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河口公男の絵画:元国立西洋美術館保存修復研究員の絵画への理解はどの様なものだったか?

油彩画の修復家として、専門は北方ルネッサンス絵画、特に初期フランドル絵画を学んできた経験の集大成を試みる

ノンアルコールビール?

2022-05-04 14:23:51 | 絵画

一番搾り製法で作られたというノンアルコール飲料を半ダース買ってしまって、今は一本飲んだキリ、台所の床に転がっている。いとこが夕食時に車で来るというので買っておいたのだが、彼はノンアルでも飲まなかったので、余っている。それだけが理由ではなくて、実にまずかったのである。いろいろと試したがノンアルはビールとはとんでもなく別物であり、「アルコールの入っていないビール」という思い込みが恐ろしい結果をもたらした。一番搾り製法で作られているというから、一番搾りのあの味が脳裏にあった・・・がしかし、これは激しく反発する元となった。

缶の表示には「炭酸飲料」と書かれて、原材料に麦芽(外国製造)、水あめ、食物繊維、米発酵エキス、ホップ、炭酸、香料、酸味料、調味料(アミノ酸)、乳化剤と書かれている。

そもそもこの国ではビールの基準が分からない。ドイツでは「麦芽、ホップ、水」のみしか使ってはいけなくて、マルティン・ルッターの時代に決められた基準だそうな。だからスターチ(でんぷん)が使われているアメリカのバドワイザーは売られていない。このバドワイザーを真似たのか、この国で最も売れているというスーパードライなるものは米とでんぷんが多量に使われている。しかも味付けに酸味が加わって、多くの人は「さっぱりしている」と感想している。ドイツへ行けばいろんな味のビールが飲める。この多様性を決めるのは醸造マイスターの工夫で、製造工程を少し変えるだけで何百種類のビールが生まれるのだ。まず麦芽の麦の種類、質により、水を与えて芽がでるどの時点で加熱して殺すかによる。焦がす度合いでコクが変わる。強いコクは焦げた程度である。そしてアルコール発酵させる。アルコール濃度によって軽い飲み物に成れば、トラピスト(修道院)ビールだと日本酒と同じほどの濃度だ。私はそれを知らずに口当たりの良いのにつられてたった一本の小瓶で腰が抜けて、同僚の女の子たちに呆れられた。そうニュールンベルグの研修生だった時の同僚にはリッタージョッキ24杯飲んでしまう豪傑がいたが、仲間はそれ以上飲める者もいると言っていた。多くのビールは大麦から作るが、小麦から作るさっぱりとした炭酸発泡の強いバイツェンビアというのがあった。色も明るく大きなジョッキでレモンを浮かべて飲む。

日本のビールで似ているのは、この発泡だけである。いずれにせよ何故いろんなものを混ぜて作らねばならないのか?しかもまずい。理解に苦しむが、恐らく食品加工が癖になっていろんなものを混ぜるのを楽しんでいるのかも。ドイツに行って勉強して来い!!と言いたい。

ちなみにドイツでノンアルコールビールというと、まず普通にビールを醸造してからアルコールを抜き取るのだそうだ。技術も勉強して来い!!

むかしサントリーレッドというウイスキーがあった。画学生だったころ、500円でハードカバーの新刊本と同じ価格で、おでん屋でコップ酒とおでんを一通り食べれる価格であった。美味しいウイスキーではなかったが、角にだるまと発売されるまで主流だった。何故日本人がウイスキーを作らねばならないのか疑問に思ったが・・・・今から20年前に山崎というウイスキーを飲んで、これは我々日本人がレッドを飲んで育てたが故に出来た味だと感嘆した。国際コンクールで賞をもらったと聞いた。そうだろう!もちろんイギリスには美味しいウイスキーはあるが、日本の職人芸の優秀な技と気骨によって作られたと納得。しかしビールはどうしても売れることが頭にある。偽物の味にそれ以上を求めない大衆の欲の低さよ。ウイスキーは大衆的でなかったから到達できたが、ビールの味は無理だろうね。

次にドイツに行ったらビールとソーセージを楽しもう。しかしコロナで生きにくいな。そう言えばアメリカ製だか、コロナというビールがあったが、日本のノンアルビールに味が似ていた。飲むことはないよ。

 


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