長女:5歳
Pre-K4(年中組)
次女:2歳
Toddler1歳児クラス
私:30代後半
ナースプラクティショナー
私は急性期病院(Acute care)で働くFamily Nurse Practitioner(FNP)です。FNPというのはプライマリーケアで働くことが前提のナースプラクティショナー。日本で言うと内科クリニックで働いている町医者的な存在。急性期の総合病院で働きたい場合は、成人領域だったらAdult Gerontological Acute Care Nurse Practitioner(AGACNP)が最も適切なNPプログラム/資格になります。
ここ(
FNPを選んだ理由)でも書いていますが、私は当初からAcute Care志望。FNPプログラム在学中も急性期病院で働くNPになりたいとの意思は変わらず、また、FNPになった後も病院勤務の職をメインに探していました。
それなのにFNPを選んだ理由...ずばり、病院勤務の職に在りつけなかった時に、プライマリーケアや小児科、はたまた婦人科などでも働けるように、一番つぶしの効く専門(=FNP)を選んだんです。手っ取り早く言うと、保険をかけました(^▽^;)
病院に勤務するNPはたくさんいます。Hospitalist (Internal medicine/内科)、Cardiology(循環器科)、 Cardiovascular thoracic surgery(心臓胸部外科)、Neurology(脳神経内科)、Neurosurgery(脳神経外科)、Gastroenterology(消化器科)、Hematology/Oncology(血液腫瘍科)、Nephrology(腎臓科)、Infectious disease(感染症科)、Palliative care(緩和医療科)、そして私の働くCritical care/pulmonary(クリティカルケア、呼吸器科)などなど。ただ、年々競争率が激しくなっており、Acute care NPになったからと言って、必ずしも病院勤務の仕事にありつける訳ではありません。私の知り合いでも、AGACNPになったはいいものの、急性期の仕事が見つからずにプライマリーケアで働いている人、ICUナースを続けながらAcute careの仕事をひたすら探し続けている人がいます。
こういう背景があってFNPプログラムを選択。結果的に急性期病院で働くNPになれたので保険をかけた意味は無かった、もとい、保険を使わずに済みました(*^ー^*)
本題に入るまでの前置きが長くなりました...「FNPプログラムで受けたトレーニングと、Acute careでの勤務にギャップがありますか?」というコメントを頂いたので少し書いてみようと思います。
まず、上でも書いていますが、FNPはプライマリーケアで働くことを前提に作られているプログラムなので、急性期病院で遭遇するケースを学ぶことはありません。一般的な外来クリニック(内科)で出会う症例を学びます。例えて言うならば、定期健康診断、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、皮膚疾患、痛風、インフルエンザ、風邪、などなど。あくまでも、命の危険がない症状です。
FNPで得た知識は決して無駄ではないです。Acute careでも大いに活用出来ます。特に、Internal medicineとして働くNPの場合は、病院の患者を退院させてプライマリケアに送り出す役割も果たすので、FNPで学ぶ内容と被る部分はかなりあると思います。
ただ、急性期で働いたことのないFNPが病院で働こうと思ったら...FNPプログラムで学んだことと、急性期の症例のギャップが大きすぎて、かなり苦戦すると思います。
それから、Acute careでも、働く分野で大きく違いが出てくるかと思います。私自身の話をすると...クリティカルケアにおいてFNPプログラムで学んだことは反映されてません∑(゚Д゚)私が今クリティカルケアNPとして使っている知識は、全てICUナースとして働いていた時に得た知識であって、FNPプログラムで学んだ内容/症例というのはほぼ無いと言っていいと思います。
私はPulmonary(呼吸器科)NPでもあるので、一般病棟にいる比較的安定している喘息、COPD、肺塞栓症などの患者マネージメントもしていますが、「FNPプログラムで学んだ事が役に立った!」と思った事は全然無いです(^▽^;)これらの患者の管理方法は、ICUナースとしての経験から得た知識が少し。その他全ては、一緒に働いているICU(兼 呼吸器専門医)のドクター達に教えてもらいました。(でも、これはあくまでもPulmonary critical care NPとしての感想であって、他の専門域だったら違うかもしれません。)
何度も言いますが、FNPはプライマリーケア(外来のFamily medicineやInternal medicine)で働く事を前提に作られているので、外来クリニックで遭遇する症例を主に学びます。語弊があるかもしれませんが、かなり広く浅く学ぶ感じ。少なくとも私はそう感じました。
急性期病院の経験しかない私にとっては、プライマリーケア特有の症例(痛風や皮膚疾患など)は新鮮だったし、色々な新しい症例を学べて個人的な成長に繋がりました。FNPを選んだ事に後悔は全くありません。
が、いただいたコメントの返答をしますと「FNPで学んだ内容と急性期病院で出会う症例はギャップが大きすぎます」。NPとして急性期病院で働きたいならば①Acute care NPプログラムに進む、②ナースとして急性期病院の勤務経験がある、のいずれか(もしくは両方)でないと、無理とは言わないまでも、相当厳しいというのが私の正直な感想です。
そして、実際に働いてみて思うのは、ナースとしての病院勤務経験も、クリティカルケア(ICUやER)での経験があるのが好ましいと思います。Med/Surg/Tele出身(ICUやER経験無し)のNPで、急性期に勤めるNPを何人か知っているのですが(専門は色々)、話を聞くと結構苦労しているようです。このNP達は今まで一般病棟での患者管理方法しか見てきていないのに、それがNPになった途端、ERからICUから一般病棟まで色々な患者の管理をするわけですから、やはり、重症患者の管理経験が無い(=どう管理すれば検討もつかない)というのは最初は辛いようです。もちろん、経験が無いからと言って出来ないわけではありません。ただ、ナースとして色々経験があると、NPになった時のトランジション(移行)がスムーズに行きやすいのは確かだと思います。そして、今まで急性期で働く多くのNPに出会ってきましたが、ほぼ全員元ICUナースというのが実情です。
それから最後に1つ。私が住んでいる州では法的にはFNPでも急性期病院で働く事が出来ます。が、システム的に段々難しくなってきています。と言うのも、急性期病院に出入りするには、その病院における診療許可(Privilege)を得なければいけないのですが、多くの病院では「急性期病院で患者を診た診療記録」(つまるところ、急性期での経験)を求められます。ここで多くのFNPがつまずくんです。FNPのトレーニングは全てOutpatient(外来)なので、急性期患者の診療記録を出せず、急性期病院に出入りする許可を得られないんです。AGACNPであれば、AGACNPプログラム在学中の実習で診た患者の記録を提出可能なので、こういう問題は起こらずに済みます。
ただし、上記に関しては州や病院ごとに異なるのでご注意ください。急性期病院で働くにはAcute Care NPの資格を持ってないと働けないと法律で定めている州もあるし、病院によってもAcute Care NPにしかPrivilegeを出さないという所もあると思います。
ですので、NPプログラムへ応募する前に、①自分の進みたい分野や専門、②働く予定の州の法律、③働く予定の地域における新卒NPの就職市場、などをよく吟味した上で、NPプログラムの専門を選ぶのが賢明かと思います。