エッセイ 夢
睡眠中の夢を見ている時は
それが夢とはわからない。
それが現実の世界として存在してる。
その夢は、日頃なりを潜めている焦燥感をこれでもかと煽りたて、
無我夢中で逃げる私を
容赦なく迫真に追って来、
行く手を覆う樹海の霧のように
私を執拗に追い詰めていた。
逃げ切れるものではないことは
過去の夢で何度も経験してわかっているのに…。
身体的な痛みこそないものの
その恐怖たるや、この世のものに例えることは出来まい。
息の出来ない海中で、もがいてもがいて、やっとの事で息継ぎをする、その瞬間のように、私は毛布をはねのけ飛び起きた。
部屋に立て掛けられた絵、家具の配置、時計が指し示す時刻、時代背景、眠る前日にしていたこと…
それらを辿るように意識して、ようやく今の自分の立ち位置を認識できた。
それでも、その悪夢は私を解放しなかった。
身体の感覚を取り戻しただけで、恐怖は絶対を持って、私に居続けた。
今も、なりを潜めているだけだ。
荒くなる呼吸、大きくなる動悸。
この身を爆破しても
恐怖は消えない。
魂は爆破出来ない。
永遠に…。
ラジオを流せば、いつもの陽気な曲が部屋を充満し、
夢は所詮夢だと私を説き伏せる。
恐怖は退散したように見せかけるだろう。いつものことだ。
対峙する時はこない。
私が登らない限り。
睡眠中の夢を見ている時は
それが夢とはわからない。
それが現実の世界として存在してる。
その夢は、日頃なりを潜めている焦燥感をこれでもかと煽りたて、
無我夢中で逃げる私を
容赦なく迫真に追って来、
行く手を覆う樹海の霧のように
私を執拗に追い詰めていた。
逃げ切れるものではないことは
過去の夢で何度も経験してわかっているのに…。
身体的な痛みこそないものの
その恐怖たるや、この世のものに例えることは出来まい。
息の出来ない海中で、もがいてもがいて、やっとの事で息継ぎをする、その瞬間のように、私は毛布をはねのけ飛び起きた。
部屋に立て掛けられた絵、家具の配置、時計が指し示す時刻、時代背景、眠る前日にしていたこと…
それらを辿るように意識して、ようやく今の自分の立ち位置を認識できた。
それでも、その悪夢は私を解放しなかった。
身体の感覚を取り戻しただけで、恐怖は絶対を持って、私に居続けた。
今も、なりを潜めているだけだ。
荒くなる呼吸、大きくなる動悸。
この身を爆破しても
恐怖は消えない。
魂は爆破出来ない。
永遠に…。
ラジオを流せば、いつもの陽気な曲が部屋を充満し、
夢は所詮夢だと私を説き伏せる。
恐怖は退散したように見せかけるだろう。いつものことだ。
対峙する時はこない。
私が登らない限り。