久しぶりに大粒の雨が降ってきました
カエルのギン太は大喜びです
もう暑くて暑くて本当に死んでしまいそうでした
あと一日だって生きていけなかったかもしれない・・・
本気でそう思っていましたから痛いくらいの大粒の雨もへいっちゃらです
うれしくてうれしくて、夜更けの道の真ん中まで出てきて
グレーの大きな雲がうずまく真っ暗な空を見上げてぴょんぴょん飛び跳ねました
そうだ!久しぶりに大好きなサックスを吹こう!
こんな気分のイイ日は久しぶりだモノ・・・
うんと寒いのは全然ダメだしうんと暑いのも困るんだ
そんなときは、ジッとこもって大事なサックスを磨いて過ごします
だからピッカピカのサックス・・・
最初に小さなパイプ椅子を持ってきて
道の真ん中に置きました・・こんな夜更けだし誰も通りやしないさ・・・
そして金色に光る大事な大事なサックスをしっかり抱えて持ってきました
大きく深呼吸をしてゆっくり椅子に座ります
足を組んで腿に軽くサックスを乗せて・・・
そっと指慣らしに音階を奏でます・・・ぽ、ぽ、ぽ、ぽ、ぽっふぃいぃ~♪
うぅんんんん~いい音だ・・・われながら惚れ惚れする・・・ギン太はすっかりしあわせです
うれしくて胸が一杯にふくらみます・・・
ギン太は夢中でサックスを吹きました
次から次からメロディが浮かんで見事に闇夜に流れます
いつまでもいつまでも時が経つのを忘れて雨と風とサックスの音に酔いしれました
・・・・・ドレほど時間が経ったのでしょう・・・
いつの間にかあたりは明るくなり新聞配達の若者が路地を通ります
おや?こんなところに大きなアマガエル・・・
そうです・・・ギン太です
ギン太がサックスを吹いていいのは、夜明け前までです
神様とそう約束をしていただいたサックスでした
でもギン太はすっかりそれを忘れて吹き続けてしまったのです
ギン太は椅子に座ってサックスを吹きながら仰向けに倒れてしまった状態でいました
もう・・椅子もサックスもありません・・・
ギン太だけが倒れていました・・・
もちろん足を組んだままサックスを小粋に傾けてもってる腕の形のまま・・・・
ギン太は自分が死んでしまったことにきっとまだ気づかずに天国に行ってしまったようです
洒落たチョッキを着込んだギン太・・・
なんかね・・・見たこともない太っちょなアマガエル・・・
あお向けて足を組んでサックス吹いてたカッコでこと切れていたアマガエル・・今朝見かけたんだ・・・
きっと本当の話だと思う・・・
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