まさおレポート

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回想の孫正義7 志と後継者、300年企業はあり得るか

2017-08-22 | 通信事業 NTT・NTTデータ・新電電

NTT局舎をADSL向けに工事をする、いわゆるコロケーション問題でNTTとの攻防は凄まじく、孫正義氏は相当な努力を払って克服したが、振り返ってみると孫正義氏の志とNTTの立場との軋轢であると括ることができる。周波数問題で総務省と対峙したときも同様だ。当時は十両程度だった孫正義氏の発する志のド迫力にさすがの横綱もガップリの四ツ相撲を取らされた。

彼を取り上げたノンフィクションには必ず志という言葉が踊る、しかし深く掘り下げたものは見当たらない。一体彼の志とは何か、NTT局舎コロケーション問題でゴリ押しといえるほど強引に突き進んだ源泉である志は一体どのようなものかを忖度してみたい。

世間では彼の志をどのように受け止めているのか。やや斜めに構えるか揶揄の目で受け止めている。

「孫なにがしってのが言ってるけどね。あの男100億円寄付したの本当に!?どこにそんなのあるの!?調べてもらいたいんだよ。それで人気かぶってね。冗談じゃないよ本当に。」石原慎太郎は記者会見で記者に問いかけている。孫、なにがしとかいう男の言葉に石原慎太郎がうさんくさく思っていることがよく表れている。

「孫さんは結局自分のことしか考えていないんだよ」麻生太郎氏が総務大臣のときに、事前に相談に乗ったにもかかわらず周波数問題で訴えられたときのコメント。

「孫さんも志などと言わないほうがよい、ビジネスの追求といえばいえばよい」池田信夫が光発電事業に対して発したコメントで、偽善者ぶることはないと言いたいのだろう。少し人間についての洞察力を持った人なら、気恥ずかしくなるほどの志を表明する男に胡散臭さを感じるのは当然だろう、たしかに表に志と書いて裏では貪りと読める人が多い。 

他の経営者はどうか、。稲盛さんを例に出すと「動機善なりや、私心なかりしか」と己を律している。これは志を持っていても気が付かない間に私心が入り込むことを自ら諌めたことばで、志に反省が加わった言葉だ。

 

孫正義氏の志とは彼が好んで使う「情報革命で世界を幸福にする」とい社是だろうか、筆者にはもっと普遍的に「世界を幸福にする」という一般人には少々気恥ずかしくなるテーマが潜んでいるように思う。そう考えると通信事業にとどまらず電力やAIさらにはシンギュラリティーの先にあるものまで投資の幅を貪欲なまでに広げることが理解できる。

筆者は彼が「大統領制なら政治家になってもいいかな」と冗談めかして漏らした言葉を記憶している。経産省の役人との「ハッカー甲子園事件」の関係修復の後始末のために一席設けたときで、そのときは日本の相続税に対する不満や、一方で私生活的には金にすでに関心がないことも述べていた。「一度計算したことがあって、例えば一日100万円使ってもXXX年かかるんですよ、私にとっては金はもう記号と同じです」と。金はもう記号と同じだとのメッセージはソフトバンク入社式の際にも話している。こうしたエピソードから彼が「世界を幸福にする」という志をもっていると考えるのは忖度がすぎるだろうか。

彼の志に私心がないことは孫泰蔵氏や娘たちに会社を継がせる気がないことでもわかる、それでも日本の相続税に対する不満が出ることはどう理解すればいいのだろう。彼も人の子で私心、つまり貪りの無明からは逃れられないところがあるのは当然だろう、しかし志という言葉で必死に私心と戦っているのだと思う。

 

孫正義氏は発表されているだけでも育英財団を作り、東日本大震災では100億円の寄付をした、それ以外にも隠れた寄付は多いことと推測する。孫泰蔵氏や娘達には会社を継がせないことも宣言していた。ニケシュを後継者に引っ張たのは彼もインドに学校を作りたいとの志を持っていたことも意気投合した理由ではないか(結局は失敗したが)。

永守電産社長は金はあの世に持っていけないとして私産を300億円京都産業大学に寄付し、3人の息子には残さないと宣言した、これなど永守電産社長の志を見事に行動で締めくくる例だろう。永守電産社長は社外取締役でもあり影響を少なからず受けていると思う、今後孫正義氏は事業を行けるところまで持っていった後に永守電産社長にならって資産をグローバルに財団等に寄付するのではないか、それによって彼の志を一点の曇り無く世に示すのではないかと夢想している。これは以外に実現しそうな気がするといえば無邪気すぎるだろうか。

実は300年続く企業を目指すというとんでもない目標の実現プランはこんなところにある、引き際の見事さは300年と言わず伝説になって残り、人の心に残る伝説の創業者を持った企業はそれだけで圧倒的なブランドとなる、そしてそのDNAを引き継いだもののみを後継者とし、志は引き継がれて彼らも資産を残さない、これこそが誰も達成したことのない300年企業の秘策ではないか。しかし私心のない後継者っているのかしらとも思う、そのあたりが一代の傑出した男の悩みどころかもしれない。

 回想の孫正義

 

 

 

 

 

 

 


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