民主主義というものが世界中でガラガラと崩れ始めている。
民主主義と正反対のものは「全体主義」だ。これをまじかに見ようとすればすぐそばにある。北朝鮮だ。
全てが専制君主金正恩の一言で決まってしまう。
中国も共産党一党独裁体制だから限りなく全体主義に近いだろう。
民主主義と全体主義の中間に位置するのが「権威主義」だ。
近時、この権威主義体制が幅を利かせ始めた。
この体制が厄介なのは、表面的には国民主権を基礎にしながら実際には専制的な力をふるうのだ。その代表格がナチズムでありファシズムだ。
ロシアなどはこのパターンであろう。
一応選挙で大統領を決めてはいるが、野党やその指導者を徹底的に弾圧している。
権威を強調する体制は、権威を軸にするヒエラルキー(ピラミッド型の階層組織)を形成してエリート主義を持ち、実質的な権力や階級として固定化する場合もあるが、大衆などの広い支持を得る場合もある。
トランプのアメリカは「アメリカファースト」を掲げ民主主義の原点である「多元主義」を壊そうとしている。彼の言うアメリカファーストは多様なアメリカ国民ではなく、ホワイトのアメリカファーストを指しているようだ。
自らアメリカの分断を望んでいる。違いに対して不寛容なのだ。不寛容だけならまだしも違う人たちを攻撃するようになる。
そしてそのような主張を受け入れる国民が約40%存在するということに危機感を覚える。
今やアメリカは民主主義のリーダーではなくなった。
日本の民主主義も安閑とはしておれない。
安倍政権の6年半でまずマスコミを抑え込んだ。
NHKの愚かな前会長が「政府が右といったもの左というわけにはいかない」と言ったが、その体質は未だに引きずっている。
次が官僚組織だ。戦後優秀な人材は官僚組織に流れ込み日本が曲がりなりにも今の地位を築いてきたのは、「政治・産業・官僚」がトライアングルを形成し日本型資本主義を作り上げて邁進してきたからだ。その官僚組織は今や見る影もない。「忖度・忖度・忖度」だ。
かって骨のある会長を輩出した「経団連」もいまや「たこやいか」のような会長ばかりだ。骨がない。
法人税を引き下げてもらい、補助金をばら蒔かれたらこのようになるという良い見本だ。
日本も「民主主義」から「権威主義」体制へ流れていく危険性が極めて高くなっている、という自覚が必要だろう。