消えないもの

今日、また小児病棟に新しい子が入院したみたいだった。
午後、地下のランドリーに洗濯物を取りに行く時、壮良の担当の先生が、書類をたくさん持って、院内学級の部屋に入って行った。
新しい患者がきたんだなー、と思った。部屋の前を通り過ぎる時、ちらっと見てみた。中には、患者のお父さんとお母さん(だと思う。)が、下を向いて座っていた。これから告知されるのだろう。きっと不安で不安でしょーがないんだろう。そう思った。

半年前、私もあそこにいた。別れた夫と一緒に告知を受けた。
「白血病です。」って言われた瞬間、涙がでた。あんな涙のでかたは初めてだった。じわじわ気持ちが苦しくなって、泣いたんじゃなかった。言われた瞬間に涙がこぼれたって感じだった。それから、感情が出てきたというか…。うまく言えないんだけど。

それから半年もたったのかー。早かったかも…。
でも、１年たっても、10年たっても、何年たっても、あの瞬間のことは忘れないだろうな。
忘れないどころか、いつも不安でいるはずなんだ。
壮良が退院して、幼稚園に行くようになっても、小学校に行くようになっても…。元気になって、いつも笑顔でいられるようになっても。私の心の中には、ずーっとあるんだ。
あの瞬間がまた来るかもしれない、という不安が。
『再発』ないとは言えない。
私がこの世を去るまでずーっと、私の心から消えない不安。