日本の財政はどのくらい借金に依存しているのか
国の基礎的財政収支 2025年度も赤字続く試算 補正予算など影響 | NHK | 来年度(新年度)予算
国の基礎的財政収支 2025年度も赤字続く試算 補正予算など影響
内閣府は、財政の健全性を示す指標「基礎的財政収支」について、これまで示してきた新年度 2025年度の黒字化から一転し、4兆5000億円程度の赤字になるという試算を示しました。今年度の補正予算が大きな規模となったことが要因で財政健全化に向けた姿勢が改めて問われそうです。

政府は、政策に充てる経費を税収などでどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」を新年度に黒字化する目標を掲げ、去年7月の試算では国と地方合わせて8000億円程度の黒字を見込んでいました。
17日の経済財政諮問会議で内閣府は最新の試算を示し、新年度は、黒字から一転して4兆5000億円程度の赤字になるとしました。
物価高への対応などを柱とする今年度の補正予算が13兆円を超える規模となり、新年度にまたがる事業があることが要因です。
また、防衛力強化の財源や「年収103万円の壁」の見直しに伴う税収の減少なども影響するとしています。
一方、今回の試算では、過去40年の平均的な成長率が達成できれば、2026年度には2兆2000億円程度の黒字になると見込んでいます。
基礎的財政収支の黒字化は目標とした年度に達成できない状況が繰り返され、今後、金利の引き上げに伴う国債の利払い費の増加も避けられない中、財政健全化に向けた姿勢が改めて問われそうです。
黒字化 目標はたびたび先送りに
政府は財政健全化を目指して「基礎的財政収支」の黒字化を掲げていますが、この目標はたびたび先送りされてきました。
2001年、政府の経済財政運営の基本方針いわゆる「骨太の方針」で、基礎的財政収支の黒字化が初めて財政健全化の目標として掲げられました。
翌年の2002年には2010年代初頭に国と地方をあわせた基礎的財政収支の黒字化を目指す方針が打ち出されました。
2006年には目標年度を2011年度に定め、翌年 2007年の試算では、大規模な歳出改革の効果を織り込むことで2011年度に黒字化するという見通しが示されました。
しかし、リーマンショックによる税収の減少や大規模な経済対策が影響して、黒字化の目標は2009年には「今後10年以内に」と、2010年には「2020年度までに」などと先送りされました。
さらに、消費税率の10%への引き上げを翌年に控えていた2018年には税収の増加分の一部を子育て支援などにまわすことが打ち出され、黒字化の目標は2025年度へと再度、先送りされました。
こうした中、前回 去年7月の試算では、2025年度には税収の上振れなどを背景に8000億円程度の黒字を見込みましたが、今回の最新の試算では4兆5000億円程度の字となり、黒字化の達成は困難となりました。
試算では2026年度に黒字になるという見通しも示されましたが、政府は、黒字化目標の扱いをどうするか、今後、検討することにしています。
内閣府によりますと、国と地方の基礎的財政収支はバブル景気直後の1991年度に黒字となったのが最後で、その後は赤字が続いています。
石破首相 “財政健全化の旗 おろすことはない”

石破総理大臣は経済財政諮問会議で「新年度 2025年度は黒字化しない見込みが示されたものの、2001年度以降で最も赤字幅を縮小させることができる見通しだ。これまでの経済財政運営の成果もあり、着実に財政状況は改善している」と述べました。
そのうえで「今後の経済状況の変化や、それに伴い追加的な対応が生じる可能性も念頭に置きながら『経済あっての財政』の考え方のもと、早期の黒字化実現に向けて、わが国の潜在成長率の引き上げに重点を置いた政策運営に取り組むとともに、歳出と歳入両面からの取り組みを継続する。今後も財政健全化の旗をおろすことはない」と強調しました。
赤澤経済再生相 “新たな黒字化目標も検討”
赤澤経済再生担当大臣は17日の記者会見で「経済再生や歳出改革の努力といった、これまでの取り組みの進捗や成果を後戻りさせることなく、早期の黒字化の実現に向けて取り組んでまいりたい。ことしの『骨太の方針』に向けて、より具体的な財政の健全化に向けた取り組みや新たな黒字化の目標も検討していく」と述べました。