![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/a3/b6387e4c639c1a863472f2dc7acbfc6a.jpg)
交通事故が原因で記憶力を失い、以降新しい記憶は80分しか維持できない老数学者と、彼の世話をするために派遣された家政婦とその息子の心のふれあいを描いた物語…
※オフィシャルサイト
原作と映画を同一の作品として観ないようにはしているものの、原作に思い入れがある場合はどうしてもその差違が気になってしまうものですね。
特に自分にとって一番ツボだった部分がはしょられていたりすると、映画全体がどんなによく出来ていてもガッカリ度はかなり増してしまいます…![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock1.gif)
『博士の愛した数式』の場合、全体に流れるテンポや空気感といったものはさほど違和感はなくて、むしろ映画を観ることで情景がよりリアルに感じられたり、なにより数字や数式にこんなにも奥深いドラマと美しさがあるということを、より視覚的に(ルートが後年数学の教師になって生徒に説明することで)わかりやすく描かれていたと思います。
登場人物も皆爽やかで公明正大、俳優陣の演技もまずまず、風景も非常に美しかった。
たぶん映画だけなら、観終わったときに感じた「清々しさ」にとても満足していたはずです。
決して魂が揺さぶられるというほどではなかったけれど、心に静かな余韻の残る映画だったから。
でも…
野球好きなわたし的にはやっぱり、野球関連の話、“江夏”“阪神”“野球カード”をもっと深く描いて欲しかったのーーー!(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/38/18c9a4df3460c4e6d8f94017c7c63fa8.jpg)
原作者の小川洋子さんは、偶然テレビで見かけた数学者の藤原正彦氏の、風防に似合わない(^^;)ロマンチックな数字の話に興味を持って、「数学者」を主人公にしようと考えたと同時に「子ども」を登場させることを決めたのだとか。
でも、2人を繋ぐ共通項が数学だけではリアリティがなさすぎる(たぶん物語の奥行きもなくなっていたと思う)。
もっと地についた“何か”を探していて、『28(=江夏の背番号)』という完全数に出逢ったときに、“野球”を思いついたのだそうです。
もともと小川さんは熱狂的な阪神ファンですし、“江夏豊”ほど小説に登場させるのにうってつけの選手もいないというのもあったようです。
そうなんです!つまり野球はこのストーリーのキモなんです!
博士が事故に遭ったのは1975年。
物語はその17年後の1992年が舞台です。
わざわざ「少し前」の時代に設定にしたのは、言うまでもない、阪神の江夏豊が75年のオフ、76年1月に電撃トレードされたので、博士の記憶の中の江夏が現役の阪神の選手のままというストーリーが生きてくるからです。
江夏はその後、他球団に移ってからは2度と「28」をつけなかったので、「背番号28の江夏」もこのときだけでした。
原作でも映画でも、博士が「江夏がトレードされ、すでに引退してしまった」という事実を聞かされてショックを受けてしまうシーンは非常に印象的でした。
80分しか記憶が維持できない博士にとって、自分の記憶でカバーできない事柄に日々出合っていたわけですが、それらをいつも心静かに受け止めていたのに「この事実」だけは受け止められなかった。
それほどまでにショックを受けた博士を前にして、母子は2度と江夏の現在の話はしないと決心して、博士を傷つけたことに自分達も深く傷ついてしまう。。
と、ここまでは映画でも描かれていたけど、その後母子は「江夏の野球カード」を博士にプレゼントしようとカードショップなどを探し回り苦労して手に入れ、さらにそのカードが博士が博士であることを示すIDカードのように胸できらめくという、原作のクライマックスのエピソードに繋がるわけです。
このエピソードはそのまま母子の他者へのいたわりの心と、博士への愛情をより適格に表すものでもありました。
映画に登場した野球カードは、ベースボールマガジン社が写真を提供してオリジナルで作られた特別なものだそうです。
博士にとっても「野球カード」に書かれている数字こそが野球を楽しむ手段であって、ルートと繋がる強烈な共通コードだったはず。
それなのに、せっかく作った小道具も映画じゃチラッと、それも博士のコレクションとして深津絵里がこっそり見つけたときに登場しただけ…(T_T)![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock1.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/86/f7f56aba9d6a9afa2400ef0a01c2e691.jpg)
まぁそうはいっても、原作レベルで野球について描くのは、特に1992年当時の阪神の試合を再現することもできないわけだしちょっと難しいですけどね。(笑)
でも映画は数字や数式の美しさという点は丁寧に描いているものの、せっかくの野球が持つノスタルジックな雰囲気を生かし切れてなかったかな~と。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
あとは、ほんの細かい、でもとてもツボだったシーンがちょっと違った風に(博士を信用しなかった場面はあんな風に直接博士にぶつけなかった)描かれていたのも気になったのですが…まぁそれはいっか?(笑)
ただそれによって家政婦のキャラクターの描き方が少し薄くなっていた気もします…![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
そんなわけで、わたしにとっては世間の評価に比べてちょっとポイント低めです。(^^;;;;;
原作に限りなく似ている「別の作品」としてなら楽しめると思います。
まぁ、原作と映画の関係性そのものが“友愛数”のようなものなのかも?![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
それにしても…
「君の靴のサイズはいくつかね?」
「24.5です。」
「ほお・・ぉぉぉ・・・・・・・」
「・・・・・?」
ダメだ、、、わたしの「数字」には何の運命も感じられない!(笑)![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_ase2.gif)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_nika.gif)
・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★(60点/100点満点)
※家政婦の描き方が少し物足りなかったです。
あと最後の回想シーン、寺尾聡若返り過ぎ!(笑)
原作にはないお能を鑑賞するシーンにお楽しみが!
音楽はいただけなかったかな。特にエンディング…![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
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当ブログの【映画レビューINDEX】
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原作と映画を同一の作品として観ないようにはしているものの、原作に思い入れがある場合はどうしてもその差違が気になってしまうものですね。
特に自分にとって一番ツボだった部分がはしょられていたりすると、映画全体がどんなによく出来ていてもガッカリ度はかなり増してしまいます…
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock1.gif)
『博士の愛した数式』の場合、全体に流れるテンポや空気感といったものはさほど違和感はなくて、むしろ映画を観ることで情景がよりリアルに感じられたり、なにより数字や数式にこんなにも奥深いドラマと美しさがあるということを、より視覚的に(ルートが後年数学の教師になって生徒に説明することで)わかりやすく描かれていたと思います。
登場人物も皆爽やかで公明正大、俳優陣の演技もまずまず、風景も非常に美しかった。
たぶん映画だけなら、観終わったときに感じた「清々しさ」にとても満足していたはずです。
決して魂が揺さぶられるというほどではなかったけれど、心に静かな余韻の残る映画だったから。
でも…
野球好きなわたし的にはやっぱり、野球関連の話、“江夏”“阪神”“野球カード”をもっと深く描いて欲しかったのーーー!(笑)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/38/18c9a4df3460c4e6d8f94017c7c63fa8.jpg)
原作者の小川洋子さんは、偶然テレビで見かけた数学者の藤原正彦氏の、風防に似合わない(^^;)ロマンチックな数字の話に興味を持って、「数学者」を主人公にしようと考えたと同時に「子ども」を登場させることを決めたのだとか。
でも、2人を繋ぐ共通項が数学だけではリアリティがなさすぎる(たぶん物語の奥行きもなくなっていたと思う)。
もっと地についた“何か”を探していて、『28(=江夏の背番号)』という完全数に出逢ったときに、“野球”を思いついたのだそうです。
もともと小川さんは熱狂的な阪神ファンですし、“江夏豊”ほど小説に登場させるのにうってつけの選手もいないというのもあったようです。
そうなんです!つまり野球はこのストーリーのキモなんです!
博士が事故に遭ったのは1975年。
物語はその17年後の1992年が舞台です。
わざわざ「少し前」の時代に設定にしたのは、言うまでもない、阪神の江夏豊が75年のオフ、76年1月に電撃トレードされたので、博士の記憶の中の江夏が現役の阪神の選手のままというストーリーが生きてくるからです。
江夏はその後、他球団に移ってからは2度と「28」をつけなかったので、「背番号28の江夏」もこのときだけでした。
原作でも映画でも、博士が「江夏がトレードされ、すでに引退してしまった」という事実を聞かされてショックを受けてしまうシーンは非常に印象的でした。
80分しか記憶が維持できない博士にとって、自分の記憶でカバーできない事柄に日々出合っていたわけですが、それらをいつも心静かに受け止めていたのに「この事実」だけは受け止められなかった。
それほどまでにショックを受けた博士を前にして、母子は2度と江夏の現在の話はしないと決心して、博士を傷つけたことに自分達も深く傷ついてしまう。。
と、ここまでは映画でも描かれていたけど、その後母子は「江夏の野球カード」を博士にプレゼントしようとカードショップなどを探し回り苦労して手に入れ、さらにそのカードが博士が博士であることを示すIDカードのように胸できらめくという、原作のクライマックスのエピソードに繋がるわけです。
このエピソードはそのまま母子の他者へのいたわりの心と、博士への愛情をより適格に表すものでもありました。
映画に登場した野球カードは、ベースボールマガジン社が写真を提供してオリジナルで作られた特別なものだそうです。
博士にとっても「野球カード」に書かれている数字こそが野球を楽しむ手段であって、ルートと繋がる強烈な共通コードだったはず。
それなのに、せっかく作った小道具も映画じゃチラッと、それも博士のコレクションとして深津絵里がこっそり見つけたときに登場しただけ…(T_T)
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まぁそうはいっても、原作レベルで野球について描くのは、特に1992年当時の阪神の試合を再現することもできないわけだしちょっと難しいですけどね。(笑)
でも映画は数字や数式の美しさという点は丁寧に描いているものの、せっかくの野球が持つノスタルジックな雰囲気を生かし切れてなかったかな~と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_shock2.gif)
あとは、ほんの細かい、でもとてもツボだったシーンがちょっと違った風に(博士を信用しなかった場面はあんな風に直接博士にぶつけなかった)描かれていたのも気になったのですが…まぁそれはいっか?(笑)
ただそれによって家政婦のキャラクターの描き方が少し薄くなっていた気もします…
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そんなわけで、わたしにとっては世間の評価に比べてちょっとポイント低めです。(^^;;;;;
原作に限りなく似ている「別の作品」としてなら楽しめると思います。
まぁ、原作と映画の関係性そのものが“友愛数”のようなものなのかも?
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それにしても…
「君の靴のサイズはいくつかね?」
「24.5です。」
「ほお・・ぉぉぉ・・・・・・・」
「・・・・・?」
ダメだ、、、わたしの「数字」には何の運命も感じられない!(笑)
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・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★★(60点/100点満点)
※家政婦の描き方が少し物足りなかったです。
あと最後の回想シーン、寺尾聡若返り過ぎ!(笑)
原作にはないお能を鑑賞するシーンにお楽しみが!
音楽はいただけなかったかな。特にエンディング…
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当ブログの【映画レビューINDEX】
映画化されるということで
誰が博士をするのかな、と思ってたら寺尾聡。
悪くはないのですが、私のイメージより若いと思いました。
「じゃあ誰」と言われると、イメージに合うその年代の役者がいないんですねえ・・・。
(寺尾聡の出す雰囲気はOKそうなので、年齢が問題なら宇野重吉ならって・・)
小川洋子さんは、宇野重吉さんをイメージして書かれたとどこかで読みました。
寺尾聡さんは映画化にあたって、いつも原作は読まないで撮影にのぞまれるそうなんですが、そのわりには雰囲気はよく出ていたと思います。
まぁ、数学的思考をする人にはあんまり見えませんでしたが。(^^;;;;
あと、あのくたびれたスーツは、宇野重吉さんが昔着ていたものをひっぱり出して来た私物だそうですよ。
原作ファンだと多少覚悟して観た方がいいと思うけど、別の作品として観れば映画としてはまぁまぁな雰囲気でした。
TBとコメントありがとうございました。
読ませていただきました。
私の言いたかったこと全て書いていただいてる!って感じで。
文章力があってとっても裏やましぃです。
映画見てる時はいろいろ感じてるのですけど、
帰ってきてから言葉にするのは難しいです。
ルートの授業シーンはなかなかよかったですよね。
博士に言葉をぶつけるシーン。
自分もそう感じたのに忘れてました^^;
ありがとうございました。また遊びにきます。
こちらからもTB貼らせていただきますね。
やっぱ野球好きのルールーさん、あの江夏の野球カードの件は気になりましたか(笑) ?
原作の方では結構ウエイト高かったですもんね^^
いやいや~こちらこそ、同じところがツボだったhiyocoさんをお見かけしたときは嬉しかったです。
映画は映画でまぁとても雰囲気のある良い出来だったので、わたしも素直に観終わった後は清々しかったんですけどね…
野球カードをめぐるエピソードがバッサリ切り取られてしまって、嗚呼、この監督さんにとっては大事なポイントではなかったんだなーと思ったら残念な気持ちになってしまいました。。
ルートの授業シーンは、あれを観るとやはり数学の方に重きを置かれたんだと思ってしまいますが、本当にわかりやすくてよかったです。
博士に言葉をぶつけるシーンは、原作の家政婦さんなら決してしないタイプのエピソードですよね。
博士には悟らせなかったのにルートは母を怒ったという、よりルートの繊細な他者へのいたわりがわかるシーンでもありました。
まぁ映画は大怪我かもしれないというのがあったから、しかたないかもしれませんけどね。
とはいえ、いつもは原作とは切り離して観るようにしているんですよー(笑)
こちらこそ、今後ともよろしくです~
だって、些細なプレゼントだけどそれにこだわって苦労するシーンは、わたしにとってはツボだったんですものー
とはいえ、そのかわりの草野球の背番号とか、そういう他のエピソードでカバーされていたのかもしれませんけどね。
いよいよ今週末はお花見にいいかもしれませんね~♪
原作も映画同様優しく温かいものでした!
博士とルート君が桜の下で、「博士、せっかくの桜なんだから、数学のことは忘れてお花見しようよ~♪」って言ってそうな(笑)
今年の花見はどこへ行こうかな^^
いよいよお花見シーズンですね。
っつか、すごい時間が経つのが早い今日この頃ですー
>原作も映画同様優しく温かいものでした!
わたしはやっぱりより原作の方が好きなんですが
いつもはご近所の公園にしかお花見は行かないんですけど、今年は他にも行ってみようかな~