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寒い、寒い。大雪の中の『悲愴』

2014年02月16日 18時05分52秒 | チャイコフスキー
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』、毎週面白く見ています。というのも、信長やその一味のお話ではもう食傷気味ですが、播磨の戦国時代が舞台で、小寺や赤松、浦上などの争いが描かれて、加えて広峰神社の御師なども登場して、なかなか新鮮です。でも、恐らく本能寺の変が終われば面白くなくなる気もします。そういう意味では、司馬遼太郎の『播磨灘物語』は、本能寺以降にそれほど頁を割いていないのは卓見ですねえ。信長の時代も、地方の大名の視点で描いて欲しい。次回は、ぜひ長宗我部を主人公でやってもらいたいです。信長は悪役ということでお願いします。

今回はチャイコフスキーです。毎日寒い日が続きます。ロシアのソチではオリンピック。そんなこんなでチャイコフスキーであります。交響曲第6番ロ短調作品74『悲愴』。演奏は、バーンスタイン指揮のニューヨークPO。1986年8月の録音。バーンスタインの演奏は、1960年代までにニューヨークPOとの録音と、1970年以降のVPOを中心とした録音とに分けることができ、主なレパートリーは双方で録音しています。この悲愴についても、1964年11月の同じニューヨーク・フィルとの録音とこの1986年のものがあります。

バーンスタインの演奏は、晩年の1980年代半ばからテンポが極端に遅くなる、という指摘があります。この悲愴も、両者を比べると、1964年盤は、18:44・7:05・8:51・11:38でありますが、1986年盤は22:34・8:29・9:52・17:12。特に、第1・4楽章が遅いですね。全体でも、約12分も遅いのです。なんとも極端なんですねえ。しかし、この演奏を聴いているとそれほど遅いなあ、とは感じないのです。遅いのがけっこう好きであることもその理由かもしれませんが、この演奏はかなりテンポが揺れており、それなりのテンポのところもあり、遅いところは遅い、ということなんです。第2・3楽章は、それほど速くはありません。この演奏のあと、他の普通のを聴くと、こんどは、何をせかせかやってんねんと思ってしまうのでした。

悲愴ってのは、やはり旋律がきれいですよねえ。このチャイコの泣き節をどんな風に聴かせてくれるか。そして、各楽器の美しさがあれば、なおいいでしょう。その点ではニューヨークPOは、今いちとついつい思ってしまいます。とはいえ、バーンスタインのねっちこさでの悲愴は、ひとたびこの世界に入ってしまうと、これがデフォルトになってしまい。他の演奏が素っ気なさ過ぎるし、上部だけのように思ってしまいます。でもこの演奏を受け入れられない人もいるでしょう。

第1楽章、冒頭から痛切な演奏で、瀕死の状況で一歩をやっと踏み出しながらの前進。時たま、足が前に出ない沈黙。そんなイメージで進み、主部に入ると泣き節が全開。この泣き節には遅いテンポがいい。木管はうーんやはりVPOならよかったなと思ってしまう。消え入るようなかすかな音色で提示部は終わると、展開部が爆発。ここの迫力はただものではなく、最後のトロンボーンの咆哮まで、気を許せない緊張感の中で進む。ここまでくると、遅さはほとんど感じず、これが普通となっています。第2楽章と第3楽章は、ちょっと休憩ですか。第2楽章ワルツは、妙な明るさを感じてしまう。中間部はロ短調での暗さが戻るが、それほどでもない。第3楽章スケルツォと行進曲。非常に立派な演奏。特に、終末に向かって、次第に迫力が増し、それが高揚感へと発展していくあたりは実にいいですね。それが終楽章の導入になるのでしょう。そして、終楽章。確かに前に進まず、テンポは異様な遅さ。他に比べると異様さに溢れているが、この全曲を通して聴くと、私は説得力に満ちた演奏と思う。あくまで他の演奏を無視してですが…。旋律が慟哭のようになって、心に染み込んでくる。そして、管弦楽が叫びとなって、心を揺らす。13分すぎに曲が止まってしまったか、と思うような箇所もあって、あとはいつ果てるかもしれない苦痛が続くようであります。バーンスタインの世界に、とっぷり浸かってしまいました。

しかし、2月に入って、大雪が降ったりで、早く春になって欲しいですねえ。寒いです。そんな中、ソチでは熱戦が繰り広げられていますねえ。ガンバレ、日本!
(DG COLLECTORS 4776704 2007年 輸入盤)

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