ラッパ吹きの私的つぶやき

沼津交響楽団Tpパートリーダの華麗でも素敵でも詩的でもない私的な音楽的手記。

iPodと戯れる

2005年06月29日 00時06分27秒 | Macintosh
 クラシックファンにとって朗報とも言えたiPodの登場。長距離ドライブ、というときにじゃらじゃらCDを積み込む必要はなくて、車に乗ってから「今日はどの気分?」と選ぶことが出来るのはもう手放せない。
 しかしながらクラシックのアルバムはどれもこれもが「交響曲○○番」だの「ピアノ協奏曲○○番」だの。しかも同じ作曲家で違う演奏家だったらまだマシで、同じ演奏家の3回の録音を持っていたりするときに、頭を悩ませていませんか?
 わたしの場合、プレイリストだとアルバム単位にならないのでちょっと辛いところが。また持っている組曲を全部プレイリストにするのも手間が掛かって仕方ない。
 そこで、メイン>ミュージック>作曲家でアルバムを選ぶことにする。
 アルバムのタイトルにも悩むところ。CDにはメイン曲だけじゃなくて、ちょっとした序曲などが含まれていることがあって悩ましい。そういうときには、組になっている曲のアルバムタイトルをたとえば「Symphonie Nr. 1 in D-Dur」としておく。短い序曲は単体でアルバム扱いする。読み込ませるときに出来るだけ曲の情報を入れておく。すると、作曲家で交響曲だけを選ぶことが出来るようになる。
 この方法でショスタコーヴィチまでは試すことが出来た。
 しかしながら、同じ交響曲を別の演奏家で持っている場合。運が良ければきれいにアルバムが別れるが、運が悪いとそのアルバム名に2回以上ずつ同じ曲が繰り返されて表示される。これは悲しい。
 ではそういうときはどうするか。曲名のあとに簡単に演奏者、場合によっては回数もしくは年代を付け加えておく。そうすることによって、よほどのことがなければ重複は避けられるだろう。
 わたしの場合は、何枚か持っている曲の場合は、アルバム名の後ろに指揮者/演奏団体というようにしてある。場合によっては録音年代も。
 まだまだいろいろなTipsを知らず知らず使っていると思われるが、これは気づいた時点で報告しようと思う。

定演の反省会

2005年06月18日 00時27分33秒 | クラシック
 書くのは比較的得意かもしれませんが話すのはあまり得意ではない気がします。まして大人数の前で纏められなかった意見を述べるのはちと辛いものがありました。
 そんなわけで昨日は定演の反省会と今後の話が。わたしが言ったことはだいたいこないだ書いたことなんですが、それに加えるならあんまり周りと合わせきることが出来なかったなあと。
 弦楽器・木管楽器群が割とまとまり始めたところにきて見えてきた金管楽器のまとまりのなさ。今までは目の前でもやもやしていたから誤魔化されていたんですね。まして今回の曲目は明快に出来ないとなにがなんだか分からないブラームス。今まで以上にそれが顕わになった演奏会だったと思います。
 それは分かっているのですが……。
 わたしにとって安心してその椅子を任せられるわけではなく序でに言うなら信頼することすら困難な場合は一体どうすれば宜しいのでせうか?
 これってわたしの問題? オーディションがない市民オケの宿命?
 でも何とかの耳に何とやらって言うしなあ。
 大学ではそういうことはなかったのになあ。
 社会なんてそういうものなのかもしれない。
 まあ適材適所とはいかないんだろうけれど。
 どこかいい塩梅で妥協するしかないのかな。

 にしても。
 ここまで人と通じ合うことが出来ないと諦めることはないんだけどなあわたしの場合。
 でもさしものわたしも匙を放り投げることもあるんだなあと。
 ミンナデオンガクしましょうよ。

 ああ。愚痴だ。
 でもこの愚痴で何かが変わってほしいと期待して悪いことは、ないですよねえ……。

フィラデルフィアのマラ5

2005年06月06日 01時22分47秒 | クラシック
 さっきまで芸術劇場でこないだ来日していたフィラデルフィア管弦楽団の演奏会をやっていたのです。
 曲目はベートホーフェンのピアノ協奏曲第4番変ロ長調と、マーラーの交響曲第5番嬰ハ短調。
 ビデオに撮ったのでのんびり構えつつ、他のことをしながらちらちらと見ていたのですが。
 マーラーの出だし、極めて有名なトランペットソロがアップになったのでよくよく見てみると。
 トランペットがC管だ。

 この楽譜、記譜上は現在最も一般的なB譜で、普通演奏するときはB管を使うと思っていたのです。
 何が嫌って、出だしのcisの音が、B管だと23ピストンなのが、C管だと123ピストン全押しで、音程が極めて高くなる上に定めにくい、わたしにとって使いたくない指で。
 記譜もB管だし、わたしがやるなら1楽章から2楽章途中まではずっとB管だと思っていたのです。1楽章途中にin Fに切り替わるところがあるので、そこでC管を使うかもしれないですが。
 だからステージに持ち込むのはBピストンとCロータリ。
 だのにフィラデルフィアはC管。びっくりしました。
 といいつつ、そのあとはあまりじっくりと見られなかったので、後日ビデオで確認してみるつもり。

 短管Bと長管F(Es)の音色の違いも気になるところではあるんですけどね。

 音色の違いで思い出した。Wikipediaクラリネットの項目に、それぞれ音色が違うとも違わないとも言われるが、違うにしてもごくわずかであり、作曲者や演奏者がそのどちらを選ぶかは、その曲における運指のしやすさによる。と書かれていたのです。
 クラリネットは管長で音色がすごく変わると思っていたのですが……。でなければブラームスが3小節間での持ち替えを指示したりはしないだろうし。
 余談ですがBreitkopf & HaertelのKlarinette IIパートはすべてBで書かれています。1楽章再現部では1番とともに持ち替えをすることになっているはずなのに、それをやってないんですね。1番は持ち替え指示が書かれているのに。
 ちょっと前までは出回っている楽器で演奏してしまうことが普通に行われていたらしいのですが、それってどうなのかなと思いつつ。

 タイトルとはいつの間にかまったくかけ離れた内容になってしまいましたとさ。

演奏会雑感

2005年06月01日 01時45分48秒 | クラシック
 さて……。
 本番が終わってそろそろ3日経ち、奏者も聴衆も耳と頭が冷えてきたことだろうと思うので、わたしなりの今回の雑感などを。

 自分自身では大目に見て60点の演奏でした。あくまで自分自身だけ、そして今までの自分の経験もふまえてこの程度かなと。三段階評価で真ん中。
 オケ全体では50点。パートによっては赤点付けたい。というか(以下略)。
 やはり、最後までブラームスが作れなかった気がします。演奏会のあと横島先生ともお話ししたのですが、やはりもう少し細かく見る時間は欲しかったとのこと。ややこしい楽譜に気を取られて、基本的な和音のバランスなどをいじる時間が足りなかったということでした。
 しかしながら、その前の和音を作ることは、奏者自身が各自自覚を持って、どのような音程で吹くか、弾くかに掛かっているのであり、それがない段階で和音のバランスを考えようとしても、むやみに時間が掛かるばかりで、プロの指揮者に見て頂くには非常にもったいない。それを見て頂くくらいなら、難しい部分の解釈の仕方をたくさん伺うことができるようにと、我々奏者も努力しなければならないだろうと思います。
 特に、オーケストラ全体としては、薄膜に包まれたまま、最後まで透明感のあるブラームスが作れなかったという反省があげられると思います。全体的に「だいたい」合っている音程、リズム、アーティキュレーション。しかし「だいたい」レベルでは音楽は成立しません。もっと各人、楽譜を読み込むことが何より必要なのではないでしょうか。
 特に音程の問題は、笹先生がおっしゃっていたように、各調のスケールを必ず練習すること。交響曲だったら主調性のほか、ドミナントやサブドミナント、ドッペルドミナントの長短のスケールを冷静に練習することで、主旋律に対し、また副旋律に対してどのような歌い方をすべきか、ということが明確になってくるのではないかと思います。

 ついでにいうならいろいろと許せないことが目に付いた演奏会でもありました。対外的にはブラームスの第3楽章で焚かれたフラッシュ。あの距離でフラッシュを焚くことはまったく意味のない行為であり、はっきりいうなら業務妨害に当たるわけで、団としては強く抗議して頂きたいところです。聞くところによると新聞の記者だったらしいですが。
 公的な写真を撮るなら撮るで、せめて三脚を持ち出してフラッシュ無しのスローシャッターを切るくらいの配慮は必要ではないでしょうか。でないと、フラッシュなんか焚いたら観客の後ろ頭ばかりが並ぶ写真が、ということになりかねず。
 なぜ写真撮影を禁止しているのか、その意味を考えて頂きたいものです。それを考えないことはマスコミの傲慢、という言葉は使いたくないですけどね。
 対内的には「いい加減」な人々への怒り。練習中、なんで静かな場面で物音を立てて平気な顔をしていられるのかなとか。迷惑を掛けたなら掛けたで、せめてすべて終わるまではそれをフォローするように出来るだけの行動をして欲しいとか。個人攻撃ではありません、これってけっこう練習中から見かけられたことなので。
 オケのほぼ最後列から見ていて、「舐めとんのか」と思ったことも一度や二度ではなく。

 とりあえず良く盛り上がった、良い演奏会だったとは思います。ですが、図らずとも精密な組み立てを必要とした曲を取り上げたことで、オケの問題は各人で確認できるようになったと思います。
 あとは、その問題に対してどう取り組むか。それは、わたしを含めた個人個人の問題です。

 何度もいいますが、音楽はその人のすべてを表現します。「不協和音」というのは良くできた言葉で、協和音だけでは音楽は進みませんが、不協和音が耳に付くと不快です。協和音と不協和音のバランスについて、各人胸に手を当ててよく考えてみませんか?

 2週間後に出張演奏会があります。これをどう捉えるかが、次のロータリー、そして第22回定期に繋がるのではないかと、内心冷や冷やしています。
 やっつけだと思っているあなたには、もはやいい音楽は訪れないでしょう。
 定期演奏会よりも公的な立場の強い演奏会です。せめて良い演奏を心がけ、小さな感動を聴衆に与えられる演奏を目指しましょう。
 次の演奏会の話は、それからです。……沼津とは(ほとんど)関係ない演奏会に参加するといって盛り上がってる人もいるみたいですが、笑止千万。それで浮かれるのは直近の演奏会で、全部「他人にとって」満足のいく演奏を見せることが出来て、初めてその権利が得られるものではありませんか? あなたの演奏は他人を満足させましたか?
 付け加えるなら。満足させていないと思ったあなたにこそ、良い音楽が訪れるのです。

 長くなりましたがそれでも、良い演奏会だったと思います。お客様も喜んでおられたとのこと、何よりです。
 これからも、人に喜んで貰える演奏会を目指し、ともに頑張っていく所存ですので、皆様よろしくお願い申し上げます>沼響各位

 最後に。そういうスタンスでいる限り、他人に信頼される奏者にはなれませんよ>私信