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暴れ川の治水を問う 中止の戸草ダム計画、伊那市の市民団体が勉強会 [長野県]:朝日新聞

2025-05-14 10:10:35 | 未分類

暴れ川の治水を問う 中止の戸草ダム計画、伊那市の市民団体が勉強会 [長野県]:朝日新聞

 

暴れ川の治水を問う 中止の戸草ダム計画、伊那市の市民団体が勉強会

安田琢典
 

 

 
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雨で増水した三峰川=2023年6月11日、長野県伊那市長谷中尾、安田琢典撮影
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 長野県南部の伊那谷を流れる天竜川最大の支流三峰(みぶ)川は、過去に何度も水害を起こした「暴れ川」として知られる。その上流域に治水や利水を目的に計画されていた戸草ダムは、2008年に建設計画中止の方針が決まった。ただ、国内各地では豪雨被害が頻発。現状を憂えた市民団体が11日、三峰川の治水の現状を学ぼうと勉強会を開いた。

 三峰川が流れる伊那市の市民団体「三峰川みらい会議」が同市役所で勉強会を開き、流域住民ら約50人が参加した。同会議は三峰川の河川環境を守り、治水や利水のあり方を考えようと00年に発足した。自然観察会などを通じて環境保全への意識を高めるとともに、識者を招いて三峰川について学んできた。

 今回の勉強会のテーマは「戸草ダム計画の現状」。テーマについて、若林晴二代表は「10年前とは気候の状況が明らかに違う。ダムの建設に賛成、反対の立場を超えて、改めて真剣に治水の重要性を考える必要があると危機感を覚えた」と話す。

 国土交通省天竜川上流河川事務所(駒ケ根市)によると、三峰川中流域には1959年、国の事業として治水と発電を目的とした美和ダムが完成。さらに治水を強化し、利水を進めようと上流域に計画されたのが73年に予備調査が始まり、88年に事業着手した戸草ダムだった。

 戸草ダムは美和ダムに堆積(たいせき)した土砂を除去する再開発と合わせた国の「三峰川総合開発事業」の一環として計画され、総合開発の事業費は1080億円とされた。しかし2001年、当時の田中康夫知事が、水需要の伸び悩みなどから「採算も取れない事業に税金投入は認められない」と戸草ダムの利水から撤退を表明する。

 08年には財政難を理由に国が建設中止の方針を明らかにしたが、それまでに予定地の67%にあたる107ヘクタールを取得。すでに事業費として約110億円が投じられていた。

 三峰川は南アルプスの名峰、仙丈ケ岳(3033メートル)の8合目付近に源を発する。大きく蛇行しながら大小30前後の支流を巻き込み、約60キロ先の天竜川に合流する。流れの勾配がきついうえ、川幅が狭いことから水害が発生しやすい条件にあるという。

 61年6月には三峰川を含む天竜川流域の広い範囲で大規模な水害が発生。2626ヘクタールが浸水し、死者・不明者136人を出した。83年9月の水害では1978ヘクタールが冠水し、床上浸水2312戸、床下浸水4183戸を数えた。

 2020年7月の大雨では堤防の越水は免れたものの、市中心部に近い三峰川の右岸堤防が約200メートルにわたって削られた。同会議の丸山宏一副代表は「数年に一度は大水が出て、農地が冠水したり、橋が流されたりする被害に苦しめられてきた」と打ち明ける。

 今回の勉強会には同事務所流域治水課の竹内昭浩課長が招かれた。竹内課長は過去に三峰川で発生した水害を紹介しつつ、国の河川整備計画について「気候変動により大雨被害が増えており、流域全体で治水プロジェクトを策定する方針を掲げている」と説明した。

 勉強会には白鳥孝市長も講師として招かれた。伊那地域の市町村で作る「三峰川総合開発事業促進期成同盟会」の会長を務める白鳥市長は今年1月と2月、県と国に戸草ダムの建設を求めて陳情している。

 登山と渓流釣りをはじめ、三峰川についての活動が「ライフワーク」という白鳥市長は、川に沿って仙丈ケ岳に登った経験が100回以上はある。白鳥市長は「三峰川は豊潤さと怖さが同居している。美和ダムだけでは災害を防げず、戸草ダムと堤防もセットにして治水をしなければならない」と訴えた。


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