goo blog サービス終了のお知らせ 

頭の中を整理しながら次へとすすむ

表現力を身につけるため

民訴 二重起訴禁止

2009-08-04 22:23:18 | 民事訴訟法
問 手形債務不存在確認の訴え継続中、手形金の支払を求める訴えを提起することは、二重起訴禁止に反し不適法となるか
「事件」の同一性あるか
ア 二重起訴禁止の趣旨は、応訴の煩・訴訟不経済・矛盾判決の可能性防止
 この趣旨から、事件の同一性は、①当事者・②審判対象の同一性
イ としても、②審判対象の同一性とはいかなる意味か
 確かに、審判は訴訟物に対してなされる(114条1項)から、訴訟物自体の同一性をいうとも
 しかし、二重起訴禁止の趣旨からその範囲が確定されるべきであって、訴訟物の枠にこだわる必要ない
 そこで、二重起訴禁止の趣旨を全うすべく、訴訟物の内容をなす権利関係が同一であれば足りる
 かように広く解しても、後の訴えは前訴の手続内での反訴提起(146条)によることができるので不都合ない


関連問題
問:相殺の抗弁と給付の訴えは、二重起訴禁止の趣旨に触れるか
「係属する事件」とはいえないから、142条が直接適用されることはなく、類推適用の可否が問題となる

(肯定説を採る)
結論:抗弁先行型、後行型いずれにしても二重起訴禁止の趣旨に触れ、許されない
理由:二重起訴禁止の趣旨被告の応訴の煩は否定しえないし、既判力の矛盾抵触の可能性あり。
 よって二重起訴禁止の趣旨が妥当し、類推の基礎がある

折衷説からの批判:抗弁後行型の場合には、自分から訴えを提起した者に当該訴訟内での決着を強制しても問題ないが、抗弁先行型の場合は、別訴が提起された時点で自動債権については訴訟係属ないし、審判されるかどうか未確定であり、相殺の抗弁を主張したことを理由に、債権の請求を制限するのは酷である

反論:二重起訴禁止の趣旨は、既判力の矛盾抵触の可能性を防止している。そのため、この場合も可能性はあるといえる