【机上の想定】国土交通省 河川整備基本方針>豊川水系 豊川水系工事実施基本計画
国土交通省 豊川水系工事実施基本計画
建設の目的
- 洪水調節
設楽ダムの建設される地点における計画高水流量毎秒1,490立方メートルのうち、毎秒1,250立方メートルの洪水調節を行う。 - 流水の正常な機能の維持
下流の既得用水の補給等流水の正常な機能の維持と増進を図る。 - かんがい
愛知県東三河地域の農地約17,200ヘクタールに対するかんがい用水として、新たに毎秒0.339立方メートル(年平均)の取水を可能とする。 - 水道
愛知県東三河地域の水道用水として、新たに毎秒0.179立方メートルの取水を可能とする。
位置及び名称
- 位置
豊川水系豊川
右岸 愛知県北設楽郡設楽町松戸
左岸 愛知県北設楽郡設楽町清崎 - 名称
設楽ダム
規模及び型式
- 規模
堤高(基礎地盤から堤頂までをいう。)
129.0メートル - 型式
重力式コンクリートダム
貯留量、取水量及び放流量並びに貯留量の用途別配分に関する事項
- 貯留量
- 総貯留量
最高水位は、標高444.0メートルとし、総貯留量は、98,000,000立方メートルとする。 - 有効貯留量
最低水位は、標高377.0メートルとし、有効貯留量は、総貯留量のうち標高444.0メートルから標高377.0メートルまでの有効水深67.0メートルに対応する貯留量92,000,000立方メートルとする。
- 総貯留量
- 取水量及び放流量並びに貯留量の用途別配分
- 洪水調節
洪水調節を行う場合を除き、水位を標高437.0メートル以下に制限するものとする。
洪水調節は、標高444.0メートルから標高437.0メートルまでの容量19,000,000立方メートルを利用して行うものとする。 - 流水の正常な機能の維持
流水の正常な機能の維持と増進を図るための貯留量は、標高437.0メートルから標高377.0メートルまでの容量73,000,000立方メートルのうち最大60,000,000立方メートルとする。 - かんがい
愛知県東三河地域のかんがい用水として、新たに毎秒0.339立方メートル(年平均)の取水を可能とする。
かんがいのための貯留量は、標高437.0メートルから標高377.0メートルまでの容量73,000,000立方メートルのうち最大7,000,000立方メートルとする。 - 水道
愛知県東三河地域の水道用水として、新たに毎秒0.179立方メートルの取水を可能とする。
水道のための貯留量は、標高437.0メートルから標高377.0メートルまでの容量73,000,000立方メートルのうち最大6,000,000立方メートルとする。
なお、上記b~dについては、効率的な水利用を図るために設楽ダムと豊川総合用水施設等の利水施設による河川流水の総合的運用を行う。
- 洪水調節
ダム使用権の設定予定者
愛知県(水道)
建設に要する費用及びその負担に関する事項
- 建設に要する費用の概算額
約3,200億円 - 建設に要する費用の負担者及び負担額
- 河川法第59条、第60条第1項の規定に基づく国及び愛知県の負担額
建設に要する費用の額に1,000分の890を乗じて得た額(このうち、かんがいに係るものは、建設に要する費用の額に1,000分の113を乗じて得た額)とする。 - 特定多目的ダム法第10条第1項の規定に基づく流水をかんがいの用に供するものの負担額
aに規定するかんがいに係る負担額のうち、その額に10分の1を乗じて得た額とする。 - 特定多目的ダム法第7条第1項の規定に基づく愛知県(水道)の負担額
建設に要する費用の額に1,000分の110を乗じて得た額とする。
工期
昭和53年度から令和16年度までの予定
資料-3 豊川水系工事実施基本計画 (mlit.go.jp)
豊川水系は、その源を愛知県北設楽郡段戸山に発し、渓谷を流れ、宇連川を合わせ新城市において平野部に出て宇利川等の支川を合わせ豊川市行明において、豊川放水路を分派し、豊橋市において渥美湾に注ぐ。 その流域は、愛知県に属し、面積は720km2に及び東三河地方における社会、経済の基盤をなし、本水系の治水と利水についての意義はきわめて大きい。 治水事業の沿革は、昭和13年から直轄事業として石田における計画高水流量を3,800m3/secとし、豊川放水路を含めた豊川改修計画を定め、豊川放水路工事に着手したが、昭和34年9月洪水にかんがみ石田における基本高水のピーク流量を4,700m3/secとして上流にダムを建設することを含めた計画に変更した。しかしながら、昭和43年・44年と大出水があいつぎ、かつ、近年における流域の開発がいちじるしいため、これらにかんがみ、石田における基本高水のピーク流量を7,100m3/secとし上流ダムにより3,000m3/secを調節し、計画高水流量を4,100m3/secとする現計画を決定した。 なお、河口部の高潮堤防は昭和38年に竣功し豊川放水路は昭和40年におおむね竣功した。 河川の利用については、農業用水として約20,020haに及ぶ耕地のかんがいに利用され水力発電としては、明治45年に建設された長篠発電所を初めとして現在3カ所の発電所により総最大出力2,260kWの電力の供給が行われ、また、上水道用水、工業用水として新城市、豊川市、豊橋市等に対して供給が行われている。 本水系における河川の総合的な保全と利用に関する基本方針としては、河川工事の現状、砂防・治山工事の実施、水害発生の状況及び河川の利用現況(水産資源の保護及び漁業を含む。)並びに河川環境の保全を考慮し、また関連地域の社会経済情勢の発展に即応するよう、中部圏開発整備計画、東三河工業整備特別地域整備基本計画等との調整を図り、かつ土地改良事業等の関連工事及び既存の利水施設等の機能の維持を十分配慮して水源から河口まで一貫した計画のもとに、しばしば水害の発生している地域についての対策を重点として次のように工事を実施するものとする。 保全に関しては、新城市、豊川市、豊橋市及びその周辺地域を洪水から防御するため、上流に多目的ダムを建設して洪水調節を行いまた既設の豊川放水路により洪水の分流を行うとともに、築堤、掘削、護岸、水制等を施工しさらに内水対策について調査検討を行う。 さらに、河川環境の計画的な保全と整備を図る。 利用に関しては、東三河地域の発展に伴う農業用水及び都市用水の需要の増大に対処するため多目的ダムの建設を行い水資源の広域的合理的な利用の促進を図る。 2.河川工事の実施の基本となるべき計画に関する事項
(1)基本高水並びにその河道及び洪水調節ダムへの配分に関する事項 基本高水は、石田上流域の対象雨量(日雨量)を316mmとし、昭和43年8月洪水、44年8月洪水等、近年における大出水を主要な対象洪水として検討し、そのピーク流量を、基準地点石田において、7,100m3/secとする。このうち上流のダムにより3,000m3/secを調節して河道への配分流量を4,100m3/secとする。
(2)主要な地点における計画高水流量に関する事項 計画高水量は、石田において4,100m3/secとし、支川の合流量を合わせ当古において、4,550m3/secとし行明において豊川放水路に1,800m3/secを分派し、更にその下流支川の合流量を合わせ豊橋において2,850m3/secとし、その下流では河口まで同流量とする。 豊川計画高水流量図 ![]() (3)主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項 豊川における既得水利としては、石田から下流において農業用水として約6.2m3/sec、上水道用水として1.4m3/sec、工業用水としては1.8m3/sec、雑用水として0.012m3/sec、合計約9.4m3/secである。 このうち牟呂松原頭首工から下流においては、上水道用水0.36m3/sec、工業用水0.835m3/sec、合計約1.2m3/secである。 これに対して石田における過去23箇年間の渇水流量の平均5.0m3/sec、低水流量の平均8.9m3/secであるが、流水の正常な機能を維持するため必要な流量は、河道の維持用水、既得水利権等を考慮し、石田においてかんがい期におおむね13m3/secとし、牟呂松原頭首工の下流地点においておおむね5m3/secとする。 3.河川工事の実施に関する事項 (1)主要な地点における計画高水位、計画横断形、その他河道計画に関する重要な事項
主要な地点における計画高水位一覧表
豊川 東上(河口から22.0km) ![]() 行明(河口から11.4km) ![]() 下地(河口から5.8km) ![]() 清須(河口から1.0km) ![]()
豊川放水路 正岡(河口から6.0km) ![]() 前芝(河口から1.0km) ![]()
(2)主要な河川工事の目的、種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施工により設置される主要な河川管理施設の機能の概要 上流部に建設する多目的ダムについては調査、検討のうえ、計画を決定するものとする。 新城橋から下流部については、川幅は部分的に引堤するほかは、ほぼ、現状のまゝとし、腹付け、かさ上げによる堤防の拡築を行い、河積の増大を図り、護岸、水制等を施工する。さらに、賀茂、下条等の無堤部には、堤防を新設し、豊橋市内の家屋密集地区には特殊堤を築造し、洪水の安全な流過を図る。 豊川放水路分派点に設置した分流堰により洪水の計画的分流を図る。 支川については築堤、護岸等を施工する。 さらに、適正な河川環境の保全と利用を図るための工事を行う。 豊川水系平面図(参考図) ![]() |