過去ログ７２より

[14162] 053:髪 ピッピ 2005年05月06日 (金) 22時02分
黒髪に鋏を入れるいのちから最も遠い血液ながれる

[14182] 024:チョコレート みにごん 2005年05月06日 (金) 23時12分
チョコレートパフェを完食した後は生きる意味とかどうでもいいし

[14188] 077:櫛 白玉だんご 2005年05月07日 (土) 00時00分
子の髪に櫛滑らせる背後からそっとつむじに手を置いてから

[14195] 083:キャベツ 白玉だんご 2005年05月07日 (土) 00時04分
地平よりフレンチナッツステッチのさみどりが来るキャベツ高原

[14199] 087:計画 白玉だんご 2005年05月07日 (土) 00時05分
計画は倒されるべく立てられるわら半紙上に七月半ば

[14204] 027:液体 佐藤理江 2005年05月07日 (土) 00時16分
健やかなまぶたの下をうるほはす色をもたない液体であれ

[14214] 097:静 白玉だんご 2005年05月07日 (土) 00時40分
送別の宴を終えて十八の彼の足取りふと静かなり

[14220] 061:じゃがいも 斉藤そよ 2005年05月07日 (土) 01時07分
玉手箱あければそこにじゃがいもの花が無限にひろがるでせう

[14225] 066:消 斉藤そよ 2005年05月07日 (土) 01時09分
消えてゆく雪をみているふきのとう無垢なよろこびひきついでいる

[14252] 097:静 はぼき 2005年05月07日 (土) 09時08分
ペンを置き静かに一つ息をつくＥメールではこうはいかない

[14257] 020:楽 桜井龍斗 2005年05月07日 (土) 09時11分
音楽は「音」を「楽しむ」はずなのに　君が縛るの　指で　ピアノで　

[14269] 056：松 津山　類 2005年05月07日 (土) 09時47分
堤防を走るダンプのために切る松一本の手討ちを見たり

[14287] 057:制服 今岡悦子 2005年05月07日 (土) 11時45分
ほとばしる水を治めて制服を今日も着たのか自転車の子は

[14298] 071:次元 あみー 2005年05月07日 (土) 13時36分
突き指の痛さときたら失恋がつらいとかいう次元ではない

[14316] 053:髪 暮夜宴 2005年05月07日 (土) 15時55分
シニヨンに髪結って君かけ出せば春はまるごと微笑むだろう

[14332] 038:横浜 美作直哉 2005年05月07日 (土) 17時43分
湯に浸り汽笛の和音に送られて横浜ゆらり年の瀬を越す

[14350] 008:鞄 百田きりん 2005年05月07日 (土) 20時26分
君がいるよりもうれしいこの部屋に君の鞄がころがっている

過去ログ７１より

[13981] 012:メガホン 紫峯 2005年05月04日 (水) 22時35分
一言も何も言わずに見つめ合う 二人の横に伏せたるメガホン

[13991] 059:十字 飛永京 2005年05月05日 (木) 00時08分
オルガンは葡萄十字を刻まれて終止線のないカノンを奏す

[14005] 046：泥 古内よう子 2005年05月05日 (木) 02時14分
泥棒に入られたような部屋にいる　犯人はたぶんあたしだと思う

[14012] 023:うさぎ 嶋本ユーキ 2005年05月05日 (木) 02時31分
その眼には映せぬほどの哀しみを宿したペットショップのうさぎ

[14018] 057:制服 野良ゆうき 2005年05月05日 (木) 09時12分
制服の男達（おとこ）のつくる長城の上を静かにわたりゆく風

[14030] 068:四 落合朱美 2005年05月05日 (木) 12時00分
かえりみち四月の雨の傘の中君と歩けば花の咲く　咲く

[14039] 060:影 青野ことり 2005年05月05日 (木) 12時58分
影踏みができないほどに日は淡く足の先から透けてきてゐる

[14046] 013:焦 ケビン・スタイン 2005年05月05日 (木) 13時38分
黒焦げのトーストにジャムを塗るみたい　怒ったままのあなたとのキス

[14061] 070:曲 あみー 2005年05月05日 (木) 17時21分
衝撃のあまり脳裏に鳴り響くバッハ作曲「鼻から牛乳」

[14066] 028:母 香乃 2005年05月05日 (木) 20時59分
戻りゆく日が来る時を母は知り娘の布団客間に敷く夜

[14073] 058:剣 ジテンふみお 2005年05月05日 (木) 21時47分
アナログの剣がタンスを貫いて一年を告ぐ形見の時計

[14098] 052:螺旋 もりたともこ 2005年05月05日 (木) 23時34分
子孫など残すべきではないのかもしれぬ螺旋の奥に傷あり

[14102] 093:ナイフ ベティ 2005年05月05日 (木) 23時50分
ナイフより爪が貴方を抉ります　浅い傷には情愛の　毒

[14116] 050:変 原田　町 2005年05月06日 (金) 09時00分
明日もまた変事なきこと信じつつ二合の米を磨いで眠らん

[14127] 094:進 寺川育世 2005年05月06日 (金) 11時35分
茫茫と桃の花咲きこの国に眩暈のやうな行進つづく

[14130] 097:静 寺川育世 2005年05月06日 (金) 11時37分
てのひらがどんどんうすくなる夕べ静脈に銀貨奔りゆくみゆ

[14144] 002:色 魅弥華韻 2005年05月06日 (金) 17時04分
くちびるの色にかさなるくちべにの色のかすかに夕まぐれゆく

[14150] 048:袖 ピッピ 2005年05月06日 (金) 20時33分
インリンのM字開脚袖口に見える少女を誰も知らない

過去ログ７０より

[13771] 099:動 吉野楓子 2005年05月01日 (日) 21時59分
もはやもう流動食も飲み込めぬ父の寝顔のひたすらに優し

[13783] 094:進 麻生智矩 2005年05月02日 (月) 00時04分
進めずにセルから風をときはなつ　船はどこまで流れるだろう

[13805] 018:教室 佐原みつる 2005年05月02日 (月) 19時51分
はつなつの書道教室Ｔシャツの柄は墨汁にて描かれる

[13813] 010:線路 紫峯 2005年05月02日 (月) 21時05分
無人駅暮れて線路は途絶えたる　ただしろじろとホーム残して

[13814] 038:横浜 田丸まひる 2005年05月02日 (月) 21時05分
巻き戻しなんかできない一瞬を観覧車からこぼす横浜

[13818] 040:おとうと きじとら猫 2005年05月02日 (月) 21時28分
無職とは無色のように生きることおとうと達は静かに微笑（わら）う

[13826] 041:迷 みあ 2005年05月02日 (月) 23時28分
おととしの海で迷子のむぎわらぼう まだ「さようなら」言えぬ　さよなら

[13835] 093:ナイフ 林本ひろみ 2005年05月03日 (火) 01時17分
夕闇を銀のナイフで切り開くまだ誰も見ぬ朝が見たくて

[13858] 059:十字 すずめ 2005年05月03日 (火) 14時08分
選択の自由は前後左右だけ飛ぶも潜るもならぬ十字路

[13877] 057:制服 ジテンふみお 2005年05月03日 (火) 20時26分
五月だけ胸のすずらん制服の一部とみなし許可致します

[13909] 040:おとうと やまもとまき 2005年05月03日 (火) 23時47分
おとうとの手を引いて乗る市バスには濡れた魚の匂いが満ちて

[13946] 028:母 内田かおり 2005年05月04日 (水) 09時31分
木漏れ日を浴びて居りしか母の胸のところどころの透明揺るる

過去ログ６９より

[13567] 015:友 嶋本ユーキ 2005年04月29日 (金) 05時05分
弧を描き月は銀河に突き刺さる友のあの日の言葉のように

[13574] 029ならずもの 松山宮崎 2005年04月29日 (金) 10時15分
鶏はならずものです夕陽射す土間で突然雄叫びあげる

[13582] 027:液体 近藤かすみ 2005年04月29日 (金) 11時48分
身のうちに孕む液体幾種類いま大空をジェット機は行く

[13586] 012:メガホン R 2005年04月29日 (金) 12時30分
試合後のグランドのただ一点を見つめて握る青いメガホン

[13599] 010：線路 高見里香 2005年04月29日 (金) 17時11分
プラレールの線路の先に願わくばあかるいカーブを組み立ててみる

[13604] 044:香 野良ゆうき 2005年04月29日 (金) 17時48分
古本の香のたちこめて五月雨の店の奥にも時は流れる

[13610] 037:汗 ぴいちゃん 2005年04月29日 (金) 20時08分
泣きやんだ子の首すじにうっすらと残りし汗を夕風撫でる

[13619] 048:袖 野良ゆうき 2005年04月29日 (金) 20時56分
からみつく中途半端な七分袖うでまくりして　にせものの夏

[13627] 081:洗濯 吉野楓子 2005年04月29日 (金) 21時34分
股下と胴回りとは比例せぬＧパン二本洗濯し干す

[13631] 062:風邪 中村悦子 2005年04月29日 (金) 22時02分
羨しきはウイルスたちのしたたかさ春一番の風ならぬ風邪

[13635] 053:髪 ジテンふみお 2005年04月29日 (金) 22時51分
挨拶も無しで去りゆく髪の毛に贈る言葉はありませんから

[13638] 056:松 ジテンふみお 2005年04月29日 (金) 22時53分
姉妹してみどりの日には何してる五月みどりと小松みどりは

[13672] ０２１．うたた寝 森田直也 2005年04月30日 (土) 18時11分
うたた寝に目覚めてみれば「笑点」が始まっていた悲しき日曜

[13674] 045:パズル 仁村瑞紀 2005年04月30日 (土) 19時57分
ワンワード空欄にしておくパズル解くかどうかは君の自由だ

[13717] 040:おとうと みあ 2005年05月01日 (日) 07時36分
おとうとの子（らしい）君をすくいあげ抱けばあわ立つ細胞（ふしぎ）

[13728] 080:書 はぼき 2005年05月01日 (日) 12時44分
「幸せの足音がした」そう書いた日記のページ破って捨てる

[13753] 008:鞄 岩崎恵 2005年05月01日 (日) 19時51分
渡せなくなると思わなかったから鞄で眠り続ける手紙

[13763] 092:届 吉野楓子 2005年05月01日 (日) 21時38分
母子手帳こわごわ貰う今度こそ無事に育てと妊娠届

過去ログ６８より

[13380] 033:魚 前野真左子 2005年04月26日 (火) 17時43分
独りなる身を映しゐる川底の魚影にひとつ小石蹴りこむ

[13411] 026:蜘蛛 林　ゆみ 2005年04月27日 (水) 01時13分
「女郎蜘蛛」「背赤後家蜘蛛」クモの名は何故に悲しい女を選ぶ

[13424] 037:汗 武山千鶴 2005年04月27日 (水) 10時22分
手のひらの冷たい汗を感じつつ申し開きの下書きをする

[13441] 048:袖 もりたともこ 2005年04月27日 (水) 15時45分
ゆびさきがオレンジいろの袖口に触れて痺れてずっと痛くて

[13451] 032:乾電池 如月初香 2005年04月27日 (水) 20時26分
乾電池ごとりと大きな音たてて回収箱の底に着地す

[13487] 061:じゃがいも あみー 2005年04月28日 (木) 06時44分
じゃがりこの「じゃが」はじゃがいもだろうけど、「りこ」って何だ？ねえ、玖保キリコ

[13498] 052:螺旋 織田香寿子 2005年04月28日 (木) 09時16分
吹き荒れる螺旋の雪よ雷よ自然の力突き付けて冬

[13518] 019:アラビア 玉弐家荷禄 2005年04月28日 (木) 12時32分
声明のどっから読むのかアラビア文字で宣戦布告がやってくる

[13537] 032:乾電池 emi 2005年04月28日 (木) 22時32分
直列につなげなかった乾電池の陽極そおっと触れれば朝

[13541] 053:髪 飛永京 2005年04月28日 (木) 23時13分
満ち潮になびく甘藻はジュゴンらがいつかなくした緑の黒髪

[13550] 028:母 玉弐家荷禄 2005年04月28日 (木) 23時26分
ありがとうだけで済ませている母の日の母にそれでもありがとう

[13558] 028:母 林　ゆみ 2005年04月29日 (金) 01時04分
給食をむさぼるタクの母親は昨夜も今朝も戻って来ない

過去ログ６７より

[13168] 011:都 青山みのり 2005年04月23日 (土) 22時30分
東京都出身佐々木監督の微妙な三河訛りのぬくみ

[13181] 037:汗 今岡悦子 2005年04月23日 (土) 23時20分
降壇の牧師は残すてのひらの置かれたあたりに汗の雫を

[13188] 025:泳 林　ゆみ 2005年04月24日 (日) 00時29分
迷わないもう戻らないスクランブル交差点を泳ぎ切ったら

[13192] 018:教室 温 2005年04月24日 (日) 02時44分
教室で数学的に考えたあたしと君はねじれの関係

[13205] 018:教室 花月　香 2005年04月24日 (日) 12時50分
好きですと言えばよかった教室で何も言えずにサヨナラした君

[13221] 003:つぼみ 文平字 2005年04月24日 (日) 18時57分
終末の風　凍らざる砂の血をもつ虫螻がつぼみを抉（ゑぐ）る

[13239] 031:盗 emi 2005年04月24日 (日) 22時17分
黒揚羽が盗んだ花なのかもしれないこんなに夜を騙し続けて

[13250] 054:靴下 斉藤そよ 2005年04月24日 (日) 23時44分
もうほかにすることもなく靴下に片っぽうずつあてるアイロン　

[13258] 038:横浜 丸井真希 2005年04月25日 (月) 00時20分
いつだって夜景で光る横浜の海にだったら沈んでもいい

[13263] 060:影 落合朱美 2005年04月25日 (月) 01時14分
亡き祖父の遺影の前の座布団にポチは座ってくぅんと鳴いた

[13287] 086:占 寺川育世 2005年04月25日 (月) 11時40分
転生は無いものとして仰ぐときただ一色に占めらるる空

[13301] 043:馬 ピッピ 2005年04月25日 (月) 16時33分
馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬青空に立つ砂のしずかさ

[13315] 038:横浜 上澄眠 2005年04月25日 (月) 22時03分
横浜に行ったらほんとに恋人になってしまうよねえ帰ろうよ

[13321] 050:変 飛永京 2005年04月25日 (月) 22時37分
今ごろは実のひとつくらい成してるか私の愛した唐変木は

[13334] 068:四 はぼき 2005年04月26日 (火) 00時11分
この丸い地球のどこかその景色四角く切られ絵葉書の中

[13345] 013:焦 嶋本ユーキ 2005年04月26日 (火) 01時13分
焦点がズレたまんまの議事録が積み重なりて産んだ不祥事

過去ログ６６より

[12976] 057:制服 秋中弥典 2005年04月21日 (木) 15時21分
はつなつに制服のシャツまぶしくてあと一枚がこんなに遠い

[13001] 017:陸 ワタナベケンタ 2005年04月21日 (木) 22時04分
海辺から見つめた陸（おか）はバスケットボール・バケーション駆け抜けた青

[13023] 054:靴下　 落合朱美 2005年04月21日 (木) 22時55分
靴下のほころび見つけて気後れし　つまり　あの　その　彼の部屋の前

[13028] 056:松 落合朱美 2005年04月21日 (木) 22時57分
見目良くてお茶目な男は好まれる　そうねたとえば松平健

[13041] 097:静 りり 2005年04月21日 (木) 23時05分
一瞬のざわめき静まるホラ今ね天使が通ったからなんだよ

[13050] 084:林 ベティ 2005年04月21日 (木) 23時51分
林道に棄ておかれたる少女あり半裸の胸で月が啼いてる

[13053] 006：時 美里和香慧 2005年04月22日 (金) 00時14分
やわらかくうつむきかけた時間【とき】のよこぼくはあなたをみつけるのです

[13063] 040:おとうと 愛観 2005年04月22日 (金) 01時15分
惹かれていく気持ち牽制する言葉「おとうとみたい」と繰り返している

[13073] 037:汗 ピッピ 2005年04月22日 (金) 10時29分
汗をかく顔文字ばかり使ってるそんなに急いで生きてないのに

[13081] 012:メガホン 田咲碕 2005年04月22日 (金) 17時21分
べこぼこのメガホンと狂う真夏の日　ついに球児が年下になる

[13092] 041:迷 暮夜宴 2005年04月22日 (金) 20時12分
今日もまたグレーの街で迷子なりニャンニャン泣いても可愛かねーし

[13110] 042:官僚 仁村瑞紀 2005年04月22日 (金) 23時02分
今朝彼は飛んでしまった　官僚という呪縛から解き放たれて

[13122] 057:制服 あみー 2005年04月23日 (土) 03時26分
いい加減トシなんだけど制服が似合ってしまうという問題

[13131] 049:ワイン すずめ 2005年04月23日 (土) 13時26分
テーブルの隔たりよりもなお遠いワインに透ける君を呑み干す

[13159] 062:風邪 中澤あけみ 2005年04月23日 (土) 21時38分
風邪ひきの吾子を残して仕事場へ向かふ体の重かつたこと

過去ログ６５より

[12771] 070:曲 麻生智矩 2005年04月19日 (火) 07時57分
七曲署の朽ちかけた壁暖めてFマイナーの陽が沈みゆく

[12781] 055:ラーメン 秋中弥典 2005年04月19日 (火) 13時20分
すれ違う例えば君はラーメンをフォークで食べる生活をする

[12795] 067:スーツ 有田里絵 2005年04月19日 (火) 16時48分
見慣れないスーツたくさんかけてある　あなたと暮らし始めた証拠

[12805] 032:乾電池 三宅やよい 2005年04月19日 (火) 21時31分
ぬばたまの夜の交尾にあたたかく充たされてゆく乾電池など

[12813] 022:弓 林　ゆみ 2005年04月19日 (火) 22時00分
弓形に眉ひく夕べ嘘をつくことも時には必要だから

[12844] 024:チョコレート 櫂未知子 2005年04月20日 (水) 01時36分
ぐつたりと折り目失ふチョコレートゆゑに葉桜奪ひに行くも

[12860] 045:パズル 青野ことり 2005年04月20日 (水) 13時09分
形あるものの無常を愁ひつつパズルの欠片(ピース)散らかしてゐる

[12883] 034:背中 やまもとまき 2005年04月20日 (水) 21時34分
晩酌の父の背中に貼りついて囁く「結婚したいひとがいる」

[12897] 045:パズル 飛永京 2005年04月20日 (水) 22時28分
その先はもう埋めないで曼陀羅華パズルは少し残すのがいい

[12907] 018:教室 椎名時慈 2005年04月21日 (木) 00時25分
教室の窓から見える講堂の屋根には錆びた「革命」の文字

[12926] 085:胸騒ぎ 武田ますみ 2005年04月21日 (木) 09時42分
エスカレーター上リゆく時の胸騒ぎもう二度と下ることのないような

[12930] 089:巻 武田ますみ 2005年04月21日 (木) 09時44分
「す」の文字のくるんと巻いたその辺りするするほどけて糸屑となる

[12940] 028:母 宵月冴音 2005年04月21日 (木) 11時05分
洗い場に立つたまづさの妹は母の何かを受け継いでいく

[12946] 069:花束 廣西昌也 2005年04月21日 (木) 13時00分
山一つ花束のよう春爛けて一子の眠る遠いふるさと

過去ログ６４より

[12599] 079:ぬいぐるみ ベティ 2005年04月17日 (日) 23時00分
添い寝ならぬいぐるみとで十分よシーツの温度ぬるくしないで！

[12604] 040:おとうと 萱野芙蓉 2005年04月17日 (日) 23時23分
ねえさんと呼ばなくなつたおとうとに栗剥いてやるみどりの月下

[12608] 021:うたた寝 やまもとなおこ 2005年04月17日 (日) 23時46分
たくろう（二歳）。社長の椅子によじ登り、ふんぞりかえってうたた寝をする。

[12620] 004：淡 美里和香慧 2005年04月18日 (月) 01時58分
淡い泡あわいあわあわあわわわわあわにまみれて淡くばうんど

[12652] 083:キャベツ 林本ひろみ 2005年04月18日 (月) 15時56分
ハムスターキャベツの葉っぱつかまえる薄桃色のけなげな前足

[12668] 056:松 唐津いづみ 2005年04月18日 (月) 18時28分
連絡船と高松港をつなぐ虹　紙テープの尾がとけゆく海に

[12682] 010:線路 R 2005年04月18日 (月) 20時16分
君の住む街へと続く線路には菜の花色の電車が走る

[12702] 046:泥　 kitten 2005年04月18日 (月) 23時07分
間引かれしゆゑに一生泥沼の寺山地獄・・・（以下省略します）　

[12725] 023:うさぎ 露稀 2005年04月19日 (火) 01時20分
あたしより飼ってたうさぎの死を嘆く　多分あんたはそういう男。

[12746] 020:楽 紅月みゆき 2005年04月19日 (火) 01時51分
弦楽のやうに触れ合ふ午後のため静かに一日を降る紫木蓮

[12766] 021:うたた寝 小林成子 2005年04月19日 (火) 06時41分
北山もさくらに満てり身のめぐり乳色になる春のうたた寝

過去ログ６３より

[12378] 039:紫 ジテンふみお 2005年04月15日 (金) 21時51分
紫のいろえんぴつが尖るのはなすびが嫌という証拠です

なすびがお嫌いなんですね。
こじつけたところがおもしろいです。

[12395] 040:おとうと 飛永京 2005年04月15日 (金) 22時58分
おとうとのあさがおきょうもさかなくてひとりふいてるしょぼーん玉

しょぼーん玉が妙に哀愁を漂わせます。

[12415] 023:うさぎ 海神いさな。 2005年04月16日 (土) 01時38分
さみしくて死んだりしません野うさぎは　けれどあたしは飼われたうさぎ、で

さみしくて死んじゃうんですよね。
終止形にせずに「で」で続けたことで、余韻が出ていいと思いました。
本当はもっともっと言いたいことがいっぱいあるのでは？
なーんて思えます。

[12420] 022:弓 秋月祐一 2005年04月16日 (土) 02時34分
ふうはりと大島弓子の絵のなかを吹きくるかぜにそよぐ前髪

大島弓子の絵はなぜあんなにも春なのでしょうね。

[12424] 035:禁 今岡悦子 2005年04月16日 (土) 07時39分
禁じ手と知りつつ剥がすかさぶたに血が滲みたりまだ生きている

かさぶたをまるで異生物のように捕らえたところが見事です。

[12451] 014:主義 花月　香 2005年04月16日 (土) 16時45分
ぼんやりと寝床で聞いた主義主張時折大きくいびきをかく君

主義主張しながら、時たま寝ちゃうのですね。
ぼんやりと聞いている方は、起きているというのに。

[12456] 034:背中 みあ 2005年04月16日 (土) 19時30分
とうさんの背中はいつもまっすぐに空へのびてる 悲しいくらい

凛としたお父様の姿が浮かびます。
父とはいつも大きな大きな存在ですね、空のように。

[12470] 027:液体 西村玲美 2005年04月16日 (土) 20時54分
春なれば我が身を保つ液体はふつりふつりと穴よりこぼる

春だから余計に液化しているのでしょうか。
とても、「春」のけだるさを表していると思いました。

[12489] 019:アラビア みち。 2005年04月16日 (土) 22時46分
アラビアのいのち。ナイジェリアのいのち。ニホンのいのち。アメリカのいのち。

同じ言葉の羅列なのですが、すごく心を打たれました。

[12495] 041:迷 飛永京 2005年04月16日 (土) 23時25分
奥美濃は楮(こうぞ)三椏(みつまた)迷い路 牛に曳かれて風に梳かれて

調べがよくて、まるで何かの歌のような短歌だと思いました。

[12524] 037:汗 吉田貴美子 2005年04月17日 (日) 07時08分
深夜まで帰り来ぬ子の顔文字は冷や汗流し頭下げいる

ふふ、今しか詠めないお歌ですね。
顔文字を詠んだ歌はたくさんありますが、「冷や汗流し」はとても
かわいらしいと思います。

[12532] 045:パズル 落合朱美 2005年04月17日 (日) 10時27分
家中を闊歩するのは許すけどジグソーパズルを踏むなよ。こらポチ！

ポチの第二弾ですね。
前作もそうだったのですが、とても生き生きとお家での日常が
描かれています。

[12569] 45:パズル　 kitten 2005年04月17日 (日) 20時06分
彼女のワンピース脱がしたらパズルが壊れるようなプロポーション！

抑えられていたものが、溢れてきたのですね（笑
おもしろすぎます。