最近、働き過ぎじゃありません?
20代の「メリハリ女」とおじさんの共通点
「20代の女性」という言葉から、どんなことを連想するでしょうか。
おしゃれに気を使うきゃぴきゃぴとした華やかな姿を思い浮かべますか。それとも、いわゆる「お気楽OL」でしょうか。専業主婦として子育てに励む若いお母さんのイメージが浮かぶ読者もいることでしょう。
「でも、最近の20代女性は、そんなイメージじゃないなぁ…」。そんなふうに感じている方、それは結構正しい認識かもしれません。最近の20代女性の意識は、かつて20代だった女性たちとは、大きく異なりつつあるようです。
人とのつき合いは面倒だし、健康にも気を使わない
図1 “オンナ”捨て?
出所:博報堂生活総合研究所「生活定点2006」。同調査は1986年から隔年で実施しており、今回(2006年)は首都圏と阪神圏の合計3293人に、日本人の様々な意識、価値観、ライフスタイルなどの変遷を調査している。以下のグラフも出所は同じ
私は、現在の20代女性を「メリハリ女」と呼んでいます。「メリハリ」という言葉を使った理由は、彼女たちが、忙しい日常生活の中で“捨てること”と“残すこと”を一生懸命に取捨選択しているからです。選ぶ対象になっているのは、これまで世の中で「女性らしい」と言われてきた生活様式です。では、20代女性は、女として何を捨てて、何を残しているのでしょうか。
捨てているものの代表例は、人とのつき合いです。博報堂生活総合研究所が2006年に実施した「生活定点」調査では、「人づき合いは面倒くさいと思う」と答えた20代女性は23.6%と、ほぼ4人に1人になっています(図1)。これはすべての世代を合わせた女性全体の19.4%を4.2ポイント上回る数字です。これまで、男性よりも女性の方が得意と見られてきた友人や同僚との人づき合いは、今の20代女性にとっては面倒なものになっています。
図2 普段着には気を使わない
同じように20代女性が女性全体よりも高い割合になっているのが、「家事をする時間を増やしたい」という回答です。「家事をする時間を増やしたい」と答えた20代女性は19.9%と女性全体よりも5.3ポイント高い数字でした。
「家でのふだん着には気を使わない方だ」という回答は、10年前よりも大幅に増加しています。一方で「健康に気をつけた生活をしている」という回答は、逆に10年前よりも大きく減少しました(図2)。家事をする時間もままならず、家ではだらりとした服装で過ごす。世の中が「健康ブーム」なのに、健康に気を配った生活をする余裕もないという姿が見えてきます。
この20代女性の生活スタイル、何かに似ていないでしょうか。そう、今まで、世のサラリーマンたちが言われてきた仕事中毒の“おじさん”の姿です。背景には、20代女性の仕事に対する高いモチベーションがあります。今の20代女性は、他の年代の女性と比べても、10年前の20代女性と比較しても“精勤中毒”の度合いが高くなりつつあるのです。