おととし、WOWOWドラマで『長い長い殺人』という2時間ドラマの制作に参加したり、友人に薦められて『レベル7』を読んでみたり、最近また宮部みゆきさんの本を何冊か読んでいて、ときどき短編集も読んでみたけど、やはり長編のほうがじっくり読めて面白いと思い、今回読んでみた本が平成元年に出版された『魔術はささやく』。
いやはや、傑作だった。どうしたらこんな面白いストーリーを思いつくのだろう?なんて陳腐なことは言わないけども。
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。