ルールーのお気に入り

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お気に入りをツラツラと…

映画『春の雪』

2005-12-14 15:55:03 | 恋する映画
遅ればせながら『春の雪』を観て来ました…

母が鑑賞券を3枚もらったというので、母と妹と3人で行って来ました。
こんなことはもしかしたら初めてかもしれない…少なくとも、大人になってからは初めてだ。

…そのことの方がわたしにとってはとても重大かつ重要なエレメントで、『春の雪』はもしかしたら最初からどうでもよかったのかも…(^^;;;





物語は大正初期の侯爵家の子息・清顕と、伯爵家の令嬢・聡子の禁じられた愛がテーマ。
禁じられた愛といっても、別に身分違いとかじゃないんです、なんていったって侯爵家と伯爵家ですから。
自由に恋愛ができなかった時代であっても、彼らの恋愛は「その気になれば」成就したと思います。

それなのに“禁断の愛”になってしまったのは、ひとえに清顕のあまりに屈折したお子様チックな愛情表現のせいです。
好きなのにわざと冷たくあしらっていたら、自分よりもっと身分の高い男との縁談が決まってしまい、取り返しがつかない局面になってから初めて慌てて取り戻そうともがくという、「今さら遅せーよ!」と言いたくなる未練たらたらの男、清顕。
こう言っては身も蓋もないんですが(^^;)、最初から清顕が素直に聡子への想いを認めていれば、こんなことにはならなかったのに…というお話です。


たぶん、三島由紀夫の原作の中での清顕の、貴族的な抑圧された屈折ぶりは理解できたと思うんですよね。
むしろその繊細な感性に憧れすら感じたかもしれないです。

でもそれが映画ではうぅむ…と唸ってしまったのは、やっぱり主演の2人の演技というか、どっしりとした存在感の無さというか色気の無さというか(わたしにとってはこれが致命的!)、まぁぶっちゃけ個人的な好みの問題なのかもしれませんがどうしても感情移入できませんでした。

妻夫木くんも竹内結子もすごく頑張ったとは思うんです、感情表現も表情も、たぶんお約束通りにはできていると思う。
でも、技巧的というか、頑張った感が出過ぎちゃって自然じゃない。
なんていうか、「演技とは思えないような気持ち」、例えば聡子がどうしてあそこまで清顕が好きなのかが伝わってこなかったというか、相手を狂おしいほど切ないほど好きというよりも、なんだか自分の一途な想い、哀しい表情に酔っちゃってる感じでした…(あー、わたしって意地悪かもいや今に始まったことじゃないけど^^;;;)
周りの、例えば若尾文子さんや岸田今日子さんの自然で圧倒的な存在感と同じ画面に出ちゃうと、どうしても作り物っぽい、薄っぺらい感じに映っちゃうんですよね。

逆に、清顕の親友本多役の高岡蒼佑くんは特に最後の方すごくよかったです。
『パッチギ!』でも自然で熱い演技に引き込まれましたが、今回も彼の演技には心が揺さぶり動かされました。
「君は僕の友だ」
友情というより、愛情を告白したかのような熱いセリフ。
どこか周りの出来事や人を斜に構えて見ていた清顕を唯一理解していて、最後には清顕も彼の前で素直になったシーンなどは、彼のおかげでジーンと来ました。




しかしながら、映像は本当に素晴らしかったです。
スルスルと巻き物をほどくような映像の流れの中で、情緒的な四季の風景のうつろいや大正時代の貴族の格調高い雰囲気は、先へ先へと期待を抱かせてくれました。

この「絵」で語れるという部分では、もうそれだけで芸術と言えそうです。
特にわたしは現代のサッシとは違う、昔のガラス窓を通したかげろうのようなゆらゆらした絵がとても綺麗だと思いました。

が、いかんせんカメラワークがとてもスローテンポで、動作や所作もゆっくり。
時間かかるかかる。(^^;;;
いや、このテンポが耽美な世界を創ってはいたのですが、一方でこのテンポのためかとにかく長い映画でした。
なんと2時間30分ですよー
もちろん2時間30分以上の映画でもあっと言う間という映画もありますが、これは長かったー


というわけで、映画としての出来はかなり良かったと思うのですが、わたし的にはネックはやっぱり主演の2人の演技によるところが大きい主人公達の気持ちに、いまいち感情移入できなかったことが、結局観た後にそれほど余韻が残らなかった所以でしょうか?

あとですねー
竹内結子の着物、とっても素晴らしい着物でセンスも良かったんですが、彼女の着こなし、立ち姿がどうにも美しくありませんでした。
たしか撮影の時はすでに妊娠していたんでしたよね?
そのために身体を冷やさないように、下にいろいろ着込んでいたりしたんですかね?
もしくはあまりに怒肩でカッコ悪いから、なで肩に見えるようにでも肩に何か入っていたのでしょうか?
肩や首まわり、デコルテのあたりがミョーにもたついていて、まるでカメのように首が短く見えたというか…
立ち姿に「凛とした」美しさというものが感じられなかったのが残念でした。

嗚呼、竹内結子ファンの方々、この映画のファンの方ごめんなさい。(てへ



・・・そんなわけで
ルールーのお気に入り度
★★★★★☆(55点/100点満点)
※映像がとってもキレイで、それによって三島文学の世界観に近づいた感じはしました・・・
若尾文子さん、ひさしぶりなのにおキレイでした♪


あー、また長くなってしまった。(^^;;;;;

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
微妙かな・・・ (所長補佐)
2005-12-14 20:27:16
妻夫木ファンで、ほとんどの映画は映画館で見ています。

でも、今回のは相手が竹内結子ということで、ちょっとなあ・・・とまだ見に行っていませんでした。

ルールー評を読んで、じゃビデオでもいいかなと、微妙かなと思うようになりました。

妻夫木君で一番好きな映画は「ジョゼ・・」なんですが、これは池脇千鶴ちゃんが好きなので。

どきどきする恋愛映画が見たいよ~。
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所長補佐さん♪ (ルールー)
2005-12-14 23:17:36
そうですか、妻夫木くんファンでしたかー(^^;;;;;

いやー、映画の完成度はけっこう高いとは思うんですよ。

絶賛している方も多くいらっしゃいますし、映像がとっても美しいので映画館で観る価値は十分にあると思います。



妻夫木くんもね、上手くはやっているとは思うんですよー

ただ、わたしにはあんまり色気が感じられなくて、あの2人が本気で好き合っている感じが心に響いてこなかったというか…

妻夫木くんはまだ熱い青春ものの方が上手い感じですね。(^^;;



>今回のは相手が竹内結子ということで、ちょっとなあ・・・と



もしやアンチ竹内派?(^^;;;

けっこう好き嫌い分かれる方のようですね。

わたしはどっちでもないんだけど、竹内結子もね、上手くはやっているんですけどね。

今公開されている『SAYURI』の主要人物がほとんど中国人女優だったのもそうですが、結局日本の若手俳優のレベルがまだまだという感じなのかもしれません。

昔の俳優さんたちの方が本当に存在感があって、本物の俳優という感じがします。
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