中国批判とメルケル氏批判はタブーのドイツで ようやく変化?

日本では ドイツを理想の国家みたいに崇めるインテリ?が多いようだけど

実態を知れば 誤解も甚だしいということが おわかりになろうというもの

今回も 必読!

 

川口マーン惠美

ドイツの2大タブーに切り込んだ研究者 欧州の国益損ねる対中政策 (2020年6月12日掲載) - ライブドアニュース

  • 新聞記事の中で、ドイツ人研究者はメルケル独首相の対中政策を批判した
  • 米独関係が最悪になった結果、ヨーロッパ全体の国益を損ねていると指摘
  • 同国では中国批判とメルケル氏批判はタブーのため、衝撃を与えたという

 

中国とメルケルを痛烈批判

メルケル独首相ほど中国と良い関係を保ち、中国から誉めたたえられている先進国の首脳はいない。当然、ドイツの他の政治家はもちろん、主要メディアも、本当に的を射た中国批判はしないことで知られている。

しかし、そんなドイツで、ほぼ唯一、中国について、堂々と他紙とは違った認識を著す主要メディアがWelt紙だ。Welt紙は、人権問題も、香港問題も、最近ではコロナの問題でも、中国に遠慮はしない。

そのWelt紙のオンライン版(6月9日付)に、「『本質的な問題はメルケルの中国政策である』」というタイトルの記事が載った。タイトルの下にある写真は、メルケル首相と習近平主席が、両国の国旗の前で握手をしている写真。

 

この記事がなぜ斬新かというと、これまで同紙は中国で起こっている理不尽を報道していただけだったのに比べて(それだけでも立派だが)、今回は、中国の横暴に歯止めがかからなくなっているのはメルケルの対中政策が原因であると指摘した研究者のことを紹介しているところだ。

これは、ドイツでタブーの中国批判だけにとどまらず、やはりドイツでタブーのメルケル批判でもある。あまりに衝撃的だったので、今回は、この記事を紹介したいと思う。

ノッティンガム大学のWEBサイトより

このドイツ人研究者はアンデレアス・フルダ(Andreas Fulda)氏。現在、英ノッティンガム大学の助教授だ。専門は民主主義政治で、ヨーロッパと中国の関係を研究しており、中でも独中関係に特化している。博士論文のテーマもそれだった。

21世紀の初め、中国はまだドイツ人の興味の対象ではなく、北京で起こっていることがドイツに影響を与えるなど想定外。政治家たちの間でも、「中国」は票にならないというのが常識だった。ところが今では、経済政策も、インフラ建設も、もちろん国際機関での駆け引きにおいても、すでに「中国の呼吸の一つひとつをドイツが気にしている」とフルダ氏

そうするうちに中国はその政治的性格を変え、デジタルによる監視、少数民族の抑圧、香港自治の無視と、全体主義国家としての完成を遂げつつある。

「さらに大きな問題は、中国のこの変容がドイツの政治家に認識されていないこと」。「ベルリンでは北京を今なお“戦略的パートナー”とみなし、中国の全体主義的傾向について言及することを徹底的に避けている」。

 

ドイツの対中政策の肝は、以前から“交易による変革”だ。これは、商売をしているうちに、中国もだんだん国を開かなくてはならなくなり、自然に民主化されていくという理論。しかし、それが誤りだったことは明らかだ。フルダ氏いわく、今や「ドイツの対中政策は現実から遊離してしまった」。

メルケルの失敗に付き合うべきではない

4月、フルダ氏は、「共産主義政府の行っている恐怖政治は、中国の市民と世界を危険に陥れる」というタイトルの書簡を公開した。主な内容は、中国政府が新型肺炎の発祥をいかに隠蔽したかというものだ。200人以上の政治家と科学者が賛同の署名をしているという。

さらに、氏はインターネットで、「ヨーロッパは、ドイツの“交易による変革”という失敗の政策にこれ以上つきあうことはできない」というタイトルのプラットフォームを立ち上げ、署名を集め始めた。こちらはコロナではなく、ドイツの対中政策に焦点が当てられている。

フルダ氏がいうには、「今回、香港に導入される予定の『国家安全法』により、1984年に中国と英国の間で結ばれた『一国二制度』が踏みにじられようとしているのに、EUはそれに対してほとんど反応していない」。

 

「メルケル首相は、中国共産党政権の支配が、中国だけでなく、全世界での平和、安全、公衆衛生を、いかに危険に陥れているかを理解していないようだ」。「我々は、中共軍が台湾に侵攻するまで何も言わずに待つつもりなのか?」。

世の中では、イタリアやギリシャの中国との接近ばかりがしばしば批判されているが、氏の見るところ、真の問題はドイツの対中政策だ。というのも、ドイツの対中政策は、完全に交易の利益を元に作られているからだ。

商売を邪魔する要素は無視するというのがドイツ人のやり方であることは、私もすでにいろいろなところで書いてきた。もちろん、それで一番儲けたのがドイツである。しかし、そうなると、他の国も同じようにしなければ、儲けに有り付けなくなる。ドイツの対中政策がヨーロッパ全体に影響しているというのはそういう意味だ。

しかも、メルケル氏が中国と仲良くし、トランプ米大統領を毛嫌いし続けた結果、現在、米独関係が最悪になっている。そして、それも、ドイツのみならず、ヨーロッパ全体の国益を損ねている。

フルダ氏は、メルケル首相は、習近平主席の方がトランプ大統領よりもましだと思っているだろうというが、メディアもそう解釈できる報道ばかりするため、多くの一般国民もそう思っているはずだ。

ドイツメディアは完全に無視

メルケル首相は東独出身のため、独裁政治の恐怖を知っており、民主主義の守護者であるように言われているが、本当だろうか。ここ10年ぐらいの彼女の政治を見ていると左傾化が甚だしいし、中国首脳との会談の様子などは、なぜ、こんなに肌が合うのかと不思議に思うぐらいリラックスしている。

彼女は、自分の感情を外に出さないということで自分の意思を隠すことはあっても、秀逸な演技で思ってもいないことを演出するということはほとんどやらない。だから、とくに温家宝総理、李克強総理などとの和気藹々の雰囲気は、かなり本物だったのではないかと感じる(習近平とはちょっと距離を置いているようだが)。しかも、これにより、彼女の周りを取り囲むドイツ財界人たちも大喜びなのだから、気分は良いだろう。

 

本稿を書くために、フルダ氏のことを調べたのだが、中国情勢や香港の動乱の解説などをしている数多くのビデオがあり、英国ではかなり注目されている学者であることがわかる。ただ、ドイツ語で出てくる彼に関する記事は、このWelt紙のものだけで、他はすべて中国語と英語で、イタリア語が少しだけ。つまり、ドイツでは、彼の公開書簡はもちろん、署名運動のことさえ一切報道されていないようだ。

氏は、去年の8月に『The Struggle for Democracy in Mainland China, Taiwan and Hong Kong: Sharp Power and its Discontents (China Policy Series) 』という著作も上梓しているが、これもドイツ語は未翻訳。ドイツメディアは、彼を完全に無視している。

そのフルダ氏、現在、殺害予告をも含めた熾烈な攻撃にされされているそうだ。彼の名前で偽のメールも発信されているという。拘束される可能性が大きいため、もう中国にも香港にも行けない。氏の主張していた、中国政府がいずれヨーロッパ人の自由まで危険に陥れるということが、現実になっている。

 

それでも現在、ドイツメディアが熱心に報道しているのは、香港でも台湾でもなく、アメリカの反差別デモばかり。しかも、なぜかトランプ大統領が悪者とされている。日本でも、親中派の行動はときに眼に余るが、ドイツの親中政治家やメデァアも負けていない。この調子では、フルダ氏の声が広くドイツ国民の耳に届く日は、まだまだ遠いだろう。Welt紙には頑張ってほしい。

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