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1月14日 行き詰まる万博/チケット売れず赤字危機/開幕予定あと3カ月 しんぶん赤旗

2025-01-19 11:08:09 | 未分類

行き詰まる万博/チケット売れず赤字危機/開幕予定あと3カ月 しんぶん赤旗

 

2025年大阪・関西万博の開幕予定日(4月13日)まであと3カ月。日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長を務める吉村洋文大阪府知事(日本維新の会代表)は、「今年はいよいよ万博。僕自身楽しみ」などと語っています。しかし、実際にはあらゆる面で行き詰まりに直面しており、今からでも中止が迫られる状況が続いています。


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(写真)万博会場建設(左側)とIRカジノ関連工事(右側)が進む夢洲。手前はコンテナターミナル=2024年12月11日、大阪市此花区

 象徴が前売り入場券の販売不振です。「たくさんチケットを買ってください。赤字になったらどうにもならん」。6日の大阪新年互礼会。万博協会副会長の松本正義・関西経済連合会会長はあいさつでこう述べました。前売り入場券の販売目標は1400万枚なのに8日までに売れたのは約751万枚。1年以上売り続けて目標の約54%にとどまっています。松本氏が前売り目標の達成は「難しい」と認めた(3日付「朝日」)ことも波紋を呼んでいます。

個人向け販売6%

 石毛博行協会事務総長は先月、前売り目標は「一つのめどで、必達の目標ではない」(「時事」)などと言い訳。吉村氏も7日、「簡単にいかない目標だ」などと言いだしましたが、同時に最終的な販売目標である2300万枚は「達成できる」と言い張りました。

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 しかし、協会が明らかにした前売り券の12月18日までの販売経路をみると、約82%が企業・団体の購入分です。個人向けが基本となる公式サイトからの販売はわずか約6%にすぎませんでした。かつては週に10万~20万枚台で売れていたチケットの枚数が、大企業が大量に購入していた券種の販売終了(10月6日)後、1桁万台に急減。目標達成には1日約6・8万枚の販売が必要ですが、最近の販売枚数は週1万~2万枚台です。経済界に割り当てた700万枚がほぼ達成され、大企業からも社員や顧客へチケットがバラまかれている今、これまでほとんど売れていなかった一般向け販売で目標が達成できる保証はどこにもありません。

「行きたい」最低に

 開幕が近づけば機運が高まるとも言われてきましたが、三菱総合研究所が半年ごとに実施している調査では、万博に「行きたい」と答えた人が10月時点で24%と前回4月調査より3%も減少。22年10月の調査開始以来最低となりました。

 万博の運営費(1160億円)は8割強(969億円)を入場券収入で賄う方針のため、損益分岐点とされる約1840万枚以上の券が売れずに赤字となれば、負担が住民・国民に転嫁される危険性があります。

 そもそも万博誘致は府民の要求から出たものではなく、維新と自公政権幹部の談合で決められ、カジノのインフラを税金で整備するために強引に夢洲(ゆめしま)を会場に決定、国民の声を聞かずに進めてきたことが行き詰まりの大本にあります。

今からでも中止を

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 大阪・関西万博の会場建設費や運営費の膨張が止まりません。

 建設費は当初の1250億円から2度も増額され、2350億円へと約2倍に増加(2023年10月)。1回目の増額時に「これで最後」と言った吉村洋文大阪府知事は、2回目も「苦渋の決断」と言い訳しましたが、膨張が続いています。

3度目の実質増額

 昨年12月、メタンガス対策30億円、空き施設・区域の追加整備57億円の計87億円にのぼる3度目の実質増額ともいうべき支出を決定。協会は「予見できなかった事象」と言い訳し、予備費(130億円)があるので予算内に収まると説明しますが、膨張するに任せているのが実際です。

 増額の要因は物価・人件費高騰だけでなく、半年で壊す「大屋根リング」を突然つくると言いだし344億円も投入するなど無駄な計画自体にありますが、見直しもされません。

 万博の運営費も当初809億円の予定が増え続け、一昨年12月に警備費など199億円を国が肩代わりしても、1160億円と約1・5倍に増加。それでも膨張が止まらず、新たに警備費だけで55億円も増加。運営費の8割以上を賄う予定のチケット収入が見通せず、赤字に陥る現実性が高まっています。

 窮余のあげく大阪府や財界は12月、1970年大阪万博の収益で設立された「万博記念基金」の半分、約95億円を取り崩すよう管理する関西・大阪21世紀協会に要請する事態です。

 同基金は国際文化交流事業などに使われており定款で処分は禁止されていますが、税金も公共の資産も食いつぶそうとしています。

乗じた大型開発も

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(写真)「いまからでも万博中止を」と宣伝する「明るい民主大阪府政をつくる会」の人たち=12日、大阪市阿倍野区

 建設費や運営費だけではありません。「会場周辺のインフラ整備」(810億円)と「会場へのアクセス向上」(7580億円)に国費など計8390億円かかります。さらに万博に乗じて高速道路などを建設する関連インフラ整備費は9・7兆円にものぼります。

 近畿などの各府県と関経連などが国に提出している要望書では、安全・採算性が問題の大阪・淀川左岸線2期事業(2957億円)から、遠く鳥取県の中国横断自動車道建設まで150以上の計画が盛り込まれています。

 大阪府・市の「副首都ビジョン」(東西2極構想)や関経連「関西ビジョン2030」では、万博とその後に予定するIR(カジノリゾート)開業を契機に、大企業支援の「イノベーション創出」「インフラ基盤整備」などを行うとぶちあげています。

 兵庫県では、「万博を機にヒト・モノ・投資を呼び込む」として、神戸市中心部の三宮再開発、神戸空港「国際化」、高速道路整備などを掲げています。

経済効果に疑問符

 そんなお金があるのなら能登半島地震被災者支援や物価高騰の負担軽減、全国一高い大阪市の介護保険料引き下げなど暮らしの支援に使うべきだとの声が広がっています。大阪市で介護保険料の据え置きに必要な財源は年83億円。今年度の大阪市の万博関連予算1310億円の15分の1で賄うことができます。

 住民の批判を前に国や大阪府は、万博開催による経済効果は「3・3兆円」などとぶちあげています。しかし、これは来場者2820万人という大風呂敷の上に全国で万博開催を機に商品・サービスが大量に生産・購入されるという「机上の試算」です。賃金も上がらない政治を続けながら、「万博効果」で暮らしや経済がよくなるわけがありません。

能登と暮らしこそ

 明るい民主大阪府政をつくる会など市民や市民団体などは「万博は今からでも中止を」「万博より能登の復興、暮らしに税金を」と運動を続けています。

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は昨年12月18日の衆院経済産業委員会で、来場者の安全を無視し、赤字の危険もかえりみないで開催を強行しようとしていると追及しました。

 児童・生徒らを乗せたバスの駐車場にある「火気厳禁」と書かれたガス抜き管の写真を示し「降りたらすぐそこは危険箇所ということではないか」と指摘。武藤容治経産相や経済産業省の担当官は「ガス抜き管は高さをかさ上げする」「経費削減や収入増は協会で検討する」と答えるだけでした。

 辰巳氏は、「危険で、国民負担になる大阪万博はやめるべきだ」と主張しました。

爆発濃度のメタン

会場の危険性解消されず

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(写真)「火気厳禁」と書かれたガス抜き管

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(写真)万博の団体バス来場者の歩行ルートのすぐそばにあるガス抜き管(画面中央付近に3本)=昨年12月11日、大阪市此花区の夢洲第1交通ターミナル

 万博には、校外学習などの学校行事として児童・生徒も動員されようとしていますが、会場の危険性は解消されていません。

 昨年3月に夢洲1区の会場建設現場で爆発事故を起こしたメタンガスについて、協会と政府はこの間、学校側の質問に次のように回答しています。「開場中に基準値を超えた場合、速やかにその建物から避難いただき、換気対応を行う」「万が一測定値が高くなった場合、その施設については一時的に入場規制し、安全が確保されてから入場可能とする形も考えられる」。安心・安全とはかけ離れています。

 爆発事故が起きた夢洲1区は現役の廃棄物処分場で、昨年度は83本のガス抜き管からだけでも約2トン~1・5トンのメタンが発生しています。団体バス乗降場から西ゲートに向かう児童・生徒の歩行ルート付近のガス抜き管から爆発濃度に達するメタンが出ていることもわかっています。こんなところで万博を開いていいのか自体が問われています。


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