行雲流水の如くに

国民の豊かさとは何かを問う。

国の経済力の大きさを表すのにGDP(国内総生産)が良く使われる。

その中身は、GDP総額=人口×1人当たりの生産性だ。

人口減少化にあっては1人当たりの生産性を上げなければ、先行き暗いイメージしか思い描けないだろう。

(もっとも生活の豊かさはカネではないという考えもあるが、ここでは保留しておく)

 

1人当たりの生産性は何ぞやと言えば、突き詰めていけば労働者の賃金ということになる。

会社や経営者の取り分は増えているが働き手の所得(実質所得)はじりじり減っている。何かがおかしいと気づかなければならないのだ。

 

ビッグマック指数というのがある。

これは購買力調整済みの物価指数で、ビッグマック1つがいくらするのかを表す。

1番高いのはスイスで6.81。

G7諸国を見ると、アメリカ5.28、フランス5.17、イタリア5.17、カナダ5.07、ドイツ4.80、イギリス4.48、

日本3.59となっていて最下位だ。

タイは3.81だからタイよりも安い。ちなみに韓国は4.16で日本より高い。

観光立国などと浮かれているが、実際は物価が安いから観光客が増えているともいえるのだ。

海外旅行したら良くわかるのだが、円が高いと日本の国力が上がっているのが実感できる。他国の物価が安く感じるからだ。

しかしどうだろう、最近海外に行った人は何と物価が高いと感じたはずだ。

なぜこうなるかというと、円安になっているせいもあるが、主要因は日本の最低賃金が安くされていることにある。

労働者はもっと怒らなければならない。

 

失業率が下がって喜んでいるようだが、これは団塊の世代がリタイアしたが、それに振り替わるべき若者が少ないためだ。

それを補うために海外から労働者を呼び入れようとしているが、最低賃金の引き上げとセットで行わなければ、国内賃金上昇の足を引っ張る。

 

「新陳代謝」という言葉がある。

生物が生存・活動に必要なものを体内に取り入れ不必要なものを出すこと、をいう。

この国の労働環境はじりじりと息苦しいものになっているのは、なぜか?

要は本来倒産すべき企業(主に零細企業)が種々のミルク補強で生き延びている。

結局最低賃金すれすれでしか人を雇えない。

このような企業は合併するなり廃業するなりして新しい道を模索したほうが、経営者もその従業員もハッピーなのではなかろうか?

そして保護しなくても良い大手企業にも非正規雇用の拡大というミルク補強を行っている。

 

自民党政権は、国民の豊かさを求める道を、大きく踏み外している。

特定の業界団体を守ることに汲々として、国民の豊かさ(中間層が分厚い)を厚くする政策を取らなかった。

そして申し訳程度に貧困層にバラマキ政策を取る。

そのような短期、短期のつなぎ政策で支持率を維持しているが、大きなリスクを先送りしている。

 

野党は明確な経済政策(中間層を厚くする)を提示する最後のチャンスかもしれない。

骨太の長期的視野に立った政策を訴えるべきであろう。


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