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ドラマ「魔王」最終回

2008-09-14 08:51:22 | ドラマな話
こんなに泣いたのも、観終わったあとの喪失感も、久々の感覚。

これはやっぱり俳優大野智の品性のある端正な佇まいと、繊細かつ渾身の嘘のない魅力的な演技が見納めってこともあるのだろうなと思う。
シリアスな大野くんが観れるのは、今度はいつになるのだろう・・・




このドラマに関してのインタビューなどをいろいろ読むと、役柄の解釈がものすごい深いところまでできていて、いや、普通役者さんて役の人物の台本に書かれていない背景とか過去まで遡ったりとかいろいろ考えるのだろうけど、この成瀬領という役は一際難しいと思うんですよね。
しかも役を理解したからといって、そう簡単に表現できる単純な人物でもない。
現実の弁護士としての“善”と魔王的な“悪”を行き来する相反する内面を持ち、仮面を被りつつ人間的な戸惑いも覗く・・・それを感情でセリフを言うというよりも、存在感そのもので語らなきゃいけないわけだから。
つまり存在そのものが、すでに成瀬領になっていないとなかなかこの役は演じられない気がするんですけど、それが本当に驚くほど役の中に大野智が存在していなくて、今さらながら大野くんの演技力に脱帽しているわけです。

韓国でこのドラマが始まるときも、弁護士オ・スンハ役を演じたチュ・ジフンくんも相当最初は苦労したようで、あの頃の韓国のニュースサイトで見る視聴者の評価とか最初はけっこうシビアだった覚えがあります。
でも回を重ねるごとにだんだんと彼の演技も研ぎ澄まされて行って(わたしは今回、日本版が始まる前に全部観ようと思いつつ途中までしか観てないのと、最終回放映前にラスト2話を巻きで観ただけなんですけど)、ゾクゾクするほどエレガントに演じていました。
クールビューティーというか、冷淡さという意味ではジフニの方が触るとやけどしそうなドライアイスみたいに鋭かったかも。
特にわたしが観た中で、日本版の山野にあたる当時の苛められっ子だった兄の友人に、兄に償いたいと言っていたその機会を与えます、と仲間に引き込む場面の表情が、天才的な頭脳を持ちすべてを見透かしていて、これから起こる(起こす)復讐劇へある意味期待しているような表情が怖かったです。

大野くんの成瀬領は、しかしオ・スンハをすでに越えた場所に最初から居たような気がしました。
なんというか、すべてわかっている、すべてコントロールしているという、もう少し大人の余裕みたいの。

これはたぶん、韓国版は殺されたのが「兄」で、復讐する相手も年上だという設定に対して、日本版は「弟」で復習相手の芹沢直人も年下という設定だからかなとも思うけど、より年齢が低い子供の段階から復讐心に取り憑かれたオ・スンハに比べて、若いとはいえすでに17歳になっていた成瀬領との差なのかなとも思います。


そういう、すごく細かい設定の微妙なニュアンスとか、特に最終回や、その前から徐々に覗く人間的な部分の揺らぎ、場面場面の心情の変化による微妙な表情とか、セリフがなくてもその心情がダイレクトにこちらに伝わってくるのを観て、どんだけ引き出しあるんだよ!と逆にツッコミ入れたくなるほど大野くんの演技には本当に惹きこまれました。


そしてなんといっても生田斗真くん演じる芹沢直人と対峙するクライマックスのシーンですよ!


韓国版と結末が違うということだったので、いや、もともと韓国版の2人とも死んでしまうという設定はニュース的に知っていたんですけど、そのプロセスは知らなかったし、もし日本版の結末が違うならどういう風になるのかなーと気になって、放映直前にラスト2話を巻きで観たのですが・・・

わたしは結末が違うって、2人のどちらかが生きて償うとかそういう話になるの?と最初は思っていたんですけど、さすがにそれはなかったですね。
まぁ強いて言えば、芹沢直人の方がなんとか生き残って、半身不随とかで刑事も辞めちゃっているというのは話としてアリかなとは思うけど、成瀬領が生き残るというのは、生きていて欲しいとは思うもののこの話では絶対にあり得ない気がしますもん。
(しかし全員が死んでしまったのはびっくり←結末が違うというのは、事象的には山野が領を刺したこと、全員が死んだことを指すんですかね?)


「もう1人、死ななければならない人間がいるんです」
これは予想通り自分自身のことだったわけですけど、韓国版は(ラスト2話しか観てないけど)もう少しクールだったような気がしました。

2人が対峙した最初の場面で、すでにオム・テウン演じるカン・オス刑事は、オ・スンハの目的が“自分を殺させる”ことだとわかっていて、父まで死に追いやったオ・スンハへの憎しみから「望みどおりにしやる」と一旦は銃を向けながらも、でもオマエもオレと同じように地獄の苦しみの中にいるのか?と、そうしたのは自分でオマエを見ていると胸が痛むとこれまでのことを謝り、この先どんな地獄の苦しみがあろうとも暗いトンネルから抜け出して生きろ!と、なんというか最後は人として刑事として彼を説得しているような感じがしたのですが、芹沢直人は「自分で終わらせるしかない」と思い詰めてあの場に行き、それでもやっぱり引鉄を引くことはできないでいるうちに、途中で成瀬領の真意に気付いたわけですもんね。

一方のオ・スンハも、ここにきて憎しみの余り自分を殺すと読んでいたカン・オスの心が変わったのを受けて、計算が狂ったこと、カン・オスが贖罪の気持ちを持っていることに驚き戸惑い、「終わらせないと自分が許せない」と生きていたらあんたじゃなくて自分を憎むことになると自分に銃を向けてもみ合っているうちに暴発するわけですが、流れは同じなんだけど、ちょっと違うなーと思ったのは2人の心の変遷です。

成瀬領は、最後は直人を憎むあまり復讐劇を完成させたいというよりも、もうとっくに直人を許しているのに、ここまで来てしまった自分を死をもってしか自分自身が許せなくなっていたがためという、最初からなんとも刹那的な覚悟を持ってあの場に赴いている・・・そのあまりに哀しい領の覚悟に想いを馳せることができると思うのです。

どちらも最後はお互いを許し、お互いに自分のことも許せと語り、まるで兄弟のように(いや、ある意味11年間も相手のことばかり考えていたんだから、兄弟より深い絆なのかも)寄り添って美しく?死ぬわけですけど、どちらがリアリティーがあるかというのは別にして、最後までの流れは日本版の方がよりドラマチックだったような気がします。。

あと、あのシーンはほぼ同じような「画」で進むんですけど、間違って直人を撃ってしまった後、特に血が流れるのを止めようと傷口をハンカチで覆おうとする時、そして携帯を出して救急車を呼ぼうとする時の手の震え方が、なんとも領くんは美しかったです。(いや、チュ・ジフンくんのも素敵でしたが

領のしおりへの手紙も泣けたしね。(韓国版では逆でしたし)
つーか、あの朗読する大野くんの、透明感のあるなんと美しい声!


人が過去を忘れても、過去は人を忘れない・・・

直人が宗田を殺した兄に言うセリフだけど、過去を許せばいつしか人も許されるんだろうなと、変な言い方だけどじんわりとした最後のシーンだったのでした。




・・・このドラマはとにかく主演の大野くんと生田くん2人の演技の素晴らしさ、脇役の方々の素晴らしさもさることながら、作り手が非常に真摯に愛情を持ってドラマ作りをしているのも窺い知ることができて、こんなドラマに最初に出られて本当に大野くんはラッキーだったなーと思ったのですが、ドラマ自体も本当に余韻の残る、素晴らしい出来だったと思います。

生田くんがどこかの雑誌で、韓国版の原作のことを「シェークスピアのよう」と語っていたのがすごく印象的で、たしかに悲劇的ストーリーもかなりよく出来ている上にセリフとかも哲学的なモノも多いなぁと。
日本版も全然引けを取らない出来栄えで、しおりが領に抱きついて言った「暗いトンネルに入らず、少しでいいから顔をあげ、四季がある喜びを噛み締め、幸せを感じてほしい」と言ったセリフなんて、完全ではないにしろオリジナルだと思うのですが、ちょっと宗教的とはいえいいセリフだなーとうるうるしてしまいましたわ。

そうそう、このセリフを言う前に「怖いんです…あなたに、何か起こりそうで…」としおりが言った時、なんとなく現実の大野くんがいつかフッと皆の前から消えていなくなりそうな気がして、ちょっと胸が苦しくなりました。(←妄想し過ぎ・笑。いや、真面目に少しそういう儚さみたいのを持った人だなとも思う


ところで、しおりと言えば、最後のハーモニカをサイコメトリーして何が見えたっていうんですかね?
そもそも11年前の事件に、領も直人も知らなかった新事実があったとでもいうのでしょうか??
それを知っていればこんなことにならなかったのに・・・というような事実でもあったということ?

DVDで明かされるそうだけど待てないので、韓国版を全部ご覧になった方、そういう伏線はなかったか、誰か教えてー!!!(←自分で観ろよというツッコミはなしの方向で



嗚呼、またしても無駄に長く語ってしまったわたし・・・(^^;;;;;


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3 コメント

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終わってしまいましたね・・・ (ふーみん)
2008-09-16 23:09:41
ドラマにハマリ易いんでイロイロ見てきたけど、魔王はホントに終わった後の喪失感が大きかったドラマです。

もう、これだけは絶対に誰にも邪魔されず、一人で観たかったんで、殿が寝て相方が不在の日の夜(夜のが集中出来るんで)に、じっくり観てました。

大野くんの切ない表情とか、涙を溢す時の表情・・・
もう、「くぅ~」って言いたくなって(笑)
ルールーさんみたいに、表現力がない自分がもどかしいけど、ワタシの言いたかった事以上に仰ってくれてるので・・・

生田くんは、昔からドラマに出てるし、舞台にも出てるのに『イケパラ』で注目された感があって・・・(勿論、ワタシは昔から好きでしたが)
ようやく、彼の演技力が発揮出来たなぁと嬉しく思いました

最後の二人の対決は、韓国版を知らないのでドキドキしっぱなしだったし、結末には号泣してしまいました
領のキモチの変化、自分の行いで周りの人を不幸にしてしまった事への後悔と言うか、直人を素直に許せない自分が許せないとか・・・あー、ダメだ。
上手く言えない

もう、とにかく最終回だけは消せません(既に他の回は消してしまったの)
DVD買うのは悩む所だけど、ラストのしおりちゃんが何をサイコメトリーしたのかは凄く気になるぅ~

DVD買ったら結果教えて下さい
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ふーみんちゃん♪ (ルールー)
2008-09-17 12:01:33
もうホントに想い出すだけで涙が出てしまうほど、最終回のラスト17分は圧巻でしたね・・・
大野くんのすべての演技、あらゆる表情が目に焼き付いて離れませんわ。
もう本当は許しているのに、自分でもわかっていながら止められない気持ち、そういう自分をまた許せない気持ち・・・切な過ぎる・・・

生田くんは、わたしも世間一般と同様にイケパラで知ったんだけど、あれは最初はともかく、最終回?だったか生田くんが堀北真希ちゃんに気持ちを伝えるのに後ろから抱きつくところだったか、それまでに比べて感情のうねりがすごく伝わってきて「オッ!」と思いましたわ。
今回の芹沢役は、最初は熱さが前面に出過ぎる役だったので、もう少し内面にも迫って欲しいなーと思っていたら、矛盾も抱えつつでも最後にはちゃんと折り合いつけていたし、ピッタリの役だったと思いますわ。
最初は主役2人がジャニーズというので、どうだかなーと思っていたけど、今はよくぞこの2人を起用してくれましたとプロデューサー他スタッフの皆さんには感謝したいくらい。

最後のシーンはねー
どうなんだろう??
最初思ったのはあの2人の対峙した場面で、後からあの現場を見ただけでは窺い知れなかった事実をしおりが見た、ということなのかな?と思って、客観的にあの2人が亡くなっている現場を警察はどういう風に捉えるかな?と考えてみたけど、山野と成瀬領の関係をもし結びつけてなかったら(アレ?山野のこと警察は何か成瀬領と関連して疑っていたっけ?韓国版では取調受ける場面があるんだけど・・・)、誰が刺したかがわかるとか、それとも最期の領たちの気持ちが読み取れたってこと??なんて思ったけどそんな単純なことじゃないと思うし・・・
そうなるとやっぱり過去の事件まで遡って、そもそもこの復讐劇の始まりの根幹を覆す出来事を見たってことなんじゃないかなーと思うんだけど。
それを今知ったところでどうにもならないこと、みたいな。

わたしが気になるのは、その真相がTBS経由で購入するDVDにしか入ってなかったらどうしてくれようということですわ。
他で購入するモノ、レンタルのDVDにもちゃんと入っているならいいけどね。
えっと、そういうことと関係なくもっと前からすでにAmazonでポチッとしてしまったので、観たらお知らせするものであります。(^^;;;;;
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Unknown (ドラマとの出会い)
2010-02-22 18:51:51
いつも楽しく拝見してます(´∀`)♪
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