『PLUTO』#04／浦沢直樹×手塚治虫

ようやく手に入れました、豪華版本！
もはやコレクションとなっています。（^^;;;
今回の表紙は、誰かと思いきやアトムの生みの親、天才科学者天馬博士！
（というか、てっきりお茶の水博士がアトムの生みの親だと思っていたわたし…）

『PLUTO』#03が発売されたのが昨年の春の４月頃なので、今回は９ヵ月ほどで新刊の刊行です。
前回に比べれば少し早いペースですが、それでも長い、、、長過ぎる。。。
今までのお話、特に３巻は読み返さないと思い出せませんでした。（^^;;;



さて４巻ですが…
何が衝撃って、なんと！
アトムが死んでしまいましたー！（涙）

たしかにこのお話は「地上最大のロボット」がメインかもしれない。。
でもこの地上最大のロボットと最後に対峙し、対決するのはてっきりアトムだと思っていましたよ。。

前回の３巻が発売された頃、ちょうど連載コミックの最新号の電車中吊り広告には「アトム死す！」という衝撃の文字が踊っていて、でもいくらなんでもそれは何かのミスリードだろうと思っていたんです。。
でも、とりあえず４巻では死んでしまったままです。
ニュースでも
「世界的ロボットのアトムさんの死亡が確認されました」
と流れてしまいました…



・・・この巻では、３巻の最後でようやく正体を現したアブラー博士とプルートゥの電子頭脳を発端に、アトム他高性能ロボットを次々と破壊してゆく存在のアウトラインが、最後に起るであろう事件の真相を予感させるシーンが、少しずつ明らかになっていきます。

そしてその背景には、まるで現代のイラク戦争のような側面を持つ「復讐心」もちらほら感じさせつつ、人間とロボットの共存を願う思想と反ロボット教団の思想との対立が、今まで以上に表面化していきます。

そして「完璧な電子頭脳とは？」の問いかけ。。

旧式の壊れた犬のロボットをなんとか治そうと奮闘するお茶の水博士の、人間とロボットの共存を願う良心。
その良心を一身に背負ったような、博士が言うところの最高傑作アトムの生みの親、天馬博士は、アトムを失敗作だと言う。。
そして
「人を殺すかもしれないほどの強い憎悪こそが電子頭脳を育てるのだ。間違う頭脳こそが完璧なんだ。その時誕生するのだ、地上最大のロボットが‥‥‥」
つまり、だからこれ以上ロボットを人間に近づけないこと、恐ろしいことが起る・・・というあまりに深い言葉。。

より人間に近づけば、“人を殺すかもしれないほどの強い憎悪”をロボットも持ってしまうかもしれない。
現に平和主義者であるエプシロンでさえ、生みの親ハワード博士を殺害されて自分を制御出来なくなりそうな怒りを持ってしまった。。

「人はなぜ心を持っているのか？」
「心とは何なのか？」

本来人間を殺さないようにプログラミングされているはずのロボットが、復讐心を持ったり、強い憎悪を持つ姿を描くことで、こんなことを問いかけられているのかもしれません。。。



・・・ところでアトムですが、この憎悪の塊のような「地上最大のロボット」との闘いに、あっけないほどにあっさりと負けてしまいます。
そしてその過程がほとんど描かれていないところに、わたしは逆に希望を持ちましたよ。
きっとお茶の水博士か、あるいは博士に諭された天馬博士がアトムを再生して、より強いアトムになって戻って来るんじゃないかと！（え？甘い？T_T）

いや、そうとでも思わないとあまりにアトムが可哀相だにょー
あと、アトムが最期にゲジヒトの夢の中で語った「ぼくを殺したのは、あなた？」という言葉も気になるところです。


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