絵画の完成は筆を置いたときではなく、額縁をつけた時だろう。昔の画家たちの作品には必ず注文主の費用で、作者の要望も含めて製作が立案されたであろうから、作者は額装され展示までされた作品をしっかりと確認して満足したに違いない。近代絵画ではモネが自分の作品には個人的趣味で額を採用した。西洋美術館のもの作品の共通したデザインはモネの選択だ。
まさに「馬子にも衣裳」だから、作品を大事に扱ってやろうと、最近になって額縁を作るための材木を集め始めた。95年のロンドン在外研修で、ホームセンターで色々面取りした棒ブチを買い集めたのがあるが、これはそれぞれ1mと短く、四辺に使うには角を直角に切断するのでかなり小さな作品いしか用いられない。日本のホームセンターではみな2mものであるが、なんせデザインがダサい。色々組み合わせてみて作品に合わせる。
ああ勿論木目や木の色がまちまちだし、決して自由に発想できないが、もし柄が合わなくてみっともなければ、ペイントする他ない。木地だし出来れば「都染め染料」を水に溶かして乾かしては塗ることで深みを与える方法もある。
西洋美術館在職中は木島木工という額縁専門の会社にお願いして、館の所蔵品には最も良い選択が出来た。私も退職前に自作の絵画4点に幅が15センチもある白木の額を注文した。彼らは職人気質を発揮して、最も均質な高価な木材を選別して用いてくれたから、あとは私がどの様に着彩仕上げをするかである。実は3点は黒に、1点は茶色に仕上げたが、黒は退屈な仕上がりとなった。これをちょっと剥がして古色を感じさせるような色にしてみたい。要するに均一できれいな仕上がりというのは現代絵画のための棒ブチのようなものだ。
さて、今日は何も出来なかった。最近特にお腹が丸く膨らむように出てきたので、少し体を動かそうと、昼間に庭の草刈りをやったら左手首が腱鞘炎を起こして痛くてどうしようもない。明日まで治ると良いが。