状況より重要な態度の魔力

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状況より重要な態度の魔力

わが敬愛するスーパーセールスマン、夏目志郎さんの著書のお話の中でもトップクラスの印象があり、ここでも何度か取り上げたお話だが、面白いし、私も、ますます理解が深まってきたので、また述べたい。
これは、非常に有益なもので、誰にとっても役に立つものだと思う。

夏目さんがどこか外国に居た時、その地で有名なナイトショーが行われることになっていて、夏目さんは行きたいとは思ったが、招待状がなかった。
現地に住む有名な一流セールスマンの友人に、そのことを話すと、友人は、「では行こう」と言い、わけが分からないまま、夏目さんは付いていった。
VIP用のショーで警備も厳重だったが、友人は警備員にニッコリ笑いかけて素通りし(半世紀ほど前の話ではあるが)、受付でも手を振って軽く挨拶するだけで、遠慮なく中に入って行った。
ショー会場に入ると、夏目さんの友人は、支配人らしき人を見つけて手招きして呼び付け、「テーブル・ツー」と命じた。
すると、支配人は、フロアマネージャーに「テーブル・ツー」と命じ、命令は、会場責任者、スタッフ、そして、ボーイへと渡り、ボーイは物置からテーブルを運んできて、それに豪華なテーブルクロスをかけて、なんとか見栄えを整え、夏目さんと友人は、ゆったりショーを楽しんだ。

夏目さんは、この出来事で何か大きなことを学んだので、この話を書いたのだが、この話のポイントを一言で言えば、「状況より態度が重要」ということだ。
これは、あらゆることに通じる
お金がなくても、金持ちの態度を取れれば家だって買えるし、ホームランを打つ態度でバッターボックスに入れば、即ち、ホームランだ。
素晴らしい人にプロポーズされるという態度でいれば、やはりそうなって結婚することになるだろう。
では、夏目さんの友人は、この力をどうやって手に入れたのか?
それは、やはり、素振りの回数とでも言うものだ。
野球のバッターの実力は素振りの回数で決まるが、セールスマンも似たところがある。
そして、専門能力を高くしていけば、汎用能力になる。もう魔法使いのようなものだ。
では、セールスマンの素振りとは何か?
これについては、夏目さんの著作にあった、こんな話が参考になる。
夏目さんは、ある時、19歳の女子大生を助手にしていた。
毎日、セールスに同行させていたが、ある時、その女子大生が、夏目さんが可哀そうだと泣き出したという。
どういうことかというと、夏目さんが、朝から晩まで、同じことを言ってセールスしていたからだ。
これについて夏目さんは、
売れるセールスマンは常に同じトークを使う。トークは繰り返せば繰り返すほど力を増す。売れないセールスマンはすぐトークを変える
と述べている。
なるほど、一流のお笑い芸人だって、毎回使うのに、必ず観客や視聴者を笑わせるネタがあるのもうなづける。
そのネタは、最初から受けていたのではなく、小さな会場で素振りのごとく繰り返すことで力を増したのだ。

プログラミングだって、案外に、毎回同じようなことを書くものである。
もちろん、書かずに済ように出来ることは、なるべくそうするが、お決まりながら、微妙に異なるので毎回書くしかないことがあるが、その回数が多いほど優秀なプログラマーになるのである。
初心者のうちは、優秀な人が書いたコードをそのままタイプするという、純粋な素振りをすれば良い。
アメリカの大作家には、ヘミングウェイやスタイベックらの作品を、そのままひたすらタイプした人もいるのである。

では、最も優れた素振りとは何か?
それは、もちろん、真言である。
上に挙げた「テーブル・ツー」の奇跡を起こすのは、釈迦やイエスには容易いが、その能力は真言を繰り返すことで得られる。
真言は、優れたものであれば何でも良いが、心で丁寧に、数多く繰り返さないといけない。
もちろん、「南無阿弥陀仏」の念仏も、「南無妙法蓮華経」の題目も真言である。
どの真言が上であるとか、どれが優れているなどというものは一切ない。自分の好きなものを唱えると良い。
チベットでは、観世音菩薩の六文字真言「オーン・マニ・ペーメ・フーン」を子供でも知っているらしい。
しかし、チベットにも、願わずとも幸運が来る人もいれば、苦しむ人もいる。
確かに、その人の持っている運命もあるだろうが、根本的には、真言を唱えた数の差だけである。
荒唐無稽に感じるかもしれないが、それが事実と思う。
釈迦自身は難しいことを繰り返して悟りを開いたが、「真言しか有効でなくなる」と教えたという話がある。
それを受け継いだのが、日本では、法然や親鸞だが、案外に、他の仏教のスーパースター達も、ほとんどそう言っているのではないかと思う。
とはいえ、特に仏教に限るものではない。
自分が好む真言を選び、それを心で、静かに、丁寧に、出来るだけ数多く繰り返すことで全てを得ると思う。

尚、夏目志郎さんの著作は、ことごとに廃版になっており、古書も高いので、今では入手は難しいと思う。

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