又四郎夢日記

ニコマス紹介や、雑学、雑記など。

ファンタジーっぽい実話11~剣と盾の話~

2014-03-23 17:33:05 | ファンタジーっぽい実話
歴史再現映像を観ていると片手に盾、もう片方の手に剣を持って戦う中世ヨーロッパの戦いがしばしばありますよね。こういう再現映像を観ると、ああいう使い方はしなかったのでは?と思える部分があります。それは相手の剣と自分の剣の刃を激しく打ち合わせるというものです。

剣を剣で防ぐなら盾を持つ必要はありません。盾を持って戦うからには盾で剣を受けたと考えるのが自然です。それに加えて刃こぼれの問題もあります。あまり鋭い刃を付けていなかったとしても、刃と刃を打ち合わせたら刃こぼれします。刃こぼれさせない為には刃と刃を打ち合わせないようにするか、刃そのものを付けないようにするかのどちらかになります。刃を付けなければ剣ではなく鉄棒になってしまうので、このやり方はないでしょう。そうすると刃で刃を受けるのではなく盾で受けたと考えるのが合理的です。

じゃあ盾を使わない日本刀はどうなんだ?と言う意見があるかもしれませんが、日本刀は時代劇の殺陣のように刃と刃を打ち合わせるものではありません。鎬(しのぎ)という部分で受け流したり、相手との距離を調節して刀と刀を打ち合わせないようにしたり、相手の刀を抑えたり払ったりする事で刃こぼれを防いでいます。

もっとも全ての人にそういう使い方が出来たわけでもありませんから、剣術が下手な人は刃こぼれさせたようです。しかし剣術が下手な人が刀で激しく戦う事は希ですから、問題にならなかったのでしょう。

高度な技術を要求される日本刀と違って中世ヨーロッパであれば盾で受ければいいのですから、素人でもそれなりに出来たはずです。そう考えてみると、刃と刃を打ち合わせる映像は恐らく間違いです。

まあ、映像はあくまでもイメージですから、映像としての見栄えを考えれば打ち合わせた方が絵になるのでしょう。ファンタジー系の映像作品や漫画も現実より見栄え重視でよいと思います。下手に現実に合わせようとすると、つまらなくなってしまう場合が多いですからね。