本日読了『思いあがりのエピローグ』斎藤 肇@講談社ノベルス 2006年12月14日 | book 斎藤肇氏「思い~」シリーズ3部作これにて完結。シリーズの名探偵:陣内先輩の死から始まるのですから掟破りですよね。でも心の透くような大どんでん返しを期待していた僕としてはちょっと消化不良でした。安楽椅子探偵のくだりは面白かったです。 さて、もう一冊『夏の死』を積んでいるのですが・・・読むのはいつになるでしょう(笑)
本日読了『タイスの魔剣士 GUIN SAGA 111』栗本 薫@ハヤカワ文庫 2006年12月12日 | book 快楽の都タイスで伯爵に見込まれてしまったグインは、来る水神祭りの武闘大会に備え剣闘士として戦うことになりそうです。しかしその前には腕前を見せなければならない試練が。それでもグインに敵う相手なんてそうそういるわけ無いよね。 一方マリウスはというと、まったくいつもの調子で・・・というか彼なりに色々企んでいます。お話はますます面白くなりそうです。しばらくは武闘競技場でのグインの勇姿がメインになるでしょう。。。
本日読了『思いがけないアンコール』斎藤 肇@講談社ノベルス 2006年12月08日 | book 前作『思い通りにエンドマーク』事件にて名探偵扱いされてしまった大学生探偵コンビの主人公と陣内先輩。今作ではその名探偵ぶりを見込んで依頼が舞い込みます。ところが大邸宅に招かれた直後に依頼主が殺され、息つぐ間もなく凄惨な連続殺人事件続発。仕掛けも事件も派手なのですが、な~んか軽いんですよね(笑) しかしこの展開と謎解きにはまいりました。面白かったです。語り口の軽やかささえも本格なんですよね、これが。やや投げっぱなしの設定もあるみたいですけど、この作品は素直に楽しめました。
本日読了『思い通りにエンドマーク』斎藤 肇@講談社ノベルス 2006年12月05日 | book 笠井氏の次なので軽い本格を、ってことで積読の山から発掘しました(笑) 吊橋を渡った断崖に建つ洞洛館と呼ばれる洋館。その橋が落ち、そして密室殺人事件が起こります。大学の夏休みを利用して館を訪れていたミステリ好きな主人公は果敢にも謎解きに乗り出すのですが・・・ってお話。なかなか大きな器の館ものミステリィ。語り口がユーモラスなので肩肘張らずにシンプルな謎解きに専念できますね。動機部分に関してはある程度予想が付き、それによって犯人も想像が出来るのですが、お仕舞いまでちゃんと楽しめました。 この手の青春ミステリィ、って昔は好きだったな~と、ある意味懐かしく思ってしまった読後感でした。
本日読了『オイディプス症候群』笠井潔@光文社カッパ・ノベルス 2006年12月02日 | book 矢吹駆、ミノタウロス島へ! 嵐の孤島に連続殺人が巻き起こる!! 前作『哲学者の密室』を読んだのはいつだっけ? ってことで矢吹駆シリーズの第5弾になるこの作品。ウイルス性の奇病に冒させた友人の頼みでとある資料を届ける為アテネへ向かったナディアと矢吹駆だったが、クレタ島南岸に浮かぶ孤島へ向かう事になります。孤島にはダイダロス館と呼ばれる洋館と、訪れた10人の男女を次々と襲う奇怪な連続殺人。そしてギリシャ神話の見立て。これぞ本格、って感じですよね。 もちろん駆と登場人物との哲学的思想対決もたっぷり(笑)とページから溢れているので、このあたりになるとやや斜め読みの感はあるのですが、本当の意味でお腹いっぱいな読後感です。でもちょっと薀蓄多すぎない? 読み終わるのにとても時間がかかってしまった自分への言い訳かもしれない(笑)
本日読了『さよなら純菜 そして、不死の怪物』浦賀和宏@講談社ノベルス 2006年11月15日 | book 純菜を取り戻したかった。まだ人間であり続けるために。 苛めぬかれた屈辱の日々からの脱却:不登校。唯一の心の支えだった純菜。それももう過去のことなのだろうか。希望を捨てた今、自分に失うものが何も無いと思い込もうとする八木。「この恨みはらさでおくべきかリスト」に載ったすべての連中に復讐の牙を向ける時が今やってきた。。。 相変わらずの妄想大魔王状態の八木。苦手だった苛め描写が減ったのは僕にとって良い事なのですが、この展開で本を1冊とは・・・そしてこの後が気になるじゃないですか! ここまでせっかく読んだのだから最後まで付き合う覚悟は出来ていますよ(笑)
本日読了『どきどきフェノメノン』森 博嗣@カドカワ・エンタテイメント 2006年11月12日 | book 自分がしていることって、もしかしてストーカ? 違う。それは断じて違う。 だいたいどうして僕はこの本を読み始めたのだろう? 森博嗣の作品だから(うん、それは大きな理由) ノベルス版だから(それも、大きな理由の1つ) でも、内容を全く知らないまま読み始めるなんて、 僕にとっては珍しい事なんだ。 これはミステリィなのだろうか? 森センセなのだから仕掛けはあるのだろうけど・・・ 半分くらい読んでもどこへ向かうかが判らない(笑) で、読み終わっても散りばめた不思議の謎解きは・・・ とっても森センセっぽいラヴ・ストーリィ。 どきどきときめく気持ちの溢れた作品。 面白かったけど、やっぱり不思議な読後感。 僕はいったい何を読んだのだろう・・・。
本日読了『犬坊里美の冒険』島田荘司@光文社カッパ・ノベルス 2006年11月07日 | book 涙を力に変えるんだ。 司法修習生として研修を始めた里美。舞台は津山、倉敷、総社といった岡山県で発生した腐乱死体の消失事件。容疑者として逮捕、起訴された一人のホームレス。その頑なな態度に振り回されながらも里美は事件を担当するのです。 岡山、ってことで横溝作品にも通じるような事件性、ちょっと2時間サスペンスふうの旅情。そして法廷ものシーンも有り。しかしトリックの面白さはさすが島田氏ですね。でも里美ってこんなキャラだったっけ? もしかすると僕はさちみりほさんのコミックの印象が強いのかもしれません(笑)
本日読了『吸血鬼の壜詰【第四赤口の会】』物集高音@講談社ノベルス 2006年11月03日 | book あなたの知っている都市伝説は果たして真実なのか・・・・・・? 積読の山からふと手にした1冊。もう積まれてから3年ぐらいは経っていたらしいですね(他人事みたいに)。 ってことで70年代後半に都市伝説として生まれた口裂け女の正体に迫る「口裂け女のマスク」。昔話からは「花咲爺の灰」でその灰とは一体何だったのか。その手再生に関わる秘密を解く「手無し娘の手」。ドラキュラで御馴染みの吸血鬼、その本当の正体を時代性から探る「吸血鬼の壜詰」。 都市伝説、昔話に隠された真実を探り合う怪しげな【第四赤口の会】会員たちが怒濤の如く推理し喋りまくる展開で読ませる娯楽作品。しかし登場キャラが多いので(おまけに話はあちこち脱線するし)、謎解きのわりにはイマイチ納得度が低く感じてしまいます。なるほど、と感心したのは「口裂け女のマスク」だけでしたから。つい高田崇史氏のQEDシリーズと比べてしまうのは僕だけなのかも知れませんが・・・あぁ、でも基本的にその文体、切り口はまったく違うのでしょうね。各短編の最後の一文が妙に物集氏、っぽくて好きなのですけど(笑)
本日読了『快楽の都 GUIN SAGA 110』栗本薫 2006年10月20日 | book 快楽こそが美徳 マリウス座長率いる旅芸人一座になりすます旅を続けるグイン一行。これが大変な評判を呼んでしまい、ついに彼らは快楽と悪徳の都:タイスへ足を踏み入れることになってしまいます。 今巻はタイスの街の観光案内的な感じですね。イントロダクションかな。クム公国の大歓楽街:タイス。グインが猥雑な欲望に身を任す、なんてことは無いでしょうけど、どうやらここでも困難な大冒険が待っていそうです。例によってマリウスはそのキャラを発揮するのでしょう(笑)
本日読了『QED~ventus~御霊将門』高田崇史@講談社ノベルス 2006年10月11日 | book 今、神田明神は将門が霊となん。 旅するQEDシリーズ、もう12冊目になるんですね。今作は崇徳天皇、菅原道真と並ぶ日本三大怨霊として畏怖されている平将門。今回のお話は桑原崇と奈々&沙織の降旗姉妹が暖かな日差しにつられお花見へと出かけますが、いつしか将門の名所行脚の道行きへ。神田明神、そして将門首塚から始まり、成田山へ向かう旅。そして少しづつ解き明かされてゆく歴史の裏側と謎。 いつもながら、見事な展開と論理で日本史上の謎を解き明かして見せてくれます。落とされた首が空を飛んだと言う伝説もある将門。その実、彼はどのような人物だったのか、という説明が興味深かったです。そして彼の家紋である「繋馬」と「桔梗」の旗印が語り示すものとは? 大怨霊に隠された真実の顔が明らかにされます。定説をひっくり返して見せるこの高田氏のシリーズは非常に興味をそそられます。日本史にはあまり詳しくないのですけれど(笑)
本日読了『邪魅の雫』京極夏彦@講談社ノベルス 2006年10月06日 | book 連鎖する毒殺事件にあの男が遂に登場。 3年ぶりになる妖怪シリーズの最新長編登場! 前長編『陰摩羅鬼の瑕』がもう文庫に落ちていますからね。そして、安心してください。今回も厚いです(笑) 通勤で読むには向かないかな。でも、この重い本を電車で読んでいる人、何人も見かけました。僕は寝る前に少しずつ。なのでちょっと時間がかかってしまいました。 さて、今回のお話は昭和二十八年、夏。江戸川、平塚、大磯と連鎖するように発生する毒殺事件。警察も手を拱く中あの男が遂に登場、って流れです。最初、シリーズキャラ以外の登場人物が上手く掴めなくてお話に集中し辛かったのですが、刑事:青木、元刑事:益田の2人が引っぱる警察小説のような読み方が正しいのかな。 そして某事情により探偵がちょっと大人しかったことが残念。と言ってもオイシイ登場の仕方は相変わらずなのですが。その探偵、僕はますますお気に入りになりましたけどね。
本日読了『エデンの命題』島田荘司@光文社カッパ・ノベルス 2006年09月19日 | book 旧約聖書とは何か 旧約聖書の謎を最新の科学情報で読み解く表題作「エデンの命題」は・・・ネタ的にはどこかで読んだこ事あるよ、島田氏。もしかすると・・・って思っていたら本当にそうだった、と言う意味でイマイチ物足らなかったかな。まぁ、楽しんだことは確かですけど。そしてもう1本の中編「ヘルター・スケルター」は趣味ではないのだけどけっこう面白く読みました。脳が司る情報と行動、そして症状。脳レベルの障害から犯罪に至ることへの畏怖。島田氏らしい力技で今作も娯楽作品に仕上げています。でも・・・これが21世紀の本格かと言われると・・・(笑)
本日読了『λに歯がない』森博嗣@講談社ノベルス 2006年09月18日 | book 身元不明の4人の男の死体につきまとう「λ」の文字!! 森センセの好調Gシリーズ第5弾。密室状態の研究所で発見された身元不明の銃殺死体。それぞれのポケットには「λに歯がない」と記されたカードが。φから始まる一連の事件と関係あるのか? 事件を推理するのは西之園萌絵、自ら封印していた過去と対峙しながらも謎に迫ります。 例によってますますシリーズの謎は深まるばかり。あのキャラ、このキャラがちょろちょろと姿を見せる所為で密室殺人の謎解きがイマイチ薄い印象でした。しかし犀川先生は相変わらずだし、シリーズの主要キャラもちゃんと動いているので面白かったです。このシリーズでの萌絵ってけっこう好きですよ。
本日読了『風果つる館の殺人』加賀美雅之@光文社カッパ・ノベルス 2006年08月31日 | book 常軌を逸した遺言状が惨劇の幕を開ける! いや~面白かった! 血塗られた資産家一族を襲う連続殺人。膨大な遺産を巡る骨肉の争いと尋常では考えられない遺言状の内容。不可能犯罪、複雑な人間関係とロマンス。そして舞台は「風果つる館」。そしてパリ警視庁の名予審判事シャルル・ベルトランの登場! 面白かったですね~。 本格の要素がこんなにまでも贅沢に散りばめられたミステリィに出逢えたことに感謝します。時に繊細に、時に力技で捻じ伏せる解決編にもなんだかニコニコしながら読み終えました。今年のベストに入りそうな感じです。