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表現力を身につけるため

既判力について(民事訴訟法)

2009-08-06 21:43:15 | 民事訴訟法
確定判決には既判力が生じる
既判力とは、確定判決の判断内容の後訴での通用力ないし拘束力をいう

 正当化根拠は、前訴において当事者は十分な手続保障が与えられており、結果についても自己責任を負うべきという考え方に求められる

 既判力の作用は、当事者は前訴判断内容に反する主張をなしえないという消極的作用と、裁判所も拘束されるという積極的作用

 既判力は原則として、主文で示された訴訟物たる権利・法律関係について生じ、理由で示された判断には生じない。その趣旨は、当事者間の紛争処理は、訴訟物について既判力を認めれば十分であるし、当事者の攻撃防御は訴訟物についてなされるので、手続保障が充実している点にある(114条1項)

 例外として、相殺については理由中の判断にも既判力が生じる。(114条2項)
その趣旨は、相殺に既判力を認めないと、後訴で同一債権の主張をなしえ、紛争が蒸し返されるおそれがあること、②別個独立の権利の存在を争う点で反訴提起に等しく手続保障が充足されており、自己責任が問える。

 私人間の法律関係は、常に変動しているがいつの時点での法律関係について既判力は生じるか。基準時の問題。
 この点、事実審の口頭弁論終結時まで当事者は訴訟資料を提出しえるし、裁判所もこの資料を基礎として判決をなす。
 とすれば、基準時は事実審の口頭弁論終結時と解する。

 形成権は起訴事実のほかに意思表示が必要。では、前訴で意思表示を欠いた形成権の主張を後訴でなしえないか
 この点、形成権は性質が様々であり個別の検討が必要
 取消権は、前訴訴訟物に付随した瑕疵であるから、前訴で争われた法律行為自体の瑕疵であるから、手続保障は充足されていたといえ、自己責任を問える。
 よって、既判力によって遮断される。
 相殺権は、前訴で争われた法律行為の瑕疵ではなく、別個の債権についての主張である。この点から手続保障が充足されていたとはいえない。
 しかも、自働債権の消滅という側面においては実質的に敗訴であり、前訴での主張を強制するのは酷である。
 よって既判力によって遮断されない。
 建物買取請求権についても、相殺同様の理由から遮断されない。