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一日の事を延々と君は話したがった
ウワノソラの僕が一言
「日記でもつけたら」

2022年振り返り。(その2)

2023-02-09 14:15:42 | 君がいない窓に響く空しい「ひとりごと」
 「続きは近いうちに…」と書きつつ、1週間経ってしまいましたが、
 楽しみにしていて下さった方が居るかどぅか判りませんが、書かせて頂きます。

 『きよしこ』(重松清さん)(新潮社)
 (平成14年11月刊行,平成17年7月文庫化)

 以前、NHKでドラマ化していて、安田顕さんが出ていたので録画していた物を見て、読みたくなり図書館で借りました。

 この小説の主人公「きよしくん」は吃音なのですが、今まで吃音のことをよく知らなくて…。
 
 実は(このブログでも時々?書いていますが)ウチの息子も発音で苦労している子で、なんとなく同じようにとらえていた所があって、
 でも息子の場合は、自分ではちゃんとした発音で話せているつもりなので、
 5年生のときは、放送委員でお昼の放送でもガンガン喋っていたんです。

 なので、吃音の人が、こんなに
『自分の思っていることをしゃべれないのは、
 言葉がつっかえて笑われるよりも、ずっとくやしくて、さびしいことだ。』

 (『きよしこ』より引用)
 って思いながら口を閉ざしているなんて考えもしなかった!
 (最初=小1頃のきよしくんはカ行とタ行と濁点が苦手)

 その後、「この行なら言える」(小3頃)
 「すばやく別の言葉に言い換える。」(中3頃)
 という風に順応していくのですが、高校生になってお互いに想い合う子が出来たとき、その子が
 
『言えん言葉は無理して言わんでもええんよ。
 うちがぜーんぶ通訳してあげるけん。』

 
 と先回りして代わりに答えたりする描写が出てきて…。
 彼女は悪い子じゃないし、悪気があって(きよしくんを下に見たりしてるわけではなくて)
 「通訳してあげたい!」って気持ちなんだけれど、なんか違うなぁ~と思いながら読んでいて…。

 私も息子のお喋りに慣れていない人には、途中から補足しちゃうことがあって、
 息子が文章書くのが苦手だったり(作文は苦手だけど、小説は書いたりしてる)、
 「あのね」とかが多いのは、そのせいかもしれないなぁ~と我が身を振り返ったり…。
 (私自身「あのね」と「なんか~」が口癖なので、私と違って国語より算数が得意だからというのが理由かもしれないケド)

 吃音は精神的なもの(精神医学的障害の一種という定義)で、息子の場合は設備(?)的なものなんだけれど、
 いすれにせよ「障害」って言われるのは嫌だなって思いました。

 (って小説の内容もそうだけど、息子の話こんなに書いて大丈夫なんだろうか???)

 
 『日傘のお兄さん』(豊島ミホさん)(新潮社)(平成19年11月発行)
 (平成16年3月新潮社から刊行された同名の単行本に、大幅な加筆改訂、タイトル変更をほどこしたもの)
 
 久しぶりに読む豊島ミホさんの本。
 まだ地元に居る時、図書館で単行本を手に取って借りようか?どうしようか??と思って、
 読んだことあったっけ?と思いつつ図書館で借りました。(4つの短編収録)
 
 最初の『あわになる』というお話を読んでいたら、途中で
 「あれ?読んだことあるかも?(結末知ってる気がする!)」
 と急に思い出して…。
 
 文緒先生の『群青の夜の羽毛布』(前回感想書き済)を読んだ時と同じく
 「読んだことあるのか?忘れてたのか??」
 と思っていたのですが…。

 次の『日傘のお兄さん』は、
 「こんな話でしょ?」
 と思っていたのと全然違って(多分読んだことない)

 ドキドキしながら読み進めるスピード感!
 内容(はブッ飛んでいるんだけれど)も、文章も心地よくて、
 「あぁ、久々なこの感じ
 と思って(そりゃあ何年ぶりに豊島さんよ!)
 
 そして、この話の結末がスッキリとして好きでした。

 (短編の1つずつ感想を書くと、それだけでブログ1本になりそうなので割愛します。)


 文庫版のあとがきという名の解説をご本人が書いているのですが、曰く
 「豊島ミホ最後の単行本になるかもしれなかった本」だそうで…。

『「就活前の最後」というのは、当時の私にとっては、
 「人生最後」ということとイコールです。
 「売れない作家」なんて職業からはさっさと足を洗ってやる、
 自分は社会に必要とされる企業人になるのだ、
 という妄想にとりつかれ、書くことについてはやめる気まんまんでした。』
 (中略)
 『(『日傘のお兄さんについて』)どうせ最後なんだから好き勝手にやってやろう、
 誰が好きでなくとも自分が大好きな話を書こう、と思いました。』


 とのこと。

 このあとがきを読んで、豊島さんって同い年くらい(実際は2つ下)なはずなのに、就活の頃???
 と思ったら、単行本が平成16年(2004年)、このあとがき自体も2007年9月と15年も前なこと
 (古さを全く感じなかったこと)にビックリしてしまいました。

 
 『夜の朝顔』(豊島ミホさん)(集英社)(平成18年11月発行)

 豊島さんの本がまた読みたくて、図書館で借りました。
 今検索したら、文庫版で出ているようですが、図書館には単行本しかなかったので、
 文庫版と内容が変わっているかもしれませんが…。
 
 『日傘~』のスピード感と全く違って、こちらは1人の女の子の成長というか、日々の出来事というか…。
 (小1~小6)

 一番共感したのは、『先生のお気に入り』という話。
 他のお話も、もちろん良いのだけれど、これはスピード感がすごくて、
 帰りのバス(20分位)で集中して、P.143~169の本編中、167ページくらいまで一気に読んでしまって…。
 (主人公の気持ちが解りすぎて苦しかったです。)

 読み終わって奥付を見たら、初出が

 『入道雲が消えないように』(「小説すばる」2004年12月号)
 『ビニールの下の女の子』 (「小説すばる」2005年9月号)
 『ヒナを落とす』     (「小説すばる」2005年6月号)
 『五月の虫歯』      書き下ろし
 『だって星はめぐるから』 (「小説すばる」2005年10月号)
 『先生のお気に入り』   (「小説すばる」2004年7月号)
 『夜の朝顔』       (「青春と読書」2005年9月号)

 とバラバラだったことに驚いた!?

 あとがきに
『この短編集は最初から、誰にとっても小学生時代のアルバムになるように、
 というコンセプトでつくらせてもらいました。』

 という言葉があったのですが、本当に途中
 「あれ?これ豊島さんがモデルの話なのかなぁ?」
 と思いながら読んでいるときがありました。
 
 私自身は、この主人公のように女子とつるんでなかったけど…。(苦笑)


 まだまだ続きますが、長くなったので一旦更新します!
 ここまで読んで戴き、ありがとぅございました。
 
 続きはまた近いうちに…。

 以下『2021年の読んだ本(その2)』 

2021年振り返り。(その2)
 「その2」と書いても、こちらの方がブログでは上に来てしまうのですが…。 2021年に読んだ小説&エッセイを書いたブログのつづき。  『ばにらさま』(山本文緒さん)......

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