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Practice Makes Progress

~ナースえいや三十にして立つ~
アメリカでCNA→ICU RN→NP

当ブログをご覧になられている方へ

更新日:2022年01月19日

Practice Makes Progress ~ナースえいや 三十にして立つ~」へようこそ(^^)
現在のコンテンツはナースプラクティショナー(NP)としての勤務やアメリカ日常生活・子育てに関する事などが中心となっています。
・ えいやの自己紹介はこちらへどうぞ。
・ アメリカ看護留学、アメリカでRNになりたい方(アメリカ市民・永住者を除く)は初めにこちらをご参照ください。
・ FNPプログラム、ナーシング・プログラム、看護師(RN)、看護助手(CNA)として働いていた時の様子に関しては右サイドバーにある各カテゴリーよりご覧ください。
・ アメリカの移民ビザ&グリーンカード情報をご覧になりたい方は初めにこちらをご覧ください。
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Daisypath Anniversary tickers

アメリカ医療における労働環境

2017-11-30 06:37:51 | 【アメリカ】RN(看護師)
アメリカの医療システムに内側から携わる者として
いかにこの医療システムで働きにくいかを
今回はお届けしようかと思います。

アメリカの医療システムは営利主義です。
もう1回言いますよ?

アメリカの医療システムはビジネスです。

日本のような国民皆保険制度ではありません。
(オバマケアは国民皆保険を目指したものですが
 現状は国民皆保険とはほど遠いものです)
もちろん非営利で運営している病院、医療グループはありますが
最低でも収支がトントンでなければ経営は成り立ちません。
治療費がバカ高い国ですから
赤字経営ではすぐに破綻してしまいます。

そういう背景をまずご理解ください。

病院経営が営利主義である以上、
経営陣は利益をあげることが優先です。
医療は二の次なんです。
もう1回言いますよ?

病院経営は医療が最優先ではありません

そこで何が問題になるか?
経営陣はいかに低コストで効率よく成果を出すかに重点を置きます。
うちの病院で起こっていることを例にあげると
  人員を削減して、1人1人の負担を増やし、
  安い医療品やサービスに切り替え、
  それでも成績・成果が落ちないように
  従業員に発破をかける
ザックリ言うとこんな感じ。

日々業務や負担が増えていくばかりなので
本来の業務に集中できません。
私のタイトルはナース(看護師)ですが
実際の業務は
 ・看護師
 ・看護助手
 ・ケースマネジメント
 ・ソーシャルワーカー
 ・事務員・秘書
 ・トランスポーター
 ・品質管理責任者
 ・清掃業務員
 ・顧客満足係員
 ・警備員
など多岐にわたります。
もちろん、うちの病院にはケースマネジャーも
ソーシャルワーカーも清掃担当者も警備員もいます。
でも、各部署で人員削減や業務負担の増加があるので、
「この仕事はこの人に頼む」とは言ってられず
業務の円滑を図るために様々な事をしなければいけません。

当然従業員は苦しみます。
そして一番の被害を受けるのは患者さんです。

業務負担で苦しんでいる医療提供者が
質の高い医療を提供出来ると思いますか?
自分の仕事にアンハッピーな人が
患者さんをハッピーにするようなサービスを提供出来ますか?

できませんよね?

私の働いている病院や
アメリカの医療システムを例えて表すと
墜落しそうな飛行機

墜落しそうな飛行機に搭乗している客室乗務員が
医師、ナース、RT、PT/OT、SLPなどの医療関係者。
搭乗客は患者さんです。

飛行機に乗ると非常時のデモンストレーションがありますよね?
そこでは必ず
自分の酸素マスクを装着してから
子供にも酸素マスクをつける
ように指示されます。
減圧などが発生したら急に意識を失うので
自分がしっかりしないと他の人の手助けが出来ないのです。

医療システムもそれと一緒です。
息も絶え絶えなナース、RT、その他医療従事者に
酸素マスク無しで
乗客を助けられるように精一杯働けと言われても
意識もはっきりしない中どうやって客を助けられますか?


シンプルにわかりやすいように書きました。
もっと複雑な背景・事情がありますが
アメリカの医療システム従事者を一般的に表すと

墜落しそうな飛行機の中で
酸素マスクなしに苦しみながら
客を救出しようとしている乗務員たち


ということです。
もちろん、素晴らしい労働環境にある
病院や医療グループもたくさんあると思います。
でも、一概に言うと、どこもこんな感じかと。

アメリカの医療は素晴らしいとよく言われますが
実際はそんなに綺麗なものではありません。
こういった業務負担の背景もあるのか
医療事故は後を絶たないし
とてもじゃないけど安全とは言えません。
むしろ病院に行ったら殺されるくらいに思ってます。
(半分冗談ですが、半分本気です)

アメリカの医療システムについては
詳しく話し出すと取り留めなくなってしまうので
ここではこれ以上の詳細には触れませんが
(書いたら100シリーズとかになる)
患者優先ではない環境、
看護に集中できない環境、
年々悪くなっていく看護・医療環境、

に怒り、憤り、悲しみ、やるせなさ、などを感じる日々です。
看護は好きですが
看護を取り巻く環境は嫌いです。

これは一個人でどうにか出来る問題ではなく、
アメリカの医療システムに大改革・革命が起こらないと
どうしようもできないんです。
より多くの医療関係者や消費者が立ち上がって
医療システムの根本を変えていかないと
本当にアメリカの医療の将来は憂鬱です。


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得意なスキル

2017-11-10 00:00:00 | 【アメリカ】RN(看護師)
看護師のみなさんは得意なスキルってありますか?

私が得意だったらいいなと思うスキルNo.1はIVルートの確保。
血管が異常に細い人、巨漢の人、IVドラッグ常用者などは
なかなかルート確保するのが大変ですよね~。
そういう時Peripheral(末梢静脈)をサッと入れられるナース、
カッコいい!憧れます!本当に尊敬します!
IVが得意なナースと言うと
ERナースとRapid response teamのナースでしょうか?
あと、Ultrasound(超音波)やAccuVeinみたいな機械が無かった時から働いている
経験豊富なナースはIVスタートさせるのが上手いですよね。

目視や手で触るだけでのIV確保の他に
Ultrasoundマシーンを使ってのルート確保や
MidlineやPICCを自分で入れられると業務が楽ですよね。
うちの病院にはPICCナースが常駐しているので
フロアナースがPICC入れることはないんですが
Midline入れられると助かることは多々あります。

ICUでは血管を損傷しやすい点滴・薬が多く
中にはMidline、PICCやCentral line(CVC)でないと
投与出来ないものも多いです。
そういう時にMidlineだけでも自分で入れられると
Midline入れられるナースを待たなくてもいいから
時間短縮になるし業務がスムーズに行く。

Midlineのスキルは欲しいんですけどね~。
うちの病院、Midline certifiedになっちゃうと
自分の病棟はおろか他の病棟からも
Midline入れて~~~!と依頼が殺到するので
自分の業務(=患者さんの安全性)に支障をきたす事を懸念して
Midlineのトレーニングは丁重にお断りしました(^^;)
こういうOrganization politicsが無ければ
喜んでトレーニング受けるんですけどね~。

なんだかんだIVに関して書きましたが
私はIV苦手です
苦手意識がもの凄くあります。
上手くなりたいのはやまやまだけど
ICUに入ってくる患者さんて
PICCかCVC入ってる事が多いから
IV入れる機会ってあんまりないんですよ~。
一般病棟のナースの方がよっぽどIV上手だと思います。

こんなナースえいやですが
1つだけ他のナースよりも得意なスキルがあります。
それは...




















NGやOGチューブを入れること(--;)
全然自慢にならねーーー





なんだかよくわからないけど
他のナースが入れられないNG/OGチューブ。
私がやるとすんなり入ります。
コツとか別にないんですけどね。
普通にチューブを突っ込むだけです。
どうやって入れたの?ってよく聞かれるんですが
I just shoved it inとしか答えられません。

しわ1つないくらいベッドを綺麗に整えられるナースとか
(人工呼吸器に繋がれてる患者さんの多いICUでは
 結構素晴らしいスキルだと思います)
患者さんの家族からDNRの同意を得るのが得意なナース、
CPRの速さと深さが絶妙なナースなど、
働いていると個々のナースの得意分野が様々で
結構面白く、参考になることがたくさんあります。

あなたの得意分野は何ですか?


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ラスベガス銃乱射事件②戦場の変遷

2017-11-08 00:33:00 | 【アメリカ】RN(看護師)
事件発生は10月1日午後10時過ぎ。

次々と負傷者がERへ運ばれてくる中、
ERはまさにカオス状態へ陥ります。
数えきれないくらいの負傷者、家族、
そしてドクター、ナース、RT(Respiratory Therapists)などの
病院関係者でごった返す中、
トリアージに従って最も重症な患者から対応に当たります。
頭であれ、胸部であれ、腹部であれ、手足であれ、
負傷者は銃撃されているので
みんな血みどろ、床は血だらけです。


Facebookなどで出回ったER Trauma Bayの写真
クリックすると拡大します


ERへ運ばれてきたものの
その搬送途中で命を落とした人もいたし、
ERへ辿り着いたものの、
手の施しようがなくてすぐに命を落とした人。
何とかOR(手術室)まで運べるように
懸命な処置をする最中に命を落とした人。

病院内における最初の戦場はERです。

ERで何とか命を繋いだ人が次に行く場所はOR。
ORも戦場のように死闘が繰り広げられます。
負傷者の体から銃弾を取り除き、止血をし、
臓器機能を確保しなければいけません。
ただ、大量出血している人も多く、
IV fluid(生理食塩水などの点滴)、
Vasopressors(昇圧剤)、輸血などをフル活用して、
何とか循環機能を保ちながら外科手術に当たりますが
10Lの輸血を体に入れても、
10Lそのまま出血で出てくるといった人も多く
手術中に命を落とす人もいました。

次のコードブルー頻発地帯はPACU(Post-op)
ERの処置で命を繋ぎ、手術にも耐えられた人が
次に行く場所はPACUという術後に運ばれる回復室です。
ORからICUへ直で行けそうな容態の人は
そのままICUへ運びますが
ORからICUへの移動(数分)の間にも
心停止に陥りそうな不安定な人は動かせないので
ORの隣にあるPACUで何とか安定させようと試みます。
でも心停止する人も多く、
10月2日の明け方から午前中にかけて
PACUでのコードブルーが多かったように思います。

そして次の戦場はICUです。
うちの病院は4種類のICUがあって
Trauma ICU(外傷専門ICU)に最も重症な患者さん、
Cardiovascular ICU(循環器や胸部専門のICU)には
胸部を撃たれた人や他の重症者を集め、
Neuro ICU(脳神経専門のICU)と
Medical ICU(内科専門のICU)は撃たれた場所や症状に応じて、
という感じで患者の振り分けをされました。

Trauma ICUは事件前までいた患者を他のICUに移して
全てのベッドを事件の負傷者へ充てたので
初日は患者さんの管理(CTやらMRIやら再手術やら)で
みんな大忙しだったし
患者さんだけではなく、家族の心のケアなどもあるので、
なかなか大変だったと思われます。
ただ、ICUまで辿り着けた患者さんというのは
容態が安定しない人もいる事にはいるんですが、
コードブルーに陥る人というのが
ER、OR、PACUに比べると少なかったです。

あと、ICUへ入ってからは
今後のPrognosis(予後)がある程度見えてくるので
予後不良(心肺停止が予測される人、回復の見込みがない人)の場合は
Palliative care(緩和ケア専門医)を含めて
ドクター達と家族との話合いの機会が持たれます。
そこで心肺停止に陥っても救命処置をしないと決断する
ご家族もいらっしゃるので
そういった要因もあってかICUでのコードブルーは少なかったです。

そういうわけで、Mass Casualty Incident(多数傷病者事故)における
病院内での戦場は
ER → OR → PACU → ICU と
時間を追うごとに変遷していくのだと
今回の件から身をもって学ぶことが出来ました。
考えれば当たり前なんですけどね(^^;)
実際に経験しないと意識する事ではないし
なかなかわからないものですね。


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ラスベガス銃乱射事件①ERがドアを閉める時

2017-11-03 00:43:22 | 【アメリカ】RN(看護師)
今回の乱射事件については
色々と書きたいことがありますが
何せ、家庭に仕事に学業に忙しくて
なかなかブログまで手が回らないのが実情です。
忘れないうちにボチボチ書いていきたいと思います。
(でも次回はいつになるか不明(^^;))

私の勤務する病院は
事件現場から一番近い病院かつ
トラウマセンター(外傷センター)でもあるので
運ばれてきた患者さんは最も多かったです。

少し離れた所(車で5分くらい)にも
同規模の病院/トラウマセンター(A病院とします)があるんですが
この病院は100人受け入れたのに対し
うちの病院は200人にも上りました。

ここで私が不思議に思ったこと。
同じような規模の病院、
しかも両方ともトラウマセンターなのに
なぜ100人もの違いが出てくるのか?と。

救急車で運ばれてきた人もいますが
自家用車やタクシーなどで運ばれてきた人も多く
一般の人から見れば
「一番近い病院へ」となるのは至極当然。
そこが100人の違いだったのかな~?と思っていたところ
事実は全く違いました。










A病院/トラウマセンター、
運ばれてきた被害者が100人を超えたところで
それ以上の受け入れを停止しました






その分うちの病院に来た人が多かったのもあるようです。
これは全く報道されていないので知る人は少ないです。
こういった大規模な災害時において
病院の機能・能力を超えてしまった場合には
患者の受け入れを停止する事は合法なのだそうです。

私はこの話を聞いた時に
EMTALA的にはどうなんだ?と疑問に思ったんですが
EMTALAは支払い能力に応じて
患者の受け入れを拒否してはいけないという法律なので
こういった事態には適応されないとの事。
支払い能力に応じて拒否しているわけではなく
全ての人に対してERのドアを閉ざしているので
差別しているわけでもないし
合法的な措置なんだそうです。

それを聞いた時は衝撃的でしたが
よくよくA病院のキャパを考えてみると
この対応は仕方無かったのかも。
私の勤務病院も、この病院も、
提供できるサービスやベッド数など
規模的には同じくらいです。

ただ、決定的な違いは
うちの病院は市内に姉妹病院が2つあるから
軽症な患者はそちらへ搬送することが可能。
そして、姉妹病院にも外傷患者の手術が出来る外科医がいるので
その人達にも応援を頼んでOR(オペ室)フル回転だったし、
姉妹病院のナースも動員して
外傷患者の対応に当たりました。

対して、A病院には姉妹病院がないので
軽症患者の搬送も出来なければ
応援を頼めるような外科医やナースもいない。
基本的に自分たちで全て回さなければいけない。

もちろん、必要があれば、
姉妹病院、提携病院に関係なく
病院間で患者の搬送は出来るはずです。
非常事態ですし。

ただ、医療業界の常をお話ししますと、
Higher level of careを理由に
患者さんを病院間で搬送する事はあっても、
高度医療を提供できる病院から
設備や提供できるサービスに限度のある病院への搬送は、
あまりないんですね。

少なくとも、うちの病院は
Higher level of careで市内からも州外からも
患者さんを受け入れる側の病院なのですが、
うちの病院から他の病院への搬送はほぼゼロです。
あるとしたら、患者さんの健康保険が
うちの病院をカバーしない時に
他の病院へ搬送することもありますが
あくまでも、その患者さんの容態が安定していて、
なおかつ、搬送先の病院でも管理出来るような
比較的安定した患者さんであることが前提です。
この辺の話は複雑なアメリカの医療システムの話になるので
これ以上の言及は控えますが
私が言いたかったのは
A病院から他の病院への搬送は
ほぼ行われることがないだろうな、ということ。

あくまでも私の推測でしかありませんが、
今回の事件の患者の重症度を考えると、
100人以上を受け入れるのは
A病院のキャパ的には難しいと判断したのでしょうね。
だからこそ、その100人の患者さん&他の患者さんの
安全(Safety)を考えてERのドアを閉めざるを得なかったのだと思います。

こういったMass Casualty Incident(多数傷病者事故)は
なかなか経験するものではありません。
この経験を通していろいろ学ぶことが多く、それを糧に、
看護師としてもナースプラクティショナーとしても
今後に活かせていけたらと思っています。


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ラスベガス銃乱射事件 病院の内側から

2017-10-03 14:13:28 | 【アメリカ】RN(看護師)
ラスベガスの銃乱射事件。
トラウマセンターである勤務病院には
たくさんの負傷者が運び込まれています。
今日の勤務では筆舌に尽くしがたい光景を目の当たりにしました。

ご家族へのケアを無償で提供されている方々、
献血されている方々、
医療関係者へ食事を差し入れてくださる方々、
本当にありがとうございます。
皆さんのお心遣いに感銘を受けています。
心よりお礼申し上げます。

そして生死の狭間を迷いながらも必死に闘っている方々の回復をお祈りください。
私も多くの命を救えるよう
また明日からの勤務にて最善を尽くします。


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HELLP多いなぁ

2016-09-13 23:50:12 | 【アメリカ】RN(看護師)
アメリカのICUで働く看護師のブツクサ独り言なので
興味のない方はすっ飛ばしてください。
一般の方にもわかりやすいように書いているつもりですが
専門用語とか、わかりにくい事もあるかもしれません。
わからない事があったらググってください(丸投げ)。



えいやの働いている病院には
産科や周産期を管理する病棟があり
出産以外にも、妊娠悪阻や各種ハイリスク症状に対応。
大概のことはそちらで管理出来ますが
手に負えないケースは
えいやの働くMedical ICUに移動になります。

今まで実際に担当したのは
 ・普通分娩による大量出血
 ・周産期心筋症
 ・帝王切開後の大量出血
 ・妊娠中の頭痛、意識障害
などなど。
ICUに運ばれるくらいの症状なので
みなさん気管挿管が必要な重いケース。

で、タイトルにもある通り
最近HELLP(ヘルプ)症候群が多いんです。
HELLPをものすごーく簡単に説明すると
肝臓疾患を伴う妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)です。
この病気のやっかいなところは症状に気付きにくい。
母子ともに生命を脅かす病気で
妊娠継続を終了する(胎児を出す)以外に治療法がない。
妊娠後期に発症するケースがほとんどで
出産後に「実はHELLPにかかっていた」というケースも。

HELLPは肝機能に障害が出るので非常に血液が固まりにくい
出血しやすい&止血するまで時間がかかります。
産後の大量出血で子宮遺残物を除去しても
子宮内に圧迫バルーンを入れても、何をやっても止まらないので
最終的に子宮動脈塞栓術を行ったり
はたまた子宮摘出か!?なんてケースも。

これ、年齢に関係なく発症するので
18歳の産婦さん(気管挿管されていて意識なし)のお母さんに
「子宮動脈の塞栓でも出血が止まらなければ
 最終手段は子宮摘出になります」
なんて話さなければいけないのは本当に心が痛いです。
幸いこの患者さんは動脈塞栓で出血が止まったので
子宮摘出は免れたし
赤ちゃんは37週にまで達していたので
数日間NICUに入っただけで健康そのものでした。
一時はGCS 3でかなり危ない状態でしたが
状態が安定してからの回復は早く(若い!)
無事に退院していきました。

でも、HELLPは本当に怖いです。

残念な結果になってしまったケースもあって
2-3日間、頭痛や体調不良で寝込んでいた20代の妊婦さん。
家族の方が「これはおかしい」とERに連れてきた時には
ろれつも回らず意識が混濁。
気管挿管されてICUに入院。
エコーで胎児の状況を確認するも生死のほどは不明。
血圧は高く、肝機能は低下。
極度の凝血障害を発症しているため
止血が困難と推測される帝王切開は不可能。
誘発分娩で胎児を摘出するもののすでに亡くなっていました。
お母さんは意識がないので
赤ちゃんが産まれた事も、亡くなっている事も知りません。
極めつけには、
凝血障害による脳出血を起こして脳死判定が下りました。

アメリカ全土ではどうかわかりませんが
私の住む州では脳死=固体死(死亡判定)になるので
人工呼吸器から外されて完全にお亡くなりになられました。

医療従事者として
どんな患者さんでも最善を尽くして救命に当たります。
やはり3人の子供を持つ25歳は何としてでも救ってあげたかった。
どんな患者さんでも亡くなるのは辛いですが
3人の幼い子供の悲痛な叫びは本当に本当に辛いです。
普段は涙を見せることのない多くのICUナース達も
このケースは堪えるものがあって
涙ぐんでるナースあり。
子供達の声を聞くのが辛くてその場を離れるナースあり。
普段とは違う雰囲気の漂う1日となりました。

妊娠中は浮腫みやすかったり不調を訴えがちですが
少しでも異変を察知したら
医療機関を受診して欲しいと思います。
そして、ただ単に受診するだけでなく
血液検査など精密な検査を要求する姿勢も大切です。

HELLPはわりと最近教科書に載るようになった病気なので
15-20年選手のベテランナースのほうが
この病気を知らなかったりするんですよね(経験談)。
産婦人科医であれば「誰もが知ってるはず」と思いたいけど
意外と知らない産婦人科医もいるかもしれないし
内科を受診した場合なんかは
HELLPを知らない内科医がいる事は簡単に想像出来るので
患者としても医師に色々求める姿勢は必要だと思います。

いずれにせよHELLPが広く認知されて
重い症状で入院してくる患者さんが減ることを祈るばかりです。



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近況など

2016-01-20 03:09:37 | 【アメリカ】RN(看護師)
明けましておめでとうございます
そしてご無沙汰しております。

まずは私生活について。
娘は早くも8ヶ月になり順調に成長しています。
風邪を引くこともなく元気いっぱいで
あえて言うならば4ヶ月の予防接種で熱を出したくらい。
最近、娘の個性を実感する事が多いんですが
「おとなしい」「あまり強い意志の無い子」「あまり動かない子」
といった感じで(少なくとも今はね)



さすが私とまっちゃんの娘だわ(゜ロ゜;)
しかもダブルパンチで



とつくづく思っているところです。
図書館でやっているStory time(本の読み聞かせ)に行っても
同じような月齢の子はみんなハイハイして動き回ってるのに
うちの娘はジーッと見入って全然動きません
ハイハイはおろかずり這いすらしないので
座っているポジションから動けないってのもあるんですけどね(^^;)
ハイハイをしない根源は"うつ伏せになるのが嫌い"に尽きます。
うつ伏せにすると泣いて多少後ろに進むか
方向転換して違う方を向きます。
これ、本人が意識してやってるんじゃなくて
ジタバタして結果的にそうなっちゃてます。
発達障害といった印象は全くなく
テーブルなど寄りかかる物がある所に立たせると
しっかり掴まって1人で立っている事が出来ます
本人がうつ伏せを克服して
ズリ這いやハイハイが出来る事に気が付けば
きっと一気に動き出すんだろうな~と
娘なりの成長を温かく見守っているところです

仕事に関しては…
8月の仕事復帰以来ぼちぼちやってます。
ICU勤務も2年を過ぎ慣れたせいか
ちょっとした事では動じなくなり
自信を持って行動出来るようになってます。
今までも自分なりに考えてケアをしてきましたが
経験豊富なナースにセカンドオピニオンを求めて
自分の考えが最適なものであるかどうか、
他にもっと良い考えやプランがあるか聞くことが多かったんです。
急変の際も何をしたらいいか
パッと考えが浮かばずあたふたする事もあったんですが
最近ではサッと行動出来る自分に成長を感じています。
新米ICUナースに意見を求められる立場にもなりました。
ただ、まだ経験した事のない病状なども多いので日々精進です。


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仕事復帰

2015-08-05 06:30:30 | 【アメリカ】RN(看護師)
12週間の産休を経て仕事復帰しました

アサイメントは比較的安定した患者さんだったから
ケア自体は何事もなく、普通にする事が出来た
敢えて言えば、気管を抜管した患者さんが
即時に再度気管挿管になったくらい。
ケアよりも感覚を戻すのに時間を要したのはチャートの入力。
Excellentと入力するには「1」、Goodは「2」のキーを押す
みたいな項目があるんだけど、その数字を忘れてるから
いちいち確認して入力しなければならず
時間がかかる、かかる
でも、それ以外は特に困る事もなく仕事を終えられたので
結果オーライです

心配していた搾乳は...
出来れば3回したかったけど2回止まりでした
朝の出勤前(6時前後)に授乳&搾乳をし、
仕事場では10時と14時前後に搾乳。
本当は17-18時位にも搾乳したかったけど
この時間帯はいつも忙しいので出来ませんでした
搾乳の時間については再考の余地がありそう。

理想は3時間置きの9時、12時、15時、18時。
でもこれはぜーーーーーったい無理
12時と15時は可能としても
9時と18時は忙しい時間だから厳しい

次の理想として4時間置きの10時、14時、18時は
すでに試したけど18時がネックとなりダメだったので
4時間置きではないけど3回は確実に出来るように時間配分すると
10時、13時、16時が妥当な線
もちろん、患者さんありきの仕事なので
この時間通りには行かないし、
3回が2回、はたまた1回になってしまう日もあるかもしれない。
でも、出来る限り10-13-16時(±30分)で頑張りたいです

そして、搾乳場所問題は...
予定通りチャージナースのオフィスを使わせてもらいましたが
搾乳したい時に必ずしも搾乳出来ませんでした
えいやの他に搾乳しているNPが1人いるので
チャージナース、えいや、NPの3人で
オフィスの奪い合い(?)になってるんです
チャージナースがオフィスを使っていても
言えば部屋を空けてくれるんですが
えいや的には「チャージナースを追い出してる」感が拭えません
この点(↑)に関しては割り切るしかないんですが
申し訳ないなぁ・・・という心情は捨て切れませんね
NPとはお互いに声を掛け合って
時間が重ならないよう工夫をしようと思ってます

あと、えいやがいない間に職場で色々問題があって
それは産休中に同僚から聞いていたんですが
復帰2日目に結構大きいドラマがありました
まぁ、これについては後ほどブログ記事にしたいと思ってます。
一言で表すならば「うちの職場ヤバイね(σ ・∀・)σ」ってところかな


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仕事復帰を目前にして

2015-07-30 01:29:15 | 【アメリカ】RN(看護師)
5月初旬から入った産休も残すところ僅か。
いよいよ8月1日から仕事復帰です
いーやーだーよーーーうわーーーーーん

いやー、12週間ってあっと言う間ですね
子供のいる生活に慣れてきて
細切れながらも睡眠パターンを掴み
生活リズムが整うようになったと思ったら
もう仕事復帰
1年とは言わないまでも(そりゃ1年休めれば万々歳だけど)
6ヶ月位は育児に専念してみたかったかもー
最近の娘はよく笑ったり
色々な声を出してお話し(?)するようになったので
こういった日々の成長を毎日見れなくなるのは少し寂しいな~。
でも、毎日えいやかまっちゃんが面倒を見るので
成長のマイルストーン(初めてのハイハイとか歩き出した日とか)を
2人とも見逃すという事がないだけでも良しとします

今のところはデイケアなどに預けず
仕事のスケジュールをやり繰りして
夫婦2人で育児&面倒を見る事にしています。
まっちゃんが月~木で働いて
えいやが金~日の勤務という感じ。
これだと家族3人で1日過ごすという事が出来ないんですが
出来る限り自分達で面倒を見たいというのと、
高いデイケア代を考えて、当分は頑張っていこうと思っています。
交互に面倒を見ていく中で
「やっぱり家族3人の時間が必要だな」とか
「この面において不便だな」などの要素が出てきたら
デイケアにシフトしていく可能性も有りだとは思っています

仕事復帰にあたってですが
えいやは以下の事を準備しました。

【哺乳瓶に慣れさせる】
哺乳瓶を拒否する赤ちゃんもいるみたいですが
最初から母乳と粉ミルクの混合で育っている娘は
当然ながら哺乳瓶慣れしています
ただ、1日中哺乳瓶で飲むという経験はした事ないので
この変化に上手く順応してくれる事を願うばかりです

【母乳のストック】
復帰1ヶ月前から母乳のストックを始めました
1日に1-2回粉ミルクを飲んで貰い、その分の母乳を搾乳して冷凍保存。
娘に飲んでもらった後に搾乳保存したいのはヤマヤマなんですが
余るほど出ないのでこの方法に落ち着きました。
まっちゃんが面倒見ている間は
搾乳した母乳と粉ミルクを与えてもらう予定です。

【搾乳機の準備】

Medela社のPump In Style AdvancedというBreast pump(↑)を使っています。
オバマケアの改革により
保険会社は搾乳機をカバーするように義務付けられました。
えいやの保険では搾乳機が無料なので
評判の良いPump In Style Advancedを妊娠8ヶ月の頃に入手。
購入すると$250~300するので自己負担ゼロなのは嬉しい
電動で1度に両胸から搾乳出来ます。

あと、仕事用に搾乳&保存用のボトル(↑)を買い足しました。

普段はビニールの保存袋(↑)を使ってるんですが
仕事場で忙しい中搾乳していると
手間がかかる&こぼしたりするという意見があった為
搾乳してキャップすれば保存用にもなる
ボトルの方がいいかな~と思って。

搾乳機&備品を入れるバッグは持っているLeSportsacのバッグを使用。
保冷剤と保冷バッグは、出産した病院でもらった
Enfamil(粉ミルク)の試供品に付いてきた物を使用予定です。

【搾乳場所の確保】
うちの職場では搾乳専用の場所がありません。
オバマケアの改革で
雇用主は従業員に搾乳する時間&場所を与えなければいけないんですが
正直、どれだけの会社が専用部屋を設けているんですかね?
えいやの働くユニットでは
NPが1人、チャージナースのオフィスを使って搾乳しているので
えいやもその部屋を使わせて貰うつもりでいます。
誰にも見られる事なくプライベートで使えるスペースって
残念ながらここしかないんです

【搾乳時間の確保】
もうこれは、アサイメントやその日の忙しさ次第と言うか・・・
希望としては1日3-4回は搾乳したい
無理なら2回は強行突破してでも搾乳ですね
妊娠出産した同僚は何人もいるけど
不思議と搾乳しているのは見聞きした事ないんですよ
みんなどうしてたのか分からないけど
前例を作るという意味でも
何とか同僚に協力してもらって頑張るつもりです

【Brainの刷新】
患者さんの情報を自分なりに要約して書き込む紙があって
それをいつも携帯して患者さんのケアをしています。
その紙を失くしてしまったら自分の脳みそが無くなるくらい
色々な情報を書き込んでいるのでBrainと呼んでいるのです。
(実際に紛失してI lost my brain!!!と叫ぶ日もある
 ↑あ、でも後からちゃんと見つかりますよ~。
 本当に紛失したらHIPAA違反で怖い
ちなみに、えいやが勝手に付けた名前なので
普段の会話で使わないように注意してくださいね~

今まではプリセプターが作ってくれた物を使ってたんですが
それに少し手を加えて自分オリジナルにしてみました。
こういうのも時間のある今だからこそ出来る事ですよね。
(普段は家で仕事の事したくないし)


働く先輩ママの皆さん、業界・職種・在住国などに関わらず
アドバイス等あったら是非教えてください


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アメリカ同姓婚の合法化

2015-07-08 00:00:00 | 【アメリカ】RN(看護師)
1週間ほど前の事ですが
アメリカの連邦最高裁が同姓婚を全州で認める判断を下しました

今まで、結婚に関する法律は各州の方針によって定められており
同じアメリカという国でも
A州では同姓婚OKだけれども、B州では禁じられている、という状態でした。
これが国(全50州)を通して統一される事になります。

この最高裁の判断、RNとして働くえいやにも他人事ではありません。
ICUという職場柄、重篤な状態の方をたくさんお世話します。
患者さんが意識不明の場合、家族に治療の決定権があるわけですが
これが同性カップルだと複雑になる場合があるんです。

例えば、30年もの間パートナーとして一緒に住んでおり
事実上の夫・妻(配偶者)だとしても
法的な関係が無い為に治療方針の決定権が無い。
そうなると、患者さんの血族が決断を下すんですが
高齢だと親や兄弟姉妹は他界している事が多く、
また、子供がいない事がほとんど。
最終的に甥や姪、いとこ、はたまた甥・姪・いとこの子供などに連絡を入れて
どういった治療をするのか決めてもらうんですが
何十年も患者さんと会っていなかったり
遠い親戚であれば全く面識の無い場合もあります。

いきなり病院から連絡が来て「決断を」と言われても困りますよね?
目の前に30年連れ添っているパートナーがいるのに
パートナーには何の決定権もない。
色々もどかしいです、当事者も医療関係者も。

今回の同姓婚合法化によって
こういった弊害が解消されるのは喜ばしい事です


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