旅の途中で

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吉原治良展

2005年11月26日 23時56分57秒 | アート
今日は大阪南港のATCミュージアムで開催中の、「吉原治良展」に行ってきた。
私、ATCミュージアムへは初めて行ったんだけど・・・
わかりにくいよ!ここ!「アジア太平洋トレードセンター」という総合ビルの地下2階にあるんだけど、もうもうわかりにく~~!20分くらい迷ってたんじゃないかな?(^^;もうちょっと行きやすくしてほしい・・・

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気を取り直して展覧会について。
吉原治良は、1900年代に活躍した前衛芸術家だ。名前を聞いたことがなくても、大きな○の絵を見たら「ああ!この人」って言うかもしれない。
1900年代の初めに、すごく現代的な抽象画を描いていた人だ。

展覧会では、初期の作品から年代を追って展示しているんだけど、初期の頃は具象画だった。特に魚をたくさん描いていて、お皿に乗った魚から水族館の中を泳ぎまわる活動的な魚まで、いろいろ作品が残っている。

この人の作品は不思議な色使いだ。かなり色数は限定されていて、茶系と青系にほぼ限られている。その少ない色で描かれた魚などの静物画は、見る人をおごそかな気持ちにさせる、やさしく静かな印象を与えてくれる。

同じような色彩で人物や海辺などの風景も描いているんだけど、そのどこか幻想的な作風は、ピカソやキリコを思い出させた。

やがて、風景は少しずつ単純化され色にまとめられて、抽象画の世界に入っていく。
私が一番印象的だと思った作品は、どこか岩場?のような風景を描いているんだけど、精密な描写は消えて単純な四角が画面の大半をしめている。
具象から抽象に移行するその間の作品だと思う。

途中、戦争が始まって前衛芸術が非難され、一時具象画に戻ったりもしたけど、その後亡くなるまでの間に、彼の作品はどんどん記号化されて最後には○に到達する・・・

抽象画家の作品の遍歴を、こうやって初めから見ていくとおもしろいね。
ひとつだけ言えるのは、抽象画家は初めから抽象画を描いていた訳じゃないってこと。
良い具象画を描けて初めて、良い抽象画も描けるってことじゃないかな。