『文春の三バカ』 半藤一利、立花隆、保阪某

宮崎正弘の国際ニュース・早読み

◆書評 ◇しょひょう ▼ブックレビュー ◎BOOKREVIEW◆

 現代世界を襲うグローバリゼーションの深い根はどこから来ているのか
  ユダヤ人の国家破壊、国境撤廃、政府の規制撤廃の根底にある「OSS空間」

  ♪
田中英道『戦後日本を狂わせた左翼思想の正体』(展転社)

・・・・丸山真男を「正真正銘のバカ」と批判してきた。それで十分なのである。読むに耐えるような内容ではない ところが、いまもって保守系知識人の一部にまで、まだ丸山政治学の呪縛から逃れられずに転倒した論陣をはる人が居る。とうに消えてしかるべき筈の丸山政治 学の残映が日本の論壇を暗くしている。亜流はさきごろなくなった坂本儀和らにも顕著だが、内田樹とかの論考(たとえば『辺疆論』などに)に露骨に現れてい る。 保守の中にまだ内田樹をほめる人がいるので、再近作を読んでみたが、三行で捨てた。のっけから臭気が漂う、妖怪のような本である(題名も忘れた)。

『文春の三バカ』として半藤一利、立花隆、保阪某をあげておいたが、さすがに『歴史探偵』と自称する半藤のでたらめな歴史読本的なウソは暴かれた。だが文春を根城に活躍する立花隆は、自らが否定したはずの権威に執着して、わざわざ安田講堂を借りてアカデミズムを偽装し、憲法九条やら戦争放棄やらを論拠に安倍政権批判を展開している。かれは『悪質な左翼売文業者』というべきか。
 大江健三郎は『縦に書いたフランス語』、吉本隆明は『長屋のテツガク屋』と評者も批判したこともあるが、本書のなかで、田中氏の吉本批判もじつに適格である。
  すなわち吉本は「国家観を解体したところで、あるいは宗教を否定してところで、それが人間にとって必要だという観点がなければ、無責任な思想になってしま う。まさにフランクフルト学派の「反権力」「反権威」の思想の無責任性とおなじなのだ。それが実を言うと、国家を持たない左翼ユダヤ人の思考の産物であっ た」。

ノーベル文学賞に日本のマスコミだけがはしゃいだ「最有力候補」なる村上春樹が受賞を漏らしたニュースに接した。嗚呼、好かったというのが率直な感想である。
 かれは日本人だが、日本を語る小説ではなく、伝統を無視し、無国籍、グローバリズム、反国家である。つまり反原発、環境、男女共同参画などといった新左翼と発想が同根である。
 田中氏が言う。
 「(原発反対などは)ソ連のコミンテルンのような政治的な扇動とは異なり、自発的な大学人やジャーナリストなどの知的な様相をもった社会運動である。それは道徳的な退廃を伴っており、陰険な恐ろしい動きと言ってもよい」
 なぜなら「こうした変種の隠れマルクス主義の社会変革の意図を見抜けな」いわけで、その理由は「反権威主義という名の、ユダヤ人による欧米の伝統社会の破壊と同じく、日本の道徳心の荒廃をもたらすからである」

 経済面においても然り。
 「グローバリゼーション、新自由主義の名の下に、金融で世界を支配しようという試み」がウォール街に存在しているが、 「これらは、経済において国境をなくし、政府による規制を撤廃し、資本の自由な移動をめざすものだが、その結果が隣国の中国や韓国におけるように、外資による資本占領や資本逃避によって混乱し、窮乏化している」。久しぶりに一行一行を噛みしめて読んだ良書である。





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