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旅の途中で

絵のこと音楽のこと本のことetc・・・趣味全開でスケッチスケッチ!

麻田浩展

2007年08月21日 23時46分51秒 | アート
この前、京都でフィラデルフィア美術館展を見た時に、宣伝のチラシを見て気になって、ついでにふらっと見てきた展覧会です。
これが、ついでに見た割にはとっても良い作品ばかりで、すっかり好きになってしまいました。

「没後10年」ということで、残念ながら10年前に自ら命を絶ってしまった画家です。
自らの命を絶つほど精神的に病んでしまったようなのですが、それも思わずうなづいてしまうほどに、その作品は緊張感に溢れた一部の隙も無い絵でした。

麻田さんの作品を文章で説明するのはとても難しいです・・・
ジャンルとしては「抽象画」になるのかなぁと思うのですが、モチーフは超リアルなんです。
ほんと、「写真?!」と思うほど精密に描かれた家やテーブル、食器、鳥、その他雑多なガラクタなどが、お互いに重なり合い溶け合って、この世の物とは思えない不思議な世界を作り出しています。

リアルな描写で深い精神世界を描いているのです。
しかもキャンバスがとても大きい!壁一面を覆うくらいの作品を見ていると、私自身がすっぽりと絵の中に入ってしまうようです。

それにしても、10年前といえば思いっきり大阪・京都に住んでいたのに。
こんなすごい画家の存在を知らなかったなんて、もったいない事をしたなぁ・・・



フィラデルフィア美術館展

2007年08月10日 22時13分49秒 | アート
名古屋から関西に戻ってきて、とりあえず京都市美術館で「フィラデルフィア美術館展」を見てきました。
実は、その後近代美術館で「麻田浩展」も見てきまして、これもかなり良かったので、また後日感想を・・・

で、フィラデルフィア美術館展ですよ。
これ、かなりおもしろかったです・・・想像以上というか、印象派から20世紀美術が好きな方でしたら、満足できる内容だったと思います。

5章からなる構成になっていて、
2章の「印象派」では、ドガ、ピサロ、モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ・・・
特にモネは良い作品が来ていました。ポプラ並木が陽の光りを受けて黄金色に輝く、一瞬の時間を描いた「ポプラ並木」という作品が素晴らしく綺麗でした。

あとはセザンヌの「ジヴェルニーの冬景色」が、凛とした空気感が伝わってきて、ハッとさせられる作品でした。

おもしろいのは、3章の「キュビズムとエコール・ド・パリ」。
ピカソやブラックが取り組んだキュビズムの絵画は、本当に理屈抜きでおもしろい。
大画面に描かれたピカソの「3人の音楽師」が来てましたよ。
すごい迫力で、しばらくその場を動けないほど圧倒されました・・・

この章では、カンディンスキー、クレー、マティス、ドラン、ルオー、デュシャン、ユトリロ、モディリアーニ、シャガールと、私も大好きな画家がたくさん見られます!
彫刻家の、ブランクーシの作品がおもしろかったです。
しっかりと抱擁しあう恋人の彫刻なんですが、すごくシンプルなんですがなんともいえない愛情に溢れた作品なんですよね。

4章の「シュールリアリスム」も大好きな分野です。
マグリッド、キリコ、ミロの作品を堪能できます。

「フィラデルフィア美術館展」というからには、アメリカの作家のコーナーもあります。
ジョージア・オキーフ、アンドリュー・ワイエスが1点ずつだけ来てました。
ほんとは、もっと他にも見たかったんですけどねー・・・

見応えのある展覧会でした!

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今後見たい展覧会

「北欧モダン」京都市美術館
北欧のインテリアですよ!見たい~~

「巨匠と出会う名画展」兵庫県立美術館
レンブラント、モネ、マグリット、マレーヴィッチ、ピカソ、マティス・・・
特に、普段はなかなかお目にかかれないマレーヴィッチ!見たい~

ああ、秋にもう一度関西に戻ってくるしかないか・・・

あと、「長新太展」や「ピカソ展」もあるんですが、これはデパートの美術館なんで、そのうち名古屋にも巡回してくれるかな~

 ↑
(追記)と思って調べてみたら、そもそも名古屋にはなかった・・・(涙)








20世紀美術の森展

2007年08月04日 23時35分07秒 | アート
名古屋の愛知美術館で開催中の「20世紀美術の森展」に行ってきました。
「美術の森」というとおり、森や自然を題材にした作品や、精神的「森」を表現した作品など、見ていえ心が静まるような展覧会でした。

展覧会の中でも特に印象的だったのは、

山口薫「画室の森」
見た瞬間に心が引き込まれるような絵でした。
部屋の窓から見た木々は、とてもシンプルな形で色も暗め。
だけど、圧倒的な存在感があって目を惹きつけられるんですよね。
数年前に初めてこの人の作品を見た時もそうだったんですが、
あっという間に一目ぼれしてしまう魅力があるんです・・・

須田国太郎「樹下」
この人もすごく暗ーい色使いなんですが、とにかく力強いです。
木の下に、2匹のハリネズミのようなヤマアラシのような動物が佇んでいる絵です。
だたそれだけの絵なんですけど、暗い色調が力強いです。
この人の作品は黒がとても魅力的です。
真っ黒なカラスの絵が有名なので、見た事のある人も多いと思います。

アンドリュー・ワイエス「氷塊I」
「えー?ワイエスがこんな絵描いてたんだー」と、意外な発見でした。
ワイエスといえば、写真のような緻密で美しい絵を描く画家ですが、
この絵の場合は、小さな画面に氷の塊があるだけなんですよね。
画家の違う一面を見ると、なんだか嬉しくなりますね。

パウル・クレー「蛾の踊り」
画面の中央で蛾が踊ってるんです。色も線もすごく綺麗な作品です。
やっぱりクレーはすごく良いなぁ~~

浜口陽三「ざくろ」
浜口さんの版画って、すごく深いんですよね。色や空間が・・・
この作品も、真っ黒の画面にぽんとざくろが置いてあるんですが、
すごく深い空間が広がっているようです。

まだまだ他にもおススメな作品がいっぱいです!
ゴーギャンやピカソ、カンディンスキー、クリムト、ルドン、駒井哲郎・・・

立体作品では、船越桂さんの彫刻がきていました。
さわひらきさんという作家の、映像作品もすごくおもしろかったなー。

こじんまりとした美術館で、無理なく見れるので気持ち良かったです。








住む

2007年06月24日 21時46分52秒 | アート
今日は一日中、ネットでマンション情報を集めていました。
いやー・・・
世の中には、手ごろな値段でオシャレなデザイナーズマンションが転がってるものなんだなぁ~~
会社がある程度負担してくれるので、思い切ってデザイナーズマンション借りちゃおうかな~~ぐふふ

という一日でした(もう少ししたら詳細をお伝えしますです。)

なんでいきなりこんな話をしてるかというと、
なかなか書く機会がなかったんですが、実は先週サントリーミュージアムで、
「20世紀の夢-モダン・デザイン再訪」展を見てきたんですよねー。

アール・ヌーヴォー、英国のウィリアム・モリスやマッキントッシュの家具、ドイツのバウハウスやロシアのデザインなど、かなり見ごたえのあるおもしろい展覧会でした。

アール・ヌーヴォーの美しい曲線が印象的な家具は、見ているだけでうっとりします。
特にベッドが美しい・・・こんなベッドで寝られたら良い夢見れそう・・・

ウィリアム・モリスは、カーテンや絨毯などのインテリアで有名だと思いますが、工房では家具も作ってたんですね。
すごく可愛いイスが印象的でした。

マッキントッシュは、直線的でスッキリした家具で有名だと思います。
背もたれがビューっと高く伸びたスマートなイスとか。おしゃれです。
こういう家具が置ける部屋に住みたいです。

ドイツのバウハウスは、画家のカンディンスキーやパウル・クレーが先生をしていた美術学校です。
彼らの作品も展示されていたのが、思いがけず嬉しかったです♪


ただ、楽しみにしていた北欧デザインが、ほとんどなかったのが残念なんですが・・・
アルヴァル・アールトのイスが3点くらい並んでいるだけだったんです~
アールトはとても好きなデザイナーなんで、それはそれでいいんですが・・・
私、北欧インテリアがとても好きで、いつか・・・いつか北欧インテリアに囲まれて生活したい!という無茶な野望を抱いています(笑)

・・・・どんだけ稼いだら、そういう生活できるかしら








ベルギー王立美術館展

2007年04月30日 22時11分22秒 | アート
今日は大阪の国際美術館で開催中の、「ベルギー王立美術館展」に行ってきました。
ベルギー王立美術館は、ブリュッセルにある大きな美術館です。
数年前にブリュッセルに行った時に訪れたんですが、10時開館と共に入って閉館(確か17時~18時頃)まで見ていたという、思い出深い美術館です・・・
丸一日かけて見るくらい、充実した内容だったんです。

ちなみに、今まで訪れた大好きな美術館の中で、メトロポリタン、プラドと並んで(私的に)上位にくる素晴しい美術館です。
そんなベルギー王立美術館の作品と再会できるんだから、本当に今日という日を心待ちにしていました。

16,17世紀の画家~20世紀の画家まで、幅広く展示されています。
ルーベンス、ヴァン・ダイクなどの昔の画家も良いんですが、私はやっぱり20世紀の画家が好きです。
アンソール、マグリット、デルヴォー、スピリアールト。
どれも刺激的で感受性豊かで、ベルギーの画家は独特の感性を持っているなぁと感動しました。

あと、これは昔の人なんですが、ブリューゲル!!
ブリューゲル(父)の作品と言われている「イカロスの墜落」をまた見ることができて、すごく嬉しかった。

「イカロスの墜落」
有名なイカロス神話を題材にしていますが、主人公のイカロスは海に墜落して足だけが小さく見えている状態。
そのすぐ脇では、何事もなかったかのように農夫が淡々と畑を耕しています。
このそっけなさが最高におもしろい絵です。

「怒れる仮面」
大好きな20世紀の画家、ジェームス・アンソールの作品。
彼は、仮面を被った人間や、擬人化した骸骨をモチーフにして、たくさんの風刺画を描いています。
一見、淡く優しい色調の中にいる、仮面を被った人達が不気味です。

彼の作品ではとても有名な、「燻製ニシンを奪い合う骸骨たち」も来ています。

「オステンドの港」
レオン・スピリアールトという画家。
彼の描く絵はモノトーンが多く、暗くて圧迫感があり、病的でさえあります。
実際、彼自身精神的に病んでいたと思います。
でもだからこそ、彼の絵はとても魅力的なんです・・・

「夜汽車」
マグリットと並んで、シュールレアリスムの代表的な画家である、ポール・デルヴォーの作品。
彼の絵はとっても無機質です。
人間を描いても、まるで石膏像のような感じがします。
この作品は、夜の駅に止まっている夜汽車と、それを見ている少女の絵なんですが、非現実的で夢の中に引きずり込まれそうな気がします。

「光の帝国」
今回一番楽しみだった、マグリットの作品。
この絵はとっても有名なので(多分教科書なんかにも載っていると思われます)、見たことのある人は多いと思います。

空は昼間の青空なのに、その下に建っている家の周辺だけ夜になっているという、不思議な絵です。
もう、この絵を見るのが目的で来た様なものだったので、しばらく絵の前から動けませんでした・・・
マグリットは本当に大好きな画家なので・・・


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今後楽しみな展覧会

フィラデルフィア美術館展
マティス、ゴッホ、クレー、ゴーギャン、ピカソ、ルソー、マネ、モネ、カンディンスキー、シャガール、ドガ、セザンヌ、オキーフ・・・・
このラインナップだけで、わくわくしてきます

7月14日から京都市美術館で開催。









三重の三人展

2007年03月24日 20時43分57秒 | アート
先週の日曜日のことなんですが。
セルゲイに参加するために津市に行った時に、ついでに美術館を見よう♪ということになって、三重県立美術館で開催中の「三重の三人展」にkazuhaちゃんと行ってきました。
なんとこの日は無料開放日!
いいですね、美術館はもっとこういう特別日を作って、気軽に芸術に触れられるようにしてくれると嬉しいです

で、「三重の三人展」なんですが、三重で活動していた芸術家達の作品を展示しています。
三人とももうすでに他界されてますが、最近まで活躍されていたようです。

浅野弥衛(1914-1996)

油絵の具で黒く塗ったキャンバスを、針金のようなものでひっかいて模様を描いたり、
物の上に紙を置いて、上から鉛筆で擦って模様を浮き立たせる(フロッタージュ)技法で独特の抽象世界を表現していました。

コラージュやフロッタージュって、とってもおもしろいと思うんですが、芸術にするにはセンスがいるなぁと思いながら見ていました・・・
全体的に暗い作品がほとんどなんですが、黒い画面に浮かび上がる模様を見ていると、その世界にすーっと引きずり込まれていくような感覚になります。


小林研三(1924-2001)

今度は逆に、パステル調の明るい世界です。
緑の草原に三角屋根の家や簡略化された木が並んでいる様子は、一見すると稚拙にも見えて、ある意味危うい感じもしますが(笑)、計算された空間が甘さを抑えて見てて気持ち良いです。

彼の作品では、特に動物や鳥を描いた絵が気に入りました。
ほとんど抽象画に近いくらい、背景に溶け込んだ動物達の絵がとてもおもしろい。
特に、数羽の色とりどりの鳥を描いた作品が、色使いのセンスが良くて好きでした。


伊藤利彦(1928-2006)

この人は平面に立体を組み合わせて、独自の世界を作っていました。
箱の中に飛行船や飛行機を入れた作品が良いなと思いました。
箱と言う限られた空間の中なんですが、広い空の世界を感じさせてくれます。
「最後の晩餐」をもじった作品もおもしろかったです。


●その他、常設展示もなかなか素敵です

柳原義達

彫刻家です。私、この人の彫刻が大好きなんですよねー。
烏や鳩をモチーフにした作品が多いんですが、細密な彫刻というよりは、ぐっと手でにぎって作ったかのような作品です。
なのに、これ以上リアルにはできないだろうというくらい、ちゃんと烏だったり鳩だったりするんですよね。不思議です・・・
ぐっと手で握った時に、命を吹き込んでいるのではないでしょうか。

スケッチもたくさんあって、とても勉強になります。
画家のスケッチとは違って、やはり彫刻家らしい目線のスケッチです。


常設展示室

ピカソ、ルノワール、モネ、カンディンスキー、佐伯祐三など、有名な画家の作品がたくさんあって、見ごたえたっぷりでした。

この美術館は外観も立派だし、中もとても綺麗です。
環境も良いし、休憩しながらじっくり見るといいなと思いました。







夢の美術館展

2007年02月10日 23時59分55秒 | アート
今日は大阪の国立国際美術館で開催されている、「夢の美術館展」に行ってきました。
なんと、サントリーミュージアムと大阪市立近代美術館建設準備室(いつできるんだろう・・・)と、国際美術館の3館共同の展覧会で、このあと他の2館でもおもしろそうな展覧会があります・・・全部行こうっと!

で、今回の夢の美術館では、「20世紀美術」をテーマに世界の名画が一堂に集められています。
ほんとに豪華!

ピカソ、モディリアニ、ダリ、マグリッド、エルンスト、ウォーホル、セザンヌ、モネ、デュシャン、クレー、キリコ、カンディンスキー、などなど・・・
どの作品も素晴しかったです。

印象的だった作品は、

◆エルンストの「偶像」と「灰色の森」。
とくに「偶像」は、後ろ向きの裸婦と木片などの物質が溶け合った不思議な作品。エルンストの力強い色使いが、さらに幻想的な空気を醸し出している。
「灰色の森」は結構有名な作品だけど、生で見る迫力がすごい・・・
2点とも、名画だらけの展覧会の中でも強い存在感を出していました。

◆ブランクーシの彫刻「眠れるミューズ」
この彫刻、ミューズの頭部だけなんですよ。頭部だけがころんと台の上に載せられてるの。
しかも頭部自体も、卵型の物体をわずかに削ったり盛り上げたりして、なんとなく目鼻口をあらわしているという、ものすごく単純な造形。
なのに、眠っているミューズの表情がとてもやすらかで優しげなんですよ。

まぶたや唇のわずかな盛り上がりに、光が当たって影ができていて、それがやわらかな表情を作り出していました。


その他有名な作品としては、デュシャンの、モナリザの顔に髭を描いた絵が来てました。これ、すごい有名ですよねー(笑)
あとはフォンタナの青いキャンバスに切り込みを入れただけの作品とか、マグリットの「レディ・メイドの花束」とか、ウォーホルの「マリリン」や「4フィートの花」、モディリアニの「髪をほどいた横たわる裸婦」がありました。

現代芸術に一気に触れる、良い機会だと思います。お勧めです~

ちなみに、他の部屋ではピカソの彫刻と版画の展覧会もやってました。
こちらも数は少ないけど見ごたえたっぷり・・・
ピカソの、たった1本の線で表される豊かな人間像が大好きです。
ほんっとすごい人ですよ・・・あの単純な線で深い世界観を描いてしまうなんて。

その他常設展示では、私も大好きな浜口陽三の版画や、浜田知明の版画がありました。
浜口さんの版画、大好きなんですよー・・・

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これから注目の展覧会

「佐伯祐三とパリの夢」 大阪市立近代美術館(仮称)(いつオープンするんだろう・・・)の心斎橋展示室
1月13日~3月25日

3館共同の「大阪コレクションズ」シリーズです。
佐伯祐三はもちろん、ロートレックやモネやミュシャがあるらしい~~

「20世紀の夢 モダン・デザイン再訪」 サントリーミュージアム
5月17日~7月1日

3館共同の「大阪コレクションズ」シリーズです。
アール・ヌーヴォーが見られるのも楽しみですが、北欧のモダンデザインもあるそうなので、これが一番楽しみですね~
ロシアの構成主義というのも、よくわからないけどおもしろそう。
ロシアのモダンデザインって、結構良い味出してるんですよ。

「ベルギー王立美術館展」 国立国際美術館
4月7日~6月24日

ああー!早く見たい!マグリットやデルヴォー、アンソールが来る・・・

「ピカソ展」 大丸ミュージアム梅田店
3月1日~25日

ピカソはやっぱりねー、展覧会するなら見にいかないとねー




オルセー美術館展

2006年12月24日 23時18分08秒 | アート
パリの美術館の中でも、特にオルセー美術館が好きです。
ルーブルくらいでっかいと、なんとなく散漫になっちゃうんですが、オルセーは規模がちょうどいいくらいで、内容も印象派を中心にしていて親しみ深いんですよね。
そんなオルセー美術館から、素晴しい作品の数々がお目見えするということで、楽しみに行ってきました。

ゴッホの「アルルの部屋」が来ていました。ゴッホはほとんど作品がなかったんだけど、この絵は大好きなので満足。
とても質素な部屋の中で青色が印象に残る。

ゴーギャンはいくつか来ていました。
特に黄色いキリストが背景に描かれた自画像が素晴しい。ゴーギャンの使う黄色や茶色は、土の感触がする。フランス時代に描いた絵でも、まるで太陽を吸った赤土を塗りこめたような質感がある。
ゴーギャンには本当に南国が似合うと思った。

モネの「ルーアン大聖堂」が1枚来ていた。これは元々連作になっていて、朝から夕刻までの様々な太陽の色を受けて輝く大聖堂を描いている。
モネという人は「印象派」という言葉を作るきっかけになった画家なだけに、太陽の光で印象の変わる大聖堂を美しく描いている。
大好きです、この作品。

ルドンも何点か。ルドンの青はものすごく美しく輝いていて大好き。
パッと見て「あ、ルドンだ」とわかるほど特徴的なタッチです。幻想的だわ・・・

びっくりしたのが、スピリアールト。1点だけだったけど、ここでお目にかかれるとは思ってなかったので、嬉しい再会。
この人はモノクロの暗くするどい、きわどい絵を描く人です。
昔、この人の展覧会を見に名古屋まで遠出したくらい、強烈に人の感覚に訴えかけてくる人。

あとは、ドガ、マネ、ピサロ、ロートレック、モロー、シスレー、シニャック、スーラ、ルノアールなどなど。

絵だけじゃなく、写真、陶芸、木彫りもありました。
オルセー美術館の中に、私の大好きなアール・ヌーボーの家具や食器を展示した部屋があるんですが、残念ながらそこからは来てませんでした~~

とても見ごたえのある良い展覧会でした。
1月初旬までしかやっていないので、まだの方はお早めに・・・
ちなみに、日本人に人気の印象派が多かったせいか、とっても混んでました・・・

ルーブル美術館展

2006年10月24日 22時50分18秒 | アート
先週の土曜日の話ですが、京都の美術館に「ルーブル美術館展」を見に行って来ました。
本当言うと、巨大な美術館の展覧会ってあんまり期待しないんです、いつも。
なんていうか、よっぽどうまくテーマを絞らない限り、緩慢な感じになっちゃうというか、目玉作品が1,2点あって、後は・・・っていう感じになることがあって。

ところが今回はなんと、ギリシャ彫刻のみ!という潔さ(笑)
これがなかなか見ごたえあって、良い展覧会でした。

会場に入ると、昔の英雄やら神話の登場人物やらの像がずらっと並んでいる。
長い年月が経って、ほとんどは鼻がぽっきり折れていたり、片腕がなかったり、首から上がすっぽりなかったりと、完全な状態のものは無いに等しい。

だけどなんでだろう。完全なものよりも、どこか欠けている彫刻の方が美しく、奥深く見える。

今回は来てないけど、例えばルーブルの有名な「ミロのビーナス」。もしあのビーナスに両腕がついていたら・・・あんなに魅力的に見えたかな・・・?
少なくとも、神秘的には見えなかったと思う。
今回のもそうで、女性の彫刻の鼻がぽっきり折れていても、やっぱりそれは美しい。


おもしろいなぁと思ったのは、「お手玉をする少女」という題のついた彫刻があったんだけど、なんと両腕が肩から無い!
なのに、その体の傾け方とか肩の筋肉とかで、「お手玉をしている」ということがわかってしまう・・・(のだろうね、専門家には)

他にも、お酒をついでいる少年の像があるんだけど、やっぱり両腕がない。
でも、何もない空間に、お酒をついでいる光景が見えてくるから不思議だ。
そしてそれは、見る人ひとりひとりによって少しずつ違う光景なんだろう。

想像力を働かせながら見ると本当におもしろい。

今回の作品の中で、私が一番好きなのは「ニケ」の像。
ニケというのは背中に大きな翼の生えた女神のこと。
小さい像だったけど、翼を大きくはためかせ、どうどうと足を前に踏み出している姿は、まるで空を歩いているかのようだった。

ルーブル美術館には巨大な「サモトラケのニケ像」がある。
実は私、ルーブル美術館の作品の中で一番好きなのがこのニケ像だったりする。
「モナリザ」より「ミロのビーナス」より。
大階段の上に堂々と立っている姿は、本当に神々しいとしか言えなくて、初めて目の当たりにした時はすごい衝撃を受けた。

そしてこのサモトラケのニケも、首から上が無いからさらに神秘的に見えるんでしょう。


ギリシャ彫刻といえば、私は美術学校に通っていた頃を思い出す(笑)
ほんと、死ぬほど描かされたもんなぁ。
でも、人物を描くのって好きです。特にギリシャ彫刻は人間の理想の体を再現したものだから、筋肉のつき方とかが美しくって。
そしてやっぱり、完全な状態よりもどこか欠けているのが良いんです(笑)
人間だってきっと一緒。と思ってみたり。


プラド美術館展

2006年10月09日 14時25分33秒 | アート
昨日は昼間に携帯から投稿した通り、天王寺の大阪市立美術館で「プラド美術館展」を見てきました。
さすがに休日だけあって、待ち時間は40分・・・。
まあ、実際には20分くらいで入れたので、そんなに待たなかったんですけどね。

作品はとても見ごたえのあるものが多くて、はっきり言って期待以上(笑)かなり良い展覧会でした。
16~18世紀の作品ばかりだったので、宗教画・肖像画がほとんど。
あまり宗教を持たない日本人にはなじみのない題材が多いけれど、作家達の真摯な眼差しが感じられて、見たままに素直に感じられた。

入ってすぐ、エル・グレコの宗教画が何点かある。
本当にこの人の描く宗教画は、深い色使いといい表情といい、とても愛情に溢れている。
独特のタッチや丸い目は、見る者を絵の中に吸い込んでしまいそうだ。

ベラスケスの作品も結構あった。
ベラスケスといえば、皇女マルガリータの肖像画が有名だけど、私はこの人の作品の中では道化師を描いた作品が好き。
宮廷の中でも重要な位置を占めていたという、ディエゴ・デ・アセドという道化師の絵を何枚か描いているんだけど、どの絵も気品とプライドに溢れた素晴しい作品だと思う。

実際、昔の「道化師」というのは、貴族や王族にもずけずけと物を言い、時には助言者ともなっていた存在だったらしい。
ベラスケスの描く道化師には、貴族や王族の肖像画以上の気高さがあるのです・・・

もう1人スペインを代表する画家と言えば、ゴヤ。
今回、展覧会の中で一番楽しみにしていた画家だ。
残念ながら、私が一番好きな晩年のドロドロに暗い作品は来てなかったんだけど(この人は晩年には精神を病んでしまっていたのです・・・)、すごく衝撃を受けた肖像画に出会えた。

「アブランテス公爵夫人」という作品がそれ。
注釈には、美声の持ち主ながら、内気で控えめな女性だったと書いてあるんだけど、この絵を見るとゴヤがこの人をとても好ましく思って描いていたのがよくわかる・・・
頭に花輪を被って、手には美声の持ち主であることを暗示する楽譜。薄い水色のドレスが爽やかなイメージを与えてくれる。
顔も、どこまでも優しく可愛らしい雰囲気。
本当にすごく素敵な肖像画です!

今回、ゴヤは肖像画がほとんどだったんだけど、一点だけ非常に私好みの暗い絵がありました(笑)
「魔女の飛翔」という作品。
真っ暗なバックに、3人の魔女が男性を抱えて宙に浮かんでいる。というなんとも不思議な作品。
不思議さ、怖さをかもし出していて、見ていると不安な気持ちになってくる。
特に、昔のヨーロッパでは魔女って忌み嫌われて火あぶりにされる存在だったんですよね?だから、余計に怖い・・・
まさにゴヤです・・・

その他には、オランダ・フランス・イタリアの絵画も来ていた。
ルーベンスや、ファン・ダイク、ブリューゲル、ティツィアーノ等。

それと静物画。
植物や果物を描いた静物画は、瑞々しくてまるで本物のよう。
この時代の静物画ってすごく好き・・・やけにリアル出し、ご丁寧に花に群がる虫まで描いてるし(笑)

10月15日までなので、もうすぐ終わっちゃうけどとても素晴しい展覧会でした!

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これから行きたい展覧会

ルーブル美術館展
ちょっと微妙な気もするけど、せっかくなので行ってこよう。11月まで。

オルセー美術館展
これは行きたい!ゴッホが来るというだけで(私にとって)行く価値あり!
ゴーギャン、マネ、モネなど、みんな大好きな印象派が来るので、絶対楽しいと思う。来年1月まで。

ロダン展
嬉しいなー♪ロダンの彫刻大好き!普段あまり彫刻は見に行かないんだけど・・・ロダンは大好き。来年の春から公開。

ブリュッセル王立美術館展
これ、イチオシ!私が今まで行った事のあるヨーロッパの美術館の中でも、かなり好きな美術館。
そこの作品と、また再会できるなんて嬉しすぎる~~!
マグリット、デルヴォー、アンソールという、ベルギーを代表するシュールリアリズムの作家が来ます。
あとブリューゲル!「イカロス」が来るみたい!これすごく良い作品です。
来年の春から公開。

えーっと、全て神戸や大阪・京都の美術館で開催される期間を書いているので、関西圏以外の方は参考にされないように注意して下さい(笑)