まるの日<へミシンクとミディアムな暮らし> まるの日圭(真名圭史)の公式サイト

ネコ20匹を世話するため、本を書いたりバイク乗ったり。見えない世界ととその狭間を見ながら日常を生活する一人の男の物語。

今日の日常と、レムリアの記憶とか。

2019-01-02 19:00:48 | 古代大陸系




今日は夕方まで仕事したり、ゴールデンカムイ読んだりしてましたが。
個人的にアイヌの自然との関わり方などは共感できるとこもあるので、その辺の文化的な話もいいですし。
時代的な背景もいいですし。あとは、キャラが濃いのでそれもいいですし。
アニメはあいにく見てないのですが、原作のほうを兄から借りて現在読んでるところです。

夕方はヘルメットのバイザー新調したので



そのテストも兼ねて郵便局へ。
1枚目の写真はそのときに阿蘇山が赤くなってたので、ちょっと撮影して帰ってきたところです。

アライのベクターXはこういう二重のバイザーが取り付け可能なので購入したんですけど。つけて走ってみると、風切り音は結構ありますし、なぜか隙間風がビュービュー顔にかかったりと、なんかちょっと、思ったのと違う感はありました。
まだヘルメットとバイザーが馴染んでないのか、オフロードヘルメットかぶってたときなみに風が入ってきてましたねぇ。
おかげで久々に寒いおもいしました。
風切り音のほうはまぁ、オフロードヘルメットかぶってたときも音は結構ありましたのでそこまで気になりませんが。
そういうのが気になる人は、ショウエイのインナーバイザーのほうがいいかもしれません。
僕はインナーバイザーよりこっちのほうが庇代わりになるので使い勝手がいいですけどね。

あと、ガンキャノンの頭みたいになるのでちょっとかっこいい。

昨日は元旦でしたが、猫はこんな感じでストーブ前で



ジョイはたまに膝を入れた座りかたするのですが、それを撮影してみたところ



なんか変な生き物っぽくなりました。

それと今日の朝見た夢が初夢扱い、という話で、なんとか夢を覚えていたのですが。

種子島をツーリングしている時にワシを捕まえるという、謎の夢を見てました。
1富士2鷹、3なすび、と言いますが、ワシはタカ扱いでもいいのかな?

となると、割といい夢ということになります。
いや、種子島にいってみたいなあ、と最近思うようになってまして。今年行く機会があればレンタルバイクでも借りてフラフラしてみたいもんです。

さて、今日は正月特番。

「レムリアの記憶 第2章」

の冒頭部分を乗せてみます。これ、第一部は「丸尾佳のブログ」

・レムリアの記憶<序章>

http://blog.livedoor.jp/maruokei/archives/cat_490500.html

のこちらに載ってます。
丸尾佳、というのは「願ってイズクモ!」書いた時にてきとうにつけたペンネームなんですけど。
そっちの小説っぽいものとかをこのブログのほうに連載してたりします。

・「ぶらりあの世探索紀行」

http://blog.livedoor.jp/maruokei/archives/cat_390742.html

も割と読んでる人いますが、こちらは僕が「あの世」を探索した時に得た体験と内容を、コミカルにまとめて物語風にしてみたものです。
あの世2のとこで止まってますが、とりあえず「あの世1」の話はなんとかまとめました。

レムリアの記憶、これはレムリアンシードを手に持った時に、うっかり見えた風景からリーディングしていって、僕の過去生目線で見た生活の様子を記録した感じになります。

で、序章ではレムリアの生活感。システムの一部が垣間見えますが、第2部ではその成り立ちの話が、色々とインターステラーちっくに進んで行ってます。
第二部はメルマガ書きながら続きを毎回リーディングしながら書いているので、正直どこまで話が進むかよくわかっていないのですが。
アイルを中心に時空を超えた物語が一応動いております。

その第二章の最初のほうを今回ちょっとご紹介しますので、レムリアの世界観を、生き生きと感じていただければと思います。
ただ、序章読んでないとキャラの設定がよくわからないと思うので、先にそっち読むのをお勧めしますよ。
そんな長くないですので。

あと、地球の貞操観念を持ち込むと、よくわからない人間関係になるので。
その辺もゆったりとした目線でみてくださいね。アトランティスとはまた違ったゆるい関係性が多いです。
くれぐれも、アレットが、主人公が浮気性なわけではありません。

冒頭の8話くらいまでをあげておきますね。
現在は25話まで進んでます。

<レムリアの記憶 第二章 >

目の前にあるのは巨大な船。
広大な宇宙の間を移動するためにあらゆるものが詰め込まれた、一つの街、一つの国のようなものでもある。
その中で生態系が循環し、この星の一部を閉じ込めたような世界がその中には広がっている。

宇宙船といっても、ほとんどはこの「生命維持」に関わるもので占められていて、その他は重力を操作する部分と、船の操縦に関わる部分。
貨物は専用のコンテナで宇宙空間でドッキングするため地上に存在していない。
軌道エレベーターによって貨物は先に送られてしまうか、小型の船によって地球の重力圏から押し出されて衛星軌道に置かれていく。

今日の荷物は先に軌道上に上がっているはずだが。
手元にある端末に触れると、その情報が目の前に現れてくる。
これは個人端末なので網膜に直接映像を写しこんでいる状態なので他の人物から見ることはできない。
仕事上の情報は秘密なものも多いのだ。

昼から運搬する荷物が3組すでに上げられてE3のエリアに置かれているらしい。
今日はこれからそれを受け取り、海王星の軌道上にある中継地点へと運んでいく。

今の俺の仕事は、そのコンテナを運ぶ宇宙船乗りなのだ。

予定の時間を見て、自分の今回使用する機体をチェックする。
人一人乗るにしては巨大だが、荷物の量が多いのだろう。

毎回使う機体は異なるので、毎回出発前にその機体のシミレーションをしてから仕事に入るのだが。今回はまだそれを行っていない。

まず先に現物を見て。それからイメージを掴んでからシミュレーションに入ったほうが調子がいいのだ。
この辺りは乗り手によって様々な儀式のような手順があるが、正直どういうやり方をしても船の人工知能による補正が入るので、よほどなことがない限りは妙なことにならないものだが。

この船を操縦するにはそれなりの訓練と学校通いが必要になる。
集落を出て、大きな街の学校に通うことになったがそれからは学ぶことが多すぎて集落にもろくに顔を出さずに卒業までして。
そのまま仕事を行っているので昔の馴染みともあまり出会うことがなくなってしまった。

端末のほうも個人端末から業務端末に持ち替えたせいで連絡先もきちんと移行させていない。
たまに昔の馴染みとの連絡はあるが、お互い忙しくなっているので昔のような関わりも減ってきている。

集落の仕事、スターシードの製造、管理の仕事を行っているもの達は、相変わらず馴染み同士で仕事をしているようだが。
俺のように外にでてしまうと、特に宇宙船乗りになると、どうしても時間と距離のせいで親しい間柄であっても連絡が滞ってしまうものだ。

端末の個人スペースに来ているメールに少し目を通す。
いつもの、学生時代は恋人として付き合ってた間柄、その子からのメール以外は存在していない。
それも、今度は別の男性と付き合い始めたという内容だった。

そういえば、卒業以来会ってないことに気づき、しばし空港の広い地面の向こうを眺めてしまう。
全く会う機会がないから、仕方ないか。
自分が遠くから何もしてあげられないので、新しい男性というのに、彼女を任せておくとしよう。

今度その男性の顔を見せて欲しい、と書き込んで返信しておく。どうせ帰ってきたメールを見るのは1ヶ月後になるだろうから。

「アレット!何フラフラしているの」

向こうから声をかけられて、端末から顔を上げる。
そこにはオレンジ色の繋ぎをきた、褐色の肌の女性が駆け寄ってきた。

「フィラ、なんだいおお声出して?」

「アレットが遅いから呼びにきたんじゃない」

「いや、機体見に行くっていったよね?」

そういうと、俺の端末の時間が出ているところを指でたたきながら

「30分前には集合って言ってたしょ?」

「まだ27分前だ」

「シミュレーションルームに30分前。ここから10分はかかるでしょう。さ、これからさっさと移動するわよ」

「いつもセカセカしているね」

「あなたがゆったりしすぎなのよ!」

そう言ってフィラは俺の手を掴んで引っ張っていく。
最近のパートナーとして、仕事でもプライベートでも関わっているのがこのフィラという女性だった。

宇宙船は常にバックアップとともに仕事をするため、パートナーとの親密な関わりが必要になる。
その結果、恋に落ちても何も不思議ではない。


「ねえアレット、今日は何を食べたい?」

僕の腕を握ってひっぱっていきながら、フィラが聞いてきた。
そうはいっても、今日はこれから宇宙船乗りなのだが。
家で晩飯を食べると思い込んでいるのだろうか?

「あ、私がアホだと思ってるでしょう。
家のご飯の話じゃないわよ。船での食事の話よ」

「あ、そっちか。でも、俺たちの食事は契約で決められている業者のものしか口にできないはずだが」


「ふふっ、私を誰だと思っているの。
その辺は私の裁量でお望みのものを用意できるわよ。ただし、今日の食事だけだけれど」

「うーん、じゃあ串芋と串餅がいいな」

「・・・それ、別に今日じゃなくてもいいんじゃないの」

「今日はそういう気分なんだよ」

「ふーん、そう。それならなんの問題もなく準備できるけど・・・」

何か、フィラは不満そうだ。
俺から手を離して、ささっと端末に打ち込んでからまた腕を掴んで。今度は思い切り体を密着させ引っ張る。

「ほんっと、アレットは鈍いのよねぇ。こういう時は「フィラの手料理が食べたい」とか言うものでしょ?」

あ、そういうことか。
でも、手料理とか無理だろうに。
そう思ってつい口に出して言ってしまったら、すごい勢いで足を踏みつけられて

「私は、自分の手料理も宇宙食にできるくらいの、原料と工程を管理できる、衛生管理ができるキッチンを使えるの。
だからわざわざ聞いてあげたのに」

「いや、そういうのは先に言ってくれないとわからないだろう」

「なんで私がこういうことを言うのか、察して欲しいものだわ」

と言って、小声で「まぁそれは期待してないけれど・・・」という声まで聞こえた。
「じゃあ、君の手料理が食べたいな」

「残念、もうさっき指示出したから。もう無理よ」

「え、そんな〜」

そう俺がいうとパッと腕を離して

「鈍感男には、たまには罰を与えないと自覚してくれないから」

と言って笑いながら宇宙船のスタッフルームに入っていった。


俺はその向かいにあるシミレーションルームに入る。
扉は端末の情報を読み取ってから動くので、特に自分からアクションを起こす必要はない。
ここで働く人間の端末には、必要な時に必要な扉から入れる権限が与えられていく。
ちなみに、俺がさっきフィラの入ったスタッフルームに入ろうとしたなら警告がなって扉は開かなかっただろう。

迷って変なところに行くことがなく、予定時間には大抵到着可能となっている。
それで、ギリギリまで外にいたのだが。
どうもフィラは手料理の話をしたかったからわざわざ呼びに来てくれたようだった。
いや、そういうイレギュラーな事態は先に教えてくれないと、対応できないが。

と思いつつ、室内にあるシミュレーション機に乗り込む。

これも端末情報から室内にある3台のなかから反応のあるものに乗り込めばいいので間違いもない。
端末情報と、部屋にある機材の情報。それらが自然とリンクしながら俺たちの行動を導いてくれるので余計なことに意識を使わなくてすむため、仕事のミスも少なくなる。
宇宙船乗りとしては少しでも精神的なストレスをなくし、ミスのない運用を行わないといけないので特にこういう部分は優遇されているところがある。

シミュレーションの機械に自分の端末を乗せる。
すると、立体的な映像として様々な計器が浮かび上がる。

実際の宇宙船も、端末を置くまではただの平面なのだが。
端末に反応して計器や情報がブリッジに映し出されるようになっている。
なので、異なる端末を持った人間が間違って乗り込むことはない。
仮に別の人物が乗ったとしても、端末を乗せても反応しないのですぐわかる。

モニターを開いたり閉じたりしながら宇宙船の状態を確かめていく。

この手順は実際に行うのとなんら変わらない。
ミスをすることが無いよう、立体に映し出されたメーターやモニターに次の手順が色違いで示されるためその通りにチェックし、手を動かしていくだけでいいのだ。

こう言うと操縦士が何もしないように見えてしまうかもしれないが。
我々の仕事はこの「手順を間違いなくこなすこと」なので、正確な動きと正確なタイミングが求められる。

すべてのチェックが終わると、メインモニターにフィラが現れた。
すでにミッション用のスーツに着替えて登場してきている。

俺たち宇宙船乗りはいざという時のため。常に宇宙服を着用している。
今のシミュレーションの際も宇宙服を着用しているのだ。ただ、一見そのように特殊な服に見えないようなシンプルな形でもある。
素材に重力と粒子が使ってあるため、薄くとも断熱と放射線防御。それに耐衝撃などでも優れたものだ。
時速2万キロで射出された100g(単位は地球単位に変えてます)のアルミを受けても破れないという話だ。
ただ、もしも人間が着ていたとしたら、多少打撲くらいは覚悟しないといけないらしい。

とはいえ、もしスペースデブリなどに直撃された場合、これ以上のスピードでぶつかってくるものがあるのだから完全に安全というわけではない。
それでありながら、腕を掴まれて密着されたときのフィラの胸の感触がわかるくらいの柔軟さもあり。

宇宙船乗りは、普段から仕事の時はこのスーツを着て活動しているものだった。

そして、フィラたち地上クルーも宇宙船打ち上げの時は同じような素材のものを着ているが、それは事故などが起こったさいに生存確率を上げるためだ。
なので、形が俺たちのものよりフードがついていたり、関節にサポート用のモーターが入っていたりと少しゴツゴツした印象のあるものになっている。
俺たちの宇宙船乗りのスーツに、関節ごとに外骨格を貼り付けている形だろうか。

今はシミュレイーションとはいえ本番と同じ状態で行うため、フィラもそのスーツに着替えているようだった。

「準備はいい?アレット」
「イエス、アイアム」
「では、端末のE12からチェック開始します。オーケイ?」
「イエス、アイアム」

と言う形でシミュレーションが始まる。

宇宙船が起動する。
もちろんシミュレーター内での話だが臨場感はある。
船の外部モニターがすべてを映し出し、そこに異常がないかをチェックしていく。

この作業は俺が行うのではなく、モニターに映ったものを船の人工知能が解析し、
その中で「確認をおこなったほうが良い」というものだけを目の前に見やすく出してくれる。

「右から102までのチェック完了」
「102了解」
「・・・302までのチェック完了」
「302了解」

というやりとりが言葉で交わされる。
サポート側にも同じ情報が行っているので、二人で同じ項目をチェックすることでミスを減らしているのだ。
人工知能、パイロット、サポーター、3人で見抜くことでミスを極限まで減らしていく。

なので、サポーターとパイロットは性格が違うものがあてがわれるもので。結構中が悪い話もよく聞く。お互いが相手のミスを探すので、効率がよくなって仕事上は良いのだが。
俺たちのように、仲良く仕事を進めていくほうは稀らしい。性格は確かに違うとこあるけど、サラッティに似てるとこがあるので付き合いやすいと俺は思っている。

確認事項がすべて終わり、重力圏を脱出するシークエンスにはいる。

重力を使った船のため、巨大な推力で重力を断ち切って空に上がることはしなくてもいい。

重力発生装置を稼動させ、それの数値を下げ重力を減らし。
そして反発する重力を発生させて空中に浮かぶ。

操縦席は人間が3人くらい入れる広さはあるのだが、ここは基本一人乗り。
そして、重力制御が効いているのでまったく揺れもしない。
モニターと数値の羅列を眺めながら、自分が空中に浮かび上がるのを感じていく。

と、ここで急に数値が赤文字で表されてくる。

エラーパターンを探ると、重力発生装置のトラブルらしい。
そこで人工知能にそこの対処を求めるが正常という判断が出てくる。

何度行っても異常が減らないため、手動にてそのトラブルを確認し対応する。
人工知能に変わり直接俺がその状況を確認する。

物理的なトラブルではなく、プログラム上の異常だ。

これは、飛行を取りやめ戻るべきか。
それとも、重力圏を出るまでに異常を解除できたら航路に乗るべきか。

トラブルの質を改めて確認する。
リストを出してもらい、サポーターとも情報を共有する。
結果、

「サポーター側でプログラム変更2から4。パイロットがわで6から8、それで200秒待ちましょう」

「イエスアイアム」
そのやりとりをしつつ、6から8のプログラムをチェックしていく。
その中に、一つ人工知能が見逃していたものを発見した。人工知能と同じリズム(人工知能的にはミスと感じないレベルのもの)なので見逃しが起こったらしい。

ただ、これは重力制御の部分で、操縦に関わるところなので見逃すわけにはいかない。

200秒以内にすべて完了させ、サポーターに連絡を入れる。
向こうでも確認できたようで、問題なく重力圏を離脱するよう進言してくる。

そして、無事に惑星の重力圏を抜け、目的地までの飛行となる。
あとは重力による結界維持と航行プログラム任せなので異常が出ない限りはやることがなくなる。

重力により外部結界ができるめ実際の移動時間と船内時間が同じになるように調整される。
光を超える速度を進むと時間の進みが遅くなってしまっては、遠距離に行くたびに周りと認識が変化して大変なことになってしまう。

先ほどでたミスはこの部分に影響を与えるもので、プログラム、人工知能にとっては些細な問題だが、乗っている人間にとってはかなり重要なものになる。

シミレーションを終え、外にでるとフィラが待っていた。

「お疲れ様。問題ないいい仕事だったわよ」

「本番も、同じように進めていくつもりだから、よろしくお願いするよ」

「わかったわ。じゃあ、あとは本番時間まで会えないけど寂しがらないでね」

と言って、軽くキスして向こうに走っていった。

サポーターはこれから航路調整、航行プログラムの見直し。
順番通りに宇宙港を使う申請などなど、地上業務が溜まっているのだ。
それを半日かけて処理し、俺が船で出発するという流れになっている。

俺も、しばらく時間があるので休息を取ることにした。
1時間睡眠で疲れを取る短期睡眠装置を使えばアルコールもカフェインも外せるから、まずは食事に行くことにする。

今回はいつも使うエリアではないところからの出発なので、端末で施設を確認しながら行動する。
いつも自動的に決められた行動をするのに慣れてしまうと、自分で選択して行動するのがおっくうになってしまうが。

動く通路に乗って移動するため、ほとんど端末を見ながら皆移動しているが。
端末同士がぶつからないように警告も出してくれるので、移動中端末ばかり見ている人のほうが多いくらいだ。
ふと顔を上げると目的地の食事場が見えてきた。
割と大きそうなところなのと、大きな窓から宇宙港が見渡せるのでここに決めたのだった。
自分が乗る船を見ながら食事をするのは、いつも心地よいものがある。
さて、何を食べるか。
端末に指を走らせた時に、反対側に動く通路のところに、目の端に銀色の髪の毛が揺らぐのが見えた。
思わず顔を上げて横を見る

褐色の肌に、薄い青みがかった銀色の髪。

そして、アイスブルーの目。

目があった。途端に相手も驚く顔をし、すぐに笑顔になって。

「セティ!」
「アレット!」

同時に声を上げたが、通路はお互い逆方向に流れていたのでそのまますれ違って距離が離れていく。

いい大人が逆走するのもなんなので、終点までいって引き返すか。
と考えていると、後ろで動く通路の手すりを乗り越えるセティファムの姿が。

「アレット!」

そう言って、セティファムが手すりを乗り越えたそのままの勢いで、走って飛び込んできた。
周りの人たちの目がすっごい気になったが、そのまま抱きとめる。


「セティファム、こんなところで会うとは」
「アレット、久しぶり」

腕の中から見上げるように彼女が言う。
あのときよりだいぶ背が伸びたから、僕のほうがだいぶ見下ろす形になったけど。
あの時と同じ、香りがした。


セティファムとの思わぬ再会に驚いていると
「アレット、だいぶ背が伸びたのね」

とセティファムがそんなことを言って、僕の背後を見てからさっと体を離した。
さすがに人前で抱きつくとか、恥ずかしかったのかな?と思ったがどうやら動く通路が終わるから、降り口で転ばないようにするためだったようだ。
そのまま抱き合ったまま降り口に差しかかったら僕がひっくり返っていただろうから。

というか、少し合わない間にだいぶ大胆になってる気がしなくもない。
手すり乗り越えて逆走するとか、以前のセティファムだったらするかなぁ。

意外な側面を思いつつ、そのまま近くのベンチを端末で呼び出す。
こういう大きな空間には、必要な時に椅子やベンチを呼び出すことができる。
格納場所から自動的に移動してくるものもあれば、その場に床や壁が変形して出てくるところもある。
ここは建物を支えている大きな柱に集まっている椅子が呼び出しに応じて移動する形式のようだ。
大きな窓があり、そこから宇宙港が眺められるので、そこに椅子を並べ座る。

セティファムともそんなに密に連絡を取っていたわけではないので、詳しい状況は分からないのだが。
母親の仕事を引き継いだことと、今は宇宙港で働いていることだけは聞いていた。
そして、新しいパートナーが出来て今そちらと順調だということも。
お互い、新しいパートナーができるとその相手を知ることに意識を向けてしまうので、今までに関係の強かったパートナーとはやや疎遠になってしまう。

だからと言って、お互い心が離れてしまったわけではなく、それぞれの場所で、パートナーとなった相手のことを大切に想いながら過ごしているのだ。

だから、サラッティとも今でも関係はあるし、時折実家に帰る時に再会したりしている。

「ここで会えるなんて、運命感じるわね」

そう言ってセティファムはにっこりと微笑んだ。
やはり、直接会って言葉を交わすとお互いの気持ちがより鮮明になっていく。
「しかし、ちょっと見ない間にかなり強引になったんじゃない?」

「あれは、ほら、嬉しかったから・・・おもわず」

「でも嬉しかったよ、ありがとう」

俺の言葉に、セティファムがまたとろけるような笑顔を返してきた。
このまま一緒に家連れて帰ろうかと思ってしまうくらいだが、いやまだ仕事がこれからあるのだ。

仕事仕事仕事これから仕事。

盛り上がった心を平常心に抑えていく呪文を唱えていく。
深呼吸して。
よし、無難な話題をふろう。

「今は仕事? お母さんの仕事引き継いだと言う話は聞いてたけど。仕事場はここなのかい?」

「いいえ、私は本当は以前端末に送ったとこで働いているの。今回は仕事で移動があったからこっちに来ただけ」

「じゃあ西の宇宙港で今も働いているんだ」

「でもね、しばらくはこっちに居るから。また何度も会うことができるわよ」

そう言って、僕とセティファムの端末を近づけた。
これで、今後はお互いの位置を把握して行動することができる。

端末には今後3ヶ月この宇宙港で働く情報も出ている。

「なるほど、これから3ヶ月か。だけど、俺今日から出航なんだ。
1ヶ月くらい戻ってこれなくなるんだけど、かなり残念だな」

「え、会った早々また会えなくなるの」

「仕方ないよ。仕事しないと社会に貢献できないから」

「じゃあこれから時間ある?」

「食事するくらいなら」

と言って端末に示された時間を見せる。

「あと3時間(地球時間に合わせてます)くらいなんだ。短時間睡眠ベッドにも入るとなると、ほんと2時間くらいしかないのね。かなり残念」

さっきまでのテンションが一気に下がる音がしそうなくらい、がっくりしているのが見える。
ほんと、僕も残念だ。

「わかった、食事をして、帰ってきてからの予定も組んでいきましょ」

「でも、パートナーがいるだろう?」

「そっちは東においてきたから大丈夫」

「いや、俺のほうが宇宙船の地上パートナーも兼ねてて、一緒にほぼいるんだけど」
「なんだ〜じゃあその人もあとで紹介してもらってから、三人で予定を話し会うといいんじゃない?」

「なんだか、以前と違って積極的に見えるなぁ」

「だって、あの時は私が消極的に出てたからサラッティにあなた先に取られてしまったんだから。
あれから私も学んで経験も積んできたの。
アレットは雰囲気全く変わらないのね」

「俺は、特に変わらないというか。いつもながらの生き方してるから」

「今回のパートナーの人も、押しが強い人なのかしら?」
「む、いや・・・うん、そんな感じかな」

「アレットはいつもそう。だから、私も押しを強くしないといけないかなって」

そう言ってセティファムは俺の手を取って

「じゃあ行きましょう。時間がもったいないわ。私はここの空港分からないからアレット案内してね」

かなり、以前より積極的になったセティファムに引っ張られるように立ち上がり。
さっき自分で見つけていた食事場所に一緒に行くことにする。


端末で予約も入れているので移動した先には、席も色時も用意されている。
窓際から船の並んでいる様子を見ながらの食事。

この宇宙港で働いてない人も、観光がてらここで食事を楽しむ場合もあるので、割といつも混雑しているようだ。

「アレットが乗るのはどれ?」

外に並ぶ、巨大な台形の宇宙船を見ながらセティファムが聞いてくる。
宇宙船の外観は、つや消し黒色の台形型が多い。
大きさは1kmくらいあるが、これはコンテナを引っ張る「ヘッド」の部分なので、宇宙でコンテナとつながったら4km5kmくらいは普通だ。

ほぼ重力関係の機材が下半分。上半分は居住区。
往復1ヶ月くらいを人間2人が快適に暮らせる環境。最低3人が暮らしていける環境設定なので一人で乗っていく分にはそんなに問題もない。
運動する場所、娯楽施設。食事、様々な快適な生活のためのものが揃っていて、宇宙船乗りは操縦席にいる時間のほうが短いくらいだ。

重要なのは星の重力を抜ける時と、コンテナの荷揚げ、荷下ろしと、着陸の時くらいしかまともに働いてない気がする。

空き時間は様々な学習が中心になるが、それらは全て「いざという時の」ための学習になっている。
シミュレーターであったような「いざというとき」の対処法を知ることが自分たちの仕事の主なところなのだ。
人工知能でも対処できない部分が多々あるので、俺たちのような仕事もある。

端末に情報を入れ込んで、立体に投射した映像を重ねて見せる。
外観が同じ宇宙船なので、こうやって見せたほうが早いのだ。

窓から見える宇宙船と、俺の投射した映像を見ながら奥にある船を指差し

「あれがこれから乗る船なのね」

とセティファムが言う。

「しばらく、俺の家になる船だよ」

「あの船に、私も乗れないものかしら」

「それは無理だろう。仕事が違うから」

「そうよね〜、アレットと二人きりで宇宙の旅とか、ちょっと憧れるわ」

「そういうのはいずれ旅行とかでいいんじゃないの?」

「あの船は完全に二人きりになれるじゃない。旅行だと、他の人が必ずいるじゃない」

理屈が子供っぽい気もするが、その気持ちはわからないでもないな。

その後食事をする間は、ずっと今までの二人のことを話していた。
あっていない間に起こった出来事。
新しいパートナーとの関係。
そして、仕事の話。

大人になった俺たちには、仕事というのは水や空気と同じくらい重要なものとなっている。
それを行わないものは、社会生活をまともに送っていない存在と扱われるため、社会システムを共用することができなくなるのだ。

仕事をしない存在、グループもいるが、それらは社会を構成する仕事をしていないだけで、それぞれが個人で個別に社会に関わる仕事を行っている。

本当に仕事をせず、この社会組織にまったくそぐわない生き方をしている人たちもいるという話だが。
普通に生活しているとそのような人と接点がないので、どのような人たちでどういう生き方をしているのかもわからない。

社会に属している以上、仕事をするのが当たり前である。

作物を生産する場にいるなら、作業機械の整備、作業機械の組み立て、取り扱い。制御。人の食べる飲食物の製造販売。住居の提供、清掃、様々な仕事が出てくるが、それぞれに適したものを学校で知るので、大抵は一生同じ仕事を楽しく続けていく。
仕事もそれぞれにペースがあるので、1日数時間しか労働しない人もいれば、20時間くらい働く人もいる。
俺の職場は宇宙船乗りなので、船に乗っている間は全て仕事。宇宙港で行動している間もすべて仕事の時間になる。

1ヶ月船にのったら、3ヶ月地上で休み、のようなサイクルで働いている。
地上で制御している人たちも同じようの交代しながら仕事を行っているので、一人が丸一日仕事をしていることはない。
パートナーとなった人物、今回はサポーターとしてフィラが入ってくれているが、一ヶ月同じように仕事を行うので、地上の方は交代制で3人の人物が常時つながっているようになる。

セティファムの仕事はこの地上サポーターのような仕事ではなく、物流のほうだった。
宇宙から物資を運ぶ、物資を宇宙に運ぶ。
そのコンテナに積まれるもの、量、経路、などの全体的なコーディネートを行うことが中心で、今回こちらの宇宙港に来ているのは、宇宙港同士の物資運搬協定のためだった。

それぞれの宇宙港はそれぞれの能力に従って、物資の運搬を行っているが、他の宇宙港と同じ動きをしても無駄である。
そこで、全ての宇宙港をネットワークでつなぎ、無駄のない動きに仕上げている仕事をしている人たちがいるのだが、それらはこのセティファムの仕事をしている人たちの中から生まれていく。
セティファムのお母さんはこの仕事をしていたために様々な宇宙港に移動していくことになったのだが。

セティファムも順調にお母さんと同じ仕事を行うように成長しているのか、と思うと、僕のほうも頑張らねばと思うとこだ。

僕は父親とも母親とも姉とも違う道を選んだのだけど、誰もそれに対して反対はなかった。
そもそも姉がすでに地元にいるので、僕が出て行っても問題なかったというのもあるけれど。

僕は宇宙船のパイロットなので、必要に応じて宇宙港を移動させられることもある。そんな移動のあるなかで、今回の出会いはなかなかに良い偶然だった。

話したいことはたくさんあったが、あっと言う間に時間がすぎていった。

フィラから端末に連絡が入った。
そろそろ短期睡眠には行ったほうがいいという案内だったが、そこでセティファムと会っていることを報告すると、ある座標を指定されて二人で移動するように指示される。

その座標はあまり知らない場所なのだが。
道に端末を翳すと、表示が一気に変化してどの移動通路にのっていくべきか教えてくれるので初めていくところでも迷うことはない。

「フィラって、どんな人なの?」

セティファムは移動の間、ずっと腕を組んでいる。
今まで一緒にいられなかったから、その分くっついているのだということだけど。

「そうだなぁ。仕事もできて有能で。あとはちょっと君に似てるかもしれない」

「どこが?」

「すこし、クールなところがあるんだよ」

「あら、私はクールなの?」

「サラッティよりそうだろう」

「アレットは女の幅が少ないから。もっと多く付き合ったほうがいいんじゃないの?」

「父親みたいに一気に8人とか、そういうのは無理だねぇ。この仕事だし」

「私は、その辺ちょっと安心してるけれどね」

そう言って、またニッコリと微笑んだ

指示された目的の場所は、何か薄暗く硬い部屋のような感じに見える。
端末を翳すと、パッと立体映像が広がり柔かい光の溢れる草原のスペースに変化した。
どうやら立体映像プログラムを体験できる空間のようだ。
草原かとおもったら、俺の住んでいた集落近辺の風景だった。
泡のようなまるい建物が光を跳ね返し、一面青々とした草地のようなものが広がっている。
ここはスペースシードを回収するための畑であり土地なのだ。

懐かしい風景を二人で見ていると、そこにフィラが入ってきた

「どう?懐かしい風景じゃないかしら」

「こういうビジョンもあるんだね」
「お二人に思い出の場所かな、と思って用意させてもらいました」

「ありがとう・・・フィスラトス?」

「フィラでいいわ。アレットを共有してる間柄なんだから」

セティファムの言葉にフィラが笑いながらそう答える。

「じゃあ、私もセティでいいです」

二人は近寄って、握手を行うと同時に端末をくっつけて情報を交換していた。
初対面同士、俺たちの社会では端末をくっつけて情報交換するのが先で、肉体的な接触はそのあとという場合が多い。
一見ヒューマドイドで同じレムリアの人かとおもっていたら、宇宙からの来訪者の場合もあるのと。お互いが知らない病を抱えている可能性もあるのでまずはお互いを知るために情報交換が先にある。

そして、触れてもいい相手の場合は次に握手となっていくのだが、今回は共通の俺という存在を介しているので触れても安全ということで先に握手が入った。
これは、かなり親しい間柄での挨拶形式になる。

「ところで、なぜここに俺たちを案内したんだ?」

「セティも時間あるみたいだし。あなたは短期休息だし。私は特に短期休息しなくてもいいし。だから、ここであなたが短期休息するのに二人で付き合ってあげようっていうことなのだけれど」

「なんで」

「セティもせっかく会えたのに、これから一ヶ月会えないのは寂しいでしょう?」

よこでセティファムがうなづいている。

「だから、あなたを私たちで共有しておけは問題ないかなって」

「フィラは仕事大丈夫なのか?」

「私はもう打ち上げまでやることないし。パイロットの状態を観察しておけるならそのほうがいいし」

「やれやれ、で、こんなとこで短期休息はできるのか?カプセルがないが」

「あら、この部屋の仕組みをしらないの?複数で短期休息できる部屋なのよ」

「そういうの初めて知ったが」

「これ、実はね使用権限があるの」
そう言ってフィラが俺に見せてきたのは、俺には使用権限がなくフィラにも使用権限がない印であって

「これ、俺たち使えないじゃないか」

「でもほら、セティはね」

見せられた端末には俺たちより上位の施設使用権限が与えられているのが見えた

「なんでそんな上位のものが使えるのだ?」

「一般職と管理職の違いよ。一般職は個人の職務を全うすることが第一だけど。管理職は複数の人たちと仕事をするから、まとめて短期休息も必要になるものなのよ」
「でも、俺がセティファムにあっている時にこの部屋確保できたのはなぜ?」

「確保はまだできてなかったわ。ここが動き始めたのは、セティの端末を認識したからよ。あなたの端末じゃなかったの」

「なんだ。そういうのは早めに言ってくれればいいのに」

「職歴やあなたの端末、位置情報見てたら検討つくわよ。
だから、ここでこれから短期休息を3人で行うの」

「それは、一体どういう感じになるのだ?」

カプセルに入って休息するのはわかるが、複数がこの空間で休息というのはどういう感じになるのだ?
なぜかさっきからセティファムが言葉少なになって、顔を紅様させているのが気になるのだが。

潤んだ目で俺を見たセティファムは、急に抱きついてきた。
そして、キスをして一言

「こんな感じ」

横では楽しそうに俺たちの様子を見ながら自分の服を脱ぎ始めるフィラの姿が。
ということで、俺たちはここで特別な短期休息をとることになったのだが。
休息になるのかどうか、この後が心配になる。

・・・・・・

短期休息室は時間が遅く感じられる作りのため10時間くらい過ごした気分になっていても、外に出ると1時間ほどしか経っていない。
一応、休息は取れたことは取れたのだが。

端末でこれからの予定を再確認し、セティファムと別れフィラと宇宙船に向かう。
フィラがずーっとニヤニヤしているのだが。

「何?」

「いいや、アレットの昔の話が。今も変わらないなぁ、と思って」

「人は変わらないもんだよ」

「そういうとこが、セティに今でも気に入られているとこなのね」

そう言いながら端末をぶつけてきた。
俺の画面にフィラの情報が転写され、そこに表示されたのはセティからのメール

「フィラのこともしっかりわかって安心したわ。
これから一ヶ月、アレットをよろしくね」

と書いてある。
どうやら俺の行動をセティファムにずーっと報告するようだ。

「それ、機密にならないのか?」

「家族向けのデータ配送は常に行っているから。アレットの家族に送っているものもあるのよ」

「で、セティファムにも同じのを送るのか」

「セティには、私のアレンジを加えて送るつもり」

「どういうアレンジだか」

そのような会話をしつつ、そのままフィラと別れ俺は宇宙船のほうへと移動する。

巨大な船。
移動は動く歩道で行うが、宇宙港の真ん中を走る道に入るとテンションが上がる。
左右に立ちならぶ宇宙船。
それらを見上げながら進むこの通路は、あえて俺たち操縦士のやる気を引き出すために作られたのではないか?と思えるくらいワクワクする道だ。
この通路は操縦士しか通れないので、ほとんど人と出会ったことがない。
風景を独り占めできる、静かな一人の時間でもある。

俺の船にいく通路に切り替えが行われ、自動的にそのまま誘導される。
端末に行き先をいれておくと、通路が自動的に切り替わっていくので乗る船を間違うようなことはまずない。

そのまま自動的に船に乗り込む。

船の調整をしていた人たち、整備の人たちはすでに退避済みだ。

船は2kmくらいの高さがあり、底辺から三角錐のような形でそびえ立っているため、宇宙港には複数の建造物が並んで建っているように見える。先の通路からの風景もビルの谷間を動いているような印象があったが。

打ち上げられる船は専用の発射台へと移動される。

乗り込みから発射まで30分ほど時間があるのでまずは準備を開始。
端末をモニター席のテーブルに置き、室内に立体映像を展開する。
これは先のシミュレーターで行っていたのとなんら変わらない。

前後左右、上下全てに立体映像が現れ、自分が宇宙船そのものになったかのような、そんな視点を得ることができる。
全ての状態を見ることができ、船の内側全てを見通すこともできる。

「どう?何か変化ある?」

「特にないな。じゃあ準備に取り掛かる」

「了解」

シミュレーションで行った手順をフィラをこなしていく。
トラブルは発見されることなく無事に終了。

そして、打ち上げシークエンスへと入っていく。

ゆっくりと発射台へと運ばれていくのを感じながら、船の航行用人工知能を呼び出した。

「何でしょう?アレット様」

目の前に一人の少女が姿を表す。全身を黒いぴったりとした服装で身を包んだ、黒髪が腰あたりまである長髪の、可愛らしいというより美人な感じの10代である。

「航行プログラムの中にミスがないか全てチェックしておいてくれ。
それと、宇宙へ出てから最初に行うコンテナとのドッキングシークエンスのシミュレーションプログラムを用意」

「わかりました。ではのちほど」

そう言ってどこからか現れた扉を開けて、その中に入って消えていく。

宇宙船の航行プログラムは人工知能であり、そこには全てキャラクターが設定されている。
孤独な宇宙船では会話する相手も必要になるのだ。
その人工知能のキャラクターはそれぞれの船で異なり、最近この港で良く使っているこの船には、先ほどの人キャラクターが存在している。
立体映像だが重力制御で質感もあり、物に触ることも物を持つことも可能だ。
こちらから触ると、それなりのリアクションを行うので一般的な女性と同じ感覚で関わらないといけない。
男性のキャラクターも居るらしいが、男性は理屈っぽいのであまり話し相手として好まれないため、稀にしか遭遇したことはない。

気楽な会話は女子のほうが弾むという研究もあるとかないとか。

これから先の予定をざっくり眺めていく。
まずは打ち上げ。
コンテナのある空域まで移動。
その途中でシミュレーションを行う。

コンテナをドッキング、そのまま重力スイングを使い別の惑星へ移動。
そこで荷下ろしを行い、戻ってくる。

全て順調で20日くらいの行程になる。
まずコンテナのある空域までで3日かかるのだ。

行きに15日、帰りに5日。
行きは貨物を持っているので慎重に進むが、帰りはからコンテナを運ぶだけなので一気に移動する。
あとは、スペースシード密度の流れそれぞれあるため、素直に行けるタイミングだとスムーズだが。逆流していると回り道して時間がかかる場合がある。

行きは逆走して、帰りはスペースシードの流れに乗ってくるため、移動が早いのだ。
全ての項目をチェックし終わったときに発射台に到着する。
ここから再び発射までの過程をフィラと行う。

発射台はそこで重力を発生させ、カタパルトのようにこの船を射出するので一気に目的地に投げられていく感じだ。
船の重力推進は、宇宙に出てから多く使うので発射の時はなるべく温存しておく。

船内も重力制御が効いているので、特に振動もなにもなく、ふんわりと地上を離れそのまま目的地へを進路をとった。

「何事もなく順調」

「了解。良い旅を」

フィラはそう言って、にっこり笑って通信を切った。
このあと、フィラはコンテナとの接続のために地上のほうで準備を行っていくはずで、また出会うのはその時だ。
それまで通信は別の人物が交代で現れてくることになる。

全ての立体映像モニターに異常がでてないので、映像を外部周辺のものに切り替える。

急に、自分一人が宇宙に放り出されたかのような感覚になる。

この、世界に一人きりの感覚。

これはこの仕事でしか感じられないものだ。
宇宙船乗りは、この感じを味わいたくて何度も船に乗るような気がする。

操縦席の重力制御もカットして無重力状態になるとさらにその感覚は強くなる。

そのまま遠ざかっていく地球を眺めながら、

「腹が減るまで、このまま浮いておこう」

と思い手足を伸ばした。
重要な仕事はあと3日後だ。

・・・・・・

宇宙空間では基本やることは無い。
船のシステムはAIがやってくれるので、その異常報告をたまに聞くくらい。

たいてい、この時間は趣味の時間として勤務中だが別のことをしているものたちは多い。
船の中が模型や刺繍でたくさん、という人物も割といるのだ。
俺は特に狭いところでおこなう趣味は持ち合わせて無いので、船のライブラリーを眺めたり。
操縦席で宇宙空間に浸ってみたり。
ただ静かな時間をひたすら感じてみたり。
星の動きをみたり近くを走っている彗星や小惑星の記録を読んだり。
そういう移動中に見られるものを楽しむところがあった。

そこで、ドッキング地点まではぼんやり食事やトイレ以外は浮かんで過ごすことが多い。寝るときもそのまま寝ていることがある。


「お邪魔します」

突如空間に扉が現れ、黒髪の少女が現れた。
この子は船のAI。コミュニケーション用に現れる質量を持った立体映像というところだろうか。

「なんだい、アイル?」

「お食事が用意できました。重力圏に戻したいのですけどいいですか?」

「わかった、椅子に座るからちょっと待って」

そう言って俺は近くにある椅子を呼び出し、近くに来てからそれにしがみつきながら移動する。

椅子は全て収納式なので呼び出さないと現れてこないのだ。

椅子に座ると同時に重力が戻る。
急に体が重くなった感じがあるが、これが普通なのだ。

「あまり宇宙遊泳ばかりしていると、筋肉と骨が弱くなりますよ」

「そういうのはサプリでまかなえるから問題ないさ」

「そんなアレッシュさんのためのメニューをお持ちしました」

そう言ってアイルはトレイに乗った暖かい食事を、手を振って呼び出したテーブルに置いた。

そこにあるのは、宇宙船乗りの定番メニュー

「毎度変わらないよね」

「これは無難に任務を遂行できるための、最低限の食事です。今回もその程度の仕事という事ですから、無難に過ごせるように頑張ってください」

「まぁ、いつもと変わらないって事ね。じゃあ食事後はいつもの感じで」

「わかりました」

そう言って、アイルはテーブルの隣に腰掛ける。
アイル、という名前をつけているが本来人工知能には名前は無い。
だが、どう見ても人間と同じ関係を作ってしまうので名前がないとしっくりこないのもあり、製造番号をひねってアイルと名前をつけた。
本人もいやそうではないので、問題はないのだろう。

「おいしいですか?」

「おいしいといえばおいしいが、単調といえば単調かな」

「私には味覚がないので、美味しいという感覚が視覚情報と匂い情報から得られるものからしか推測できないのですが」

「それでも、ちゃんと料理として成り立っているから十分だよ」

そう、アイルは料理を作る。
本来、こういう宇宙船乗りの食事は本人が用意するのが定番だ。なぜなら、それくらい自分の食事に気を使わないと、何かあったら宇宙空間では終わりだからだ。

だが、俺はアイルに任せている。
これは人工知能の実験でもあるのだが、どこまで人間的なものを獲得できるか。という実験をついでにやってくれと、宇宙船の人工知能管理チームから押し付けられているのもある。
だから名前もつけているのだが。

味覚、という感覚がない人工知能が、人間の味覚に合わせて料理ができるのか?というテーマを以前取り組んだことがあり。そこではレシピと原料の性質、視覚情報と匂い情報だけで、味覚が無くとも驚くほどの結果を示す事ができたのだった。

それ以来、料理はアイルに任せているのだが、このデータはまた回収されて人工知能管理チームのデータとなっていく。
宇宙船乗りは特殊な環境であるがゆえ、こういう副業で別の実験をおこなう者たちもいるのだ。

室内に研究室並みの設備を整え、無重力空間で作られる特殊な合金の開発をおこなうもの居たりする。そういうのは専門職の知識が必要だが。
こういう人工知能の相手くらいだったら俺でも問題無くできる。ただ、テストがありそれに合格したものだけが、今回のような人工知能のテストに参加できるらしいのだが。
俺はなぜかあっちから声をかけられたので、流れでやってるようなものだ。

横でニコニコしながら俺が食べるのを見ている姿は、普通の少女となんら変わらない。
立体映像なのだが、感情豊かな表情をする。

このように少女の形をしたものと、動物の形をしたものもいて、人工知能といっても船によってまた様々なスタイルをもっている。

俺が少女型にしたのは、まぁ長旅で女の子とのふれあいがないと寂しいから。
という単純な理由だ。

食事をしながらささやかな会話をおこなう。
何気無く投げた星座の話について、すぐにそれに関した情報をわかりやすく教えてくれたり。

そんなやりとりを繰り返し、お互いを理解していくのは人間と関わっているのとあまり変わらないと思う。

人工知能管理チームは、ただのデーターですよ、と言うのだが。
どうしても、俺にとっては一つの人格を持った存在としてみてしまうのだった。

「どうしました?」

アイルが声をかけてきた。アイルの説明を聞いていたのだが、ちょっとぼんやりしたからだろう。
食事の後、また操縦席を全天宇宙に切り替えて浮かんでいるのだが、俺の膝の上にはアイルが乗っている。

「いや、少し眠くなってきたなぁ、と思ってね」

アイルを抱っこして宇宙空間に浮かんでいる状態になるのだが、この感触が人間と変わらないというのが面白い。
アイルの髪の毛をすっと手でとかすと、髪の毛も一本一本感触があるのだ。

「そうですか、では眠るまで歌でも歌いましょうか?」

こうやってアイルに触れながら、うつらうつらする時間というのが実はとても心地い。

「じゃあ、現場に着くまで眠らせてもらおうか」

「わかりました」

そういって、アイルは歌を歌い始めた。
それは単純なメロディだが、どこと無く懐かしい、暖かな感じのする歌だった。



<続く>


ということで、とりあえずいいところで(笑)「レムリアの記憶第2章」の冒頭部分になります。
序章が学園ものでしたが、第二章はSFになってますね。
現在続きはメルマガのほうで連載してますので、興味ある方はその辺で。
ただ、休憩の内容は詳細に書いてないのですが、そこが知りたい方は直接会った時にでも僕に聞いてください(笑)







【現在募集中のワークショプ】

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・2019年2月24日 「神戸 水素吸引と神氣と運気向上ヒーリング」
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※今後の受付はキャンセル待ちになる可能性があります。




【ヘミシンク質問箱&ルリカさんに聞く!そして、「真名圭史に問う」、「宇宙人に聞く?」、「狐に聞く」コーナーへの質問募集中】

ブログでお答えさせていただく、質問コーナーになります。
ヘミシンク関連の話を聞きたい場合はコメントのタイトルに「ヘミシンク質問箱」とご記入の上、コメント欄のほうへご質問入れてください。
ちょっぴりSなお答えやら、向こうの世界の存在的視点で聞いてみたいことは「ルリカさんに聞く」。「真名圭史に質問してみたいが」という個人的に意見を聞いてみたい場合は「真名圭史に問う」、宇宙人からの視点で物事を伺いたい時は「宇宙人に聞く」とコメント欄のタイトルにご記入の上ご質問のほうよろしくお願いします。狐のばあいは、動物のあの世の話から、日常トークまでなんでも。
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3 コメント

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赤阿蘇 (りんパパ)
2019-01-02 20:38:54
 まるの日さん、こんにちは。

 赤阿蘇は、なかなかいいですね。
 家ネコちゃんも、ストーブの前で、のんびりですね。
 レムリアの記憶、これからゆっくり読みますね。
 
返信する
ゴールデンカムイ (Unknown)
2019-01-02 22:37:44
まるの日さん
あけましておめでとうございます
2019年もよろしくお願い致します

わたしも昨年漫画の方のゴールデンカムイにハマりました
過去生にアイヌの男性があるので。
キャラは谷垣ニシパがお気に入りです(笑)
返信する
今年もよろしくお願いします (kc)
2019-01-03 15:40:40
まるの日さん、今年もよろしくお願いします レムリアのSF系の話、ドキドキして面白いです(^^)マトリックスかな?何かの映画で 何もない空間にキーボードが現れて管制塔で作業するシーンがあるんですが、まさしく、それを思い出しました!
また映画見直してみよう(^^)
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