さて、「絵に関する仕事」というのは実はそんなにないです。
特に「絵を描く仕事」というのは少ないですね。
絵を「描く」仕事
●画家
●イラストレーター
●絵本作家
●アニメーター・アニメ背景画家
●漫画家
ちょっと変わったところでは
●警察内の似顔絵作家
などもあるようです。
一つ一つの仕事については、わかる限り(私がわかる部分ってほとんどないんですけど・・・)別に書きますね。
最後の警察については公務員になるので別とします。また、アニメーターも会社に所属しますので、別としますが、それ以外の仕事の共通点は、「ほぼ自営業である」ということと、「本当に1部の人間しかそれ専業では食べていけない」ということです。
この一部というのは、職業にもよりますが、「絵の上手な人が10人いたとしたらそのうち1人」というような生易しいレベルではなく、「何千人~何万人に1人」とかそういうレベルの話です。
よく、「1部の人しかなれない厳しい仕事なのはわかっていますが、目指したいんです!!」と言っている人がいますが、たいていそういう人はわかってません。
本当にわかっていて、その「1部の人」に自分がなれると思っている人は、中高生くらいから、すでに何らかの才能を発揮して、実際に活動をしてるもんなんですよ。
漫画やイラストや絵画なら受賞しているとか、すでにデビューしているとか、デビュー予備軍で担当がついてるとか。
最低でも、それくらいのレベルにいなければ、「そういう業界で一部の人になる」というのがどういうことかはまずわからないと思います。
そういう活動もしていない、実績もない人が「わかっています!!」とアピールしている場合、「自分が何をわかっていないのかすら、わかっていません!!」と言っているようなもんです。
近所の山すら登ったこともないのに「今からエベレストに登ります!厳しいのはわかっていますが、やる気はあります!頑張れば登れるはずです!!」と宣言しても、とうてい信用できないですよね。
近所の山にすら登ったことがない、登山経験がない人が登山の厳しさ・・・まして命に係るエベレストの厳しさの、何をわかっているというのでしょうか。
そしてやる気がある、頑張る、というなら、なぜ近所の山くらいに登っておかなかったのでしょうか。そんなに難しいことじゃないですよね?ちょっと調べて、ちょっと道具を揃えたら、できるはずのことです。
それすら自力でできなかった、あるいはやろうとしなかった人間が、「やる気はあります!!」と言って、誰が信じるでしょうか。
そして、こんな人がいきなりエベレストに挑戦したら、どうなってしまうでしょうか。
わかっていないならわかっていないでいいのです。
中高生くらいなら、わかっていないことがたくさんあるのは当たり前です。
怖いのは、わかっていないものをわかった気になっていることです。
自分がわかっていないと自覚できる人間は、自分の無知を知ったうえであれこれ準備したり努力することができます。
いきなりエベレストを目指すのではなく、まず近所の山に登る努力をするでしょうし、自分がひょっとしたらエベレストに到達できるような人間ではないかもしれないことも、うかつに挑戦すると命を落としてしまうことも、わかるでしょう。
自分の無知すら知らない人間は、そういう判断すらできません。
漫画を一作も描いたことがないような論外レベルの子が「厳しいのはわかっています!!」とドヤ顔で宣言しながら、漫画専門学校に入学して、数百万と自分の進路をドブに捨てる結果になったりするのは、そのせいです。
本当に厳しいのをわかっている人なら、専門に入学するような年齢で漫画を一作もかけなかった時点で、自分はその厳しい世界で生きていけるだけの才能も根性もないことはわかります。
才能も根性もないならないなりに、保険をかけながら目指すとか、諦めて別の道に行くとか、そういう判断ができるのです。
こういった仕事を本気で目指すなら、口先で何を言っても意味がないです。とにかく「実績」です。
「本気です」とか「努力します」とか口でいちいち言わなくていいので、自分が実際に何をしているのか、どういう結果を出しているのか、それはプロの世界で通用する結果なのか、常に意識しておきましょう。
また、才能においても努力においても実績においても、「人並み」「普通」レベルではまったくダメなことを理解しておきましょう。
「数千~数万人に一人になる」つもりなら、少なくとも何百人しかいない学校などでは、ダントツで一位でなければならないはずです。
あなたは今いる学校の中で、間違いなく一番絵が上手ですか?一番誰よりも努力していますか?何らかの社会的な評価を得ていますか?
もし、そうでないなら、そうなれるように必死で努力してください。
そして、「友達にほめられた」「親に上手って言われた」というレベルのところからさっさと抜け出して、プロの世界にアプローチして、プロの世界で評価を得るようにしてください。
まだ中学生だから、高校生だから、という甘えは捨ててください。
中学生でも高校生でもプロになる人はいます。「そういう人は特別な人だから自分とは違う」と思わないでください。
そういう特別な人しか生きていけない業界なんです。あなたが特別な人でないなら、最初から諦めてください。
中途半端な気持ちでエベレストに向かっても死ぬだけです。
あと・・・・こういう仕事を目指すにあたって、もう一つ非常に重要なことは、「実家が経済的に支援してくれる」「万一ダメだったときに実家のバックアップがある」ということです。実は。
たまに、母子家庭だったり実家が生活保護を受けてたりする人が、こういう道を志そうとしているのを見ます。なかには奨学金(借金)を受けてまで、イラストだか漫画だかの専門学校に行こうとしていたりする人がいます。
こういう道は、実力次第才能次第であるのは間違いないとはいえ、上記のように「ほとんどの人が食っていけない、食っていけるようになるような人でも、数年単位で食っていけない期間ができる」ような仕事です。
その「食っていけない」のをどうやって克服するかというと、ほとんどの場合実家の支援に頼るしかありません。
もちろん中には、複数バイトをこなしたりして、なんとか自力で生活しながらのしあがる人もいなくはないと思いますが、ただでさえ難易度がバカ高いこういった道で、さらに難易度がハネ上がるという恐ろしいことになります。
家が貧乏だから夢を諦めろとは言い難いのですが、よっぽどの才能を発揮していて、「これは数千人に1人くらいには確実になれる」という確信がある程度ない場合には、少なくとも借金してまで美術系の進路一本に絞るのはおすすめしません。
よっぽどの才能を発揮している人は、美大や芸大にトップの成績でパスできると思います。学費は無料になります(施設使用費とかは払わされるので、完全無料になるわけではないです)。せめてそれを目指してください。