日記 世空(よぞら)
フクロウが鳴いてる!
と、誰かが私の背後から驚いてそう言ったものだから、私は、彼女の指し示す方角へ振り返りながら、青白く薄明るい夜空を見上げたのであった。
その時、偶然にも、流れ星が弧を描きながら山の上へ落ちてった。焦点を合わす間もないことであったけれど、薄黄色の細い光線は、
確かに、私の眼中に息をのむ速さで、見慣れた夜空を駆け抜けて行ったのであった。
私は、ホーホーと、民家の屋根に鳴り渡る声を、これがフクロウの鳴き声かと、忘れてしまわぬよう心に刻みながら、何度となく、さっき見上げたばかりの、無音の流れ星のメッセージに、ひとり想いを馳せているのであった。
その流れ星は、まるで私が振り向くのを知ってたかのように見計らって、最後の光をこの世空(よぞら)へ放つべく、燃え尽き、自らの意思で走り出した。
積善の多い人間は、その体を脱ぎ捨てる時、流れ星となりて世空に別れを告げるという。
思い当たる人はいないけれど、感謝を贈ろう。きっと受け取ってくれるはずだ。
フクロウが鳴いてる!
と、誰かが私の背後から驚いてそう言ったものだから、私は、彼女の指し示す方角へ振り返りながら、青白く薄明るい夜空を見上げたのであった。
その時、偶然にも、流れ星が弧を描きながら山の上へ落ちてった。焦点を合わす間もないことであったけれど、薄黄色の細い光線は、
確かに、私の眼中に息をのむ速さで、見慣れた夜空を駆け抜けて行ったのであった。
私は、ホーホーと、民家の屋根に鳴り渡る声を、これがフクロウの鳴き声かと、忘れてしまわぬよう心に刻みながら、何度となく、さっき見上げたばかりの、無音の流れ星のメッセージに、ひとり想いを馳せているのであった。
その流れ星は、まるで私が振り向くのを知ってたかのように見計らって、最後の光をこの世空(よぞら)へ放つべく、燃え尽き、自らの意思で走り出した。
積善の多い人間は、その体を脱ぎ捨てる時、流れ星となりて世空に別れを告げるという。
思い当たる人はいないけれど、感謝を贈ろう。きっと受け取ってくれるはずだ。