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IT分野も

2016-03-01 08:50:18 | 日記

大きく変わろうとしているようです。

 

 

大変革? 「The Machine」はこれまでのコンピュータと“何”が違うのか

@IT 3月1日(火)7時10分配信

The Machineの開発の背景を物語る、今後爆発的に増えるデータ量の推移

この連載は……


 近年、さまざまな技術トレンドが注目され、ニュースとして盛んに取り上げられています。それらは社会、企業に対してどのようなインパクトを及ぼすのでしょう。

ベンダーを中心としたプレーヤーたちは何を狙いとしているのでしょう。


 それらのニュースから一歩踏み込んで、キーワードの“真相”と“裏側”を聞き出す本連載。今回は「The Machine」を取り上げます。

【その他の画像】つまり、「データそのもの」を中心にしたアーキテクチャ、とはどういうことか

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 「従来のコンピュータアーキテクチャでは、近い将来、ビッグデータやクラウドネイティブ時代の本格的な活用に対応できなくなる。その強い問題意識の下、

私たちはコンピュータの在り方を根本から見直し、アーキテクチャを一新したThe Machineを開発している。The Machineによって、飛躍的な性能向上を果たしながら、

実は世界的に喫緊の課題である消費電力を劇的に抑えられるようになる。例えば、現在世界最速を争っているスーパーコンピュータと比べると、

同等のコストで、4~5倍の性能を、数十分の1の消費電力で実現できるようになる」

 表題の疑問にこう答えてくれたのは、日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)のThe Machineエバンジェリストである三宅祐典氏だ。

今回は、HPEが次世代のコンピュータアーキテクチャと銘打って開発を進めている「The Machine」に注目し、三宅氏と同社の

ミッションクリティカルサーバテクノロジーエバンジェリストである山中伸吾氏にその背景や真意を聞いていく。

●現在のコンピュータでは、もう対応できなくなる

 まず、「従来のコンピュータでは近い将来、ビッグデータの本格的な活用に対応できなくなる」とはどういうことか。三宅氏は次のように説明してくれた。

 「現在のコンピュータアーキテクチャのままでは、単体の性能向上にもはや限界があると私たちは見ている。全世界のデータ量は

今後、2年で約2倍のペースで爆発的に増えていく。これに対応するために、単体では性能が上がらないコンピュータを並列にたくさんつなげるなどの方法で

対処しているのが現状だ。しかし、そうすると消費電力が跳ね上がるジレンマに陥ってしまう」(三宅氏)

 そうした状況を打開するために、HPEは根本であるアーキテクチャを一新する必要があると説いている。

 では、どのように一新されるのか。三宅氏と山中氏の説明をもとにポイントを探っていこう。

●キーワードは「ユニバーサルメモリ」「フォトニクス」「SoC」

 現在のコンピュータは、プロセッサ(CPU)を中心に、メモリ(DRAM)とストレージ(HDDやSSD、テープなど)を構成するのが基本設計となっている。

データやプログラムの記録媒体としてメモリとストレージの2種類が使われてきたのは、高速だが容量が少ないメモリを、低速だが容量の

大きなストレージが補う関係にあったこと、そして、DRAMは電源の供給が途絶えるとその内容を失ってしまうことから、電源が切れてもデータやプログラムを

保存しておける不揮発性ストレージが必要だったからだ。

 処理速度の観点で見ると、DRAMに比べてHDDは格段に遅い。CPUがどれだけ速くなっても、全体の構造としてHDDの速度がボトルネックになってしまう。

最近はNANDフラッシュメモリを使うSSDが普及し、速度面の課題はかなり改善されたものの、DRAMの速度に達するまで高速になったわけではない。

 この課題を根本から解消するために、HPEは「DRAM並みの速度で、HDD並みの容量を持つ不揮発性の記録媒体」が必要だと考えた。そこで生み出されたのが、

メモリとストレージを一体にした「ユニバーサルメモリ」という記録媒体だ。このユニバーサルメモリには、次世代の不揮発性メモリとして

HPEが研究開発を進めてきた「メモリスタ(Memoristor)」と呼ばれる素子が適用される。

 さらに処理速度の観点で、現在のコンピュータにはもう一つ大きな課題がある。それは、プロセッサとメモリおよびストレージの間が「銅線」で結ばれていることだ。

銅線が持つ物理的な処理速度と通信可能な距離の限界を超える。

 そこでHPEが採用したのが「フォトニクス(Photonics)」、すなわち光通信だ。フォトニクスでのネットワークによってプロセッサとユニバーサルメモリを結び、

処理速度の限界と距離の課題解決を図る。

 メモリ+ストレージからユニバーサルメモリへ、銅線からフォトニクスへ。この転換は、処理速度の向上だけでなく、今後のエネルギー問題に直結する

「消費電力の削減」にも極めて効果的だという。この消費電力の削減に向けて、HPEはもう一つ新たな、そして大きな取り組みを行う。プロセッサを

汎用CPU(Xeonプロセッサーなど)ではなく、用途特化型の「SoC(System on Chip)」を適用するというものだ。

 この背景には、ここにきてSoCの性能が大きく向上してきたことがある。このSoCを用途に応じて適材適所に使うことでプロセッサの稼働効率を高め、

結果として消費電力の削減を図ろうというわけだ。これは「何でもできる汎用CPUの無駄を取り除く」という発想でもある。

 The Machineは、これまで説明してきた取り組みを全て実現したものとなる。キーワードを挙げるならば、「ユニバーサルメモリ(メモリスタ)」「フォトニクス」「SoC」の

3つである。

 さて、これらはそれぞれに新しい取り組みだが、あくまで個別の構成要素や技術の話だ。筆者が知りたいのは、「ではThe Machineは、

どのような新しいコンピューティングを実現しようとしているのか」である。

●プロセッサ中心から、「メモリ主導型」のコンピューティングへ

 三宅氏によると、The Machineの核心は「これまでのコンピューティングの在り方を、プロセッサ中心から、メモリ主導型に変えることにある」という。

 つまり、ユニバーサルメモリに複数のSoCをフォトニクスでつなげることで、「データそのもの(の取り扱い)」を中心にしたアーキテクチャを実現しようとしている。

 こうして現在のコンピュータの基本構造を一新することにより、ユーザーの得られるメリットを語ったのが三宅氏の冒頭の発言である。

 もう一つ気になるのは、こうした新しいアーキテクチャのハードウェアに対して、それを動かすソフトウェア環境が整備できるのかどうかだ。

かつて(1990年代)プロセッサを多数搭載した超並列処理コンピュータ(マシン)が脚光を浴びたことがあったが、対応できるソフトウェアが出揃わず、

普及しなかった歴史がある。内容は異なるが、どんなに斬新なハードウェアでも、それを生かすソフトウェアがそろわなければ何の意味もない。

 The Machineが目指すソフトウェア環境も既に示されている。とりわけOSについては、Linuxのカスタマイズ版が開発されているようだ。

HPEでは今後、これらをオープンソースソフトウェアとして積極的に公開し、ソフトウェア開発環境を拡充していく意向だ。

●IT担当者はどう向き合うべきか:インメモリデータベース上での開発を経験せよ

 では今後、企業のITインフラ担当者やアプリケーション開発者が、2020年以降に登場するThe Machineに対応していこうと考えるならば、

どんなことに注目して準備すればよいだろうか。

 三宅氏は、「開発環境ということで言えば、ここにきて活用されるようになってきたインメモリデータベース上での開発を経験しておくと、

The Machineを活用する近道になる」という。その意味では、ユニバーサルメモリはインメモリデータベースのさらなる進化形といえるかもしれない。

 The Machineは、2014年6月に基本構想が発表され、2015年12月に大まかな概要が明らかになった。ビッグデータ活用時代に向けて、

コンピュータのアーキテクチャを一新するということで注目度が高まっているが、2016年現在、商品化までにあと4年かかる予定とするところに技術開発の難しさは感じ取れる。

 HPEが「The Computer」ではなく「The Machine」と呼ぶ理由は、新たなアーキテクチャを“現在のコンピュータの進化形”とする概念だけでなく、

どんなサイズのデバイスにも適用できる可能性があるからだ。山中氏は「HPEは、The Machineに社運を懸けている」と力を込める。

これまでコンピュータ業界を引っぱってきたHPEの新たな発想力と技術力が、あらためて試されているといえそうだ。

●筆者 松岡功:ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、

コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。

 

(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、

『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。Facebook