又四郎夢日記

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伝説の武器、防具3~戈~

2014-01-02 16:13:22 | 伝説の武器、防具
戈(ほこ)ではなく戈(か)と読んでください。
戈というのは、古代の白兵戦武器です。西洋から東洋まで広い地域で使われた物で、剣の普及とともに廃れていった古代武器、それが戈です。

その形状はL字型で、鎌に似ています。古代の戦いでは右手に戈、左手に干(かん)という盾を持って戦う事が多かったようです。干戈を交えるという表現が日本語にありますが、これは実際に干と戈を使うのではなく、戦いを文学的に表現した言葉です。

中国武術史研究家の笠尾恭二氏によると、中国の白兵戦武器は三段階に分けられるそうです。

1.戈(か)と矛(ほこ)の時代
2.剣(けん)と戟(げき)の時代
3.刀(かたな、とう)と槍(やり、そう)の時代

1.は殷~春秋戦国時代、2.は春秋戦国~秦、漢時代、3、がその後の時代となるようです。

矛と槍ってどう違うの?という疑問がありますが、これには幾つか説があります。形状によって分類する場合、例外が多くなるので、個人的には形状よりも時代で区別した方がいいと思っています。ようするに古代の物は矛、中世以降は槍という事ですね。

戟は矛や槍のような長い武器の一種で、矛に戈を組み合わせたような形状です。先端の刃物部分が枝分かれしたもので、日本の鎌槍(かまやり)、十文字槍(じゅうもんじやり)に似た武器です。日本語に剣戟の響きという言葉がありますが、これも文学的な表現であり、実際に剣戟を使うわけではありません。日本の時代劇で剣戟の響きと言えば、日本刀による戦いの事です。

日本人の中には、剣と刀の違いが分からない人もいるはずなので、剣と刀の違いについても説明します。剣は両刃(もろは、りょうば)で、刀は片刃(かたは)です。日本では日本刀の事を剣とも刀とも言うので、剣と刀の違いが分かりにくくなっていますが、本来は別の武器です。

時代的には剣の方が古く、刀の方が新しい武器です。中国では現代まで剣が残っていますが、その中国でさえ武器の主流は刀になっています。このような話は別名義でやっているなぜなに古流武術に書いてあるので、興味がある方はそちらもどうぞ。

日本では、戈と剣が同時期(弥生時代)に伝来したので、大陸ほどには戈を使わなかったようです。また青銅器と鉄器も同じ時期に伝来したので、青銅の戈、剣は短期間で廃れて鉄剣、鉄刀になったようです。