11月小出駅の前の魚野川に第一号の漁礁を設置したのですが、
昨年の豪雨災害で埋もれてしまい、調査が続行できなくなってしまいました。
そして、昨年11月もう1つ新たに南魚沼市にある浦佐駅のすぐ近く
浦佐大橋下流に新しい粗朶漁礁が設置されました。
昨年1月にも雪上から設置状況の調査を行いましたが、
今年ようやく融雪水も減ってきて、潜水調査ができる季節となってきたので、
新潟県内水面試験場資源課の皆様とうちの研究室のメンバー総勢6名で
粗朶漁礁の現地調査を行いました。
川の水が減っていて粗朶が設置しているのが目で確認できます。
昨日は新潟県は快晴でとても暑かったです。
みんなドライスーツを着用しての調査、暑さで脱水気味。
オレンジと黒のドライスーツを着ているとアルマゲドン部隊です。
近くの幼稚園児が橋の上から、先生~あの人達なにしてるの?
という感じで指を差して不思議がっています。
今回は主に、粗朶についているお魚の目視観察、そして、電気ショッカーを
用いて、粗朶付近にいるお魚の採捕、水深や流速、砂礫の堆積状況の調査を
行いました。
写真は電気ショッカー採捕の様子。
電気で浮かんでくる魚を下流から網ですくおうとしているところ。
目視観察では、ヤマメの稚魚やアユの稚魚の群れ、
カジカなどが周辺で観察され、
漁礁の空間の内部で大量のウグイが休んでいるところが観察されました。
粗朶の丸太にはアユのはみ跡もたくさんついており、
意外とアユが粗朶を気に入ってくれているようだということがわかりました。
水中で見るヤマメはパーマークがくっきりでとても愛らしい!!
粗朶は岸側は埋まっていましたが、流芯部はそれなりに堆積も少なく、
とくに内部の空間が良好に維持できていて、そこをウグイたちが
よく使ってくれていたので、一応の効果は期待できそうです。
次の調査は明日!
今度は学生がつくってくれたカワウ模型をつかって、
魚が逃避行動を取るとき、
ちゃんと粗朶を利用してくれるかを調べます!
調査が終わるまでドライスーツに身を包んだ私達。
魚野川の水温はまだわりとつめたいので、
ずっと使っていると寒いくらいなのですが、
一度陸に上がると脱水症状になりそうな暑さです。
汗でくっついたドライスーツはとんでもなく脱げにくい!
ということで、うちの学生にドライスーツをひっぱってもらわないと
脱げないでジャミラ状態になった教官のショットで報告を終わります。
明日もがんばるぞ!