週案と副校長
私が小学校1,2年の算数講師をしていた時、週の学習計画欄の横に、
前週の授業の反省、前週の授業で起こった面白いことや考えさせられたこと、
今週の授業への意気込み、今週の授業のねらいなど、自由に感想や意見を書いていた。
その感想や意見に対して、毎週 副校長が返事を書いてくれた。
副校長は朝から夜まで忙しく、私は他の学校の講師を掛け持ちしたり、
両親の介護をしたりして忙しく、お互いに落ち着いて話をする時間は無かった。
直接、言葉を交わす時間は少なかったが、この週案の言葉のやりとりで、
いつも今の自分の授業に対する思いや情熱を持ち続けていくことができた。
それは、副校長の書いてくださる言葉が、
①共感に満ちている
②こちらの迷いに方向を示してくれる
③おもしろい!と興味を示してくれる
④やる気を出させてくれる
言葉だからです。
学校は、子どもも教職員も、希望いっぱいの明るい場所ですが、
いろいろな問題を抱える、緊張した混乱した、
みんなギリギリの状態の場所でもあります。
緊迫した、抱えきれないほどの大変なことと、日々向き合う
気力や元気を 副校長からいただきました。
50歳という若さで、突然亡くなった副校長先生。
先生への感謝と尊敬を込めて、週案での2人のやりとりを書きます。
しばらくの間、このブログでやり取りの言葉を紹介します。
1月中旬
算数講師のつぶやき
「先週、金曜日から1年生は、『おおきいかず』の学習がスタートした。
金曜日の授業では、
① 数唱(1とび→10とび)
② 数唱(分担読み)
③ 数え方(みんなで)
④ 数え方(ひとりで)
⑤『一のくらい』『十のくらい』の言葉
という順番で学習した。
とてもおもしろかったのは・・・
数唱で、先生と児童がくらいを分けて読んだところ、
28 先生『にじゅう』 児童『はち』
29 先生『にじゅう』 児童『く』
30 先生『さんじゅう』児童『れい』『ゼロ』
この後、ざわつく教室・・・『あれ?』『変だよ』
児童の意見を聞きました。
先生が『さん』と言って、児童が『じゅう』と言う。
先生が『さんじゅう』と言い、児童は『・・・』何も言わない。
意見が分かれました。
そこで、30の次の数、31を言ってみた。
先生『さんじゅう』 児童『いち』
その瞬間、Kさんが、膝をたたいて『分かった!』
『30の0は、何も言わない。!』
一のくらいと十のくらいを分けて読む数唱から、
位の空位は読まないと分かった瞬間でした。!(^^)!
副校長のコメント
「おもしろいですね。
このゲームを通して、一の位には、何もないことが分かりますね。
先生が教えれば、一言で終わってしまうところですが、この活動を
することで、教えることができるようになり、よりよい学びとなるのですね。
小学校はこうありたいですね。」
1月下旬
算数講師のつぶやき
「Y先生からいただいた資料、算数習熟度調査を見た。
ちょうど今、学習している『数のしくみ』
のところの理解が落ち込んでいた。
数のしくみの概念を定着させるために
① カードで数の合成・分解
② 1とび、5とび、10とび、100とびの数唱
③ 4けたの数の位表で、合成・分解
④ 身近なお金で数のまとまり
など指導の工夫をしてみた。
児童の理解度は どうだろう・・・
難しいのは、空位。
『四千二十五』➡『4215』
『1000を3こ、10を4こ』➡『13004』
という誤答。(;´д`)トホホ
副校長のコメント
「位取り表をしつこく使うことで、空位に対する意識をもてると思い、
いつも 小さく印刷して切った位取り表を準備して、教室に
置いておくようにしました。
また、10のかたまりで、上の位へ行くことを、具体物の操作で
身に着けさせることも大切ですね。
手がかかっても、一手間二手間をかけていきたいですね。」