「触れ合うと気持ちが安定する」古民家レストランと珈琲店が野菜と珈琲を無償提供「少しずつでも前に」 (2024年1月30日)
珠洲市に、映画のモデルにもなったコーヒー店があります。営業再開にはまだ至っていませんが、先週末、2日間限定で店を開きました。一時的でも店を開いた理由、そこにはある理由がありました。 珠洲市内にある二三味(にざみ)珈琲。映画「さいはてにて」のモデルになった人気店です。店主の仙北屋葉子(せんぼくやようこ)さん。地震で建物の大きな被害はありませんでしたが、まだ営業はできません。しかし、この日は… 「わぁ、立派なキャベツ!」 キャベツやトマトなどの野菜がずらり。 「八百屋が開けそうや。上は北海道、下は愛媛から岡山。このお店のところに集めて先週2トン車2台で持ってきてくれた」 同じく被災した、珠洲市の古民家レストラン「典座(てんぞ)」の坂本信子(さかもとのぶこ)さんのもとに全国から届いたのは、2トントラック2台分の野菜。二三味珈琲で住民に配ろうと、急きょ、店を開くことにしました。 「10分前やけどだいぶ待っとるしどうやろう…」 「お待たせしました、どうぞ!」 オープン前から、店には多くの住民が。野菜を袋いっぱいに詰めていきます。 野菜をもらった人: 「うれしい。キャベツ、ネギ、トマト…焼いて食べようかな。想像以上です。助かります」 この日は、自慢のコーヒーも振る舞います。 二三味珈琲 仙北屋葉子さん: 「水は支援でいただいたペットボトルの水と、自衛隊の方に運んでいただいた水をきょうは用意した」 使った豆は、映画「さいはてにて」で主演を務めた永作博美さんに発送するため準備していたもの。永作さんから「地域の人で使ってほしい」と言われたそうです。 コーヒーを飲んだ人: 「本当に幸せ。ありがとう。すっごいいい香り」 「感動です、大好きだったので。泣きそう。嬉しくて」 古民家レストラン典座 坂本信子さん: 「顔を見て声を聞いて実際に会う、触れ合うことが、こんなに気持ちが安定する、嬉しいことなんだとすごく感じました」 二三味珈琲 仙北屋葉子さん: 「一息付けたり会話できたり愚痴ったりできる空間があるだけでもいいのかな。珈琲があると、飲みながら会話がはずんだり和んだりという、珈琲っておもしろいと思いました」 「能登半島のさきっぽってどうなっていくのか不安はありますけど、なくすわけにはいかないかなと思うので、自分のやれることを探して、少しずつでも前に進んでいかないといけないのかなと思います」 コーヒーの香りに包まれ、店内には笑顔の花が咲きました。